叶わぬ願いと望まぬ結末

第24章 娘の責任

伝えられない気持ち 4

　ゼーラルの言葉は、希望の言葉だった。
　そのゼーラルは、ミーラのそばに近づいて行く。そして、右手をかざし唱える。

「時の隙間を垣間見せよ」

「何を…？」

　ゼーラルのかざした部分がわずかながらに色の変化が見えた。
　それはミーラの龍の右腕。人間で言う手首の部分。そこにゼーラルは左手を寄せた。そして、小さく頷きラルトを振り返る。

「上手く行きました。…さぁ、ラルト殿ご確認を」

　ラルトは、ゼーラルに引き寄せられる様にして同じ様に手を出した。そして、手首に手を這わせた時、止まって居たはずのミーラの脈が感じ取れた。
　この時、ラルトはゼーラルの時を止める力のおかげでまだチャンスがあるのだと。
　嬉しさ半分と切なさ半分を感じた。
ーーミーラは生きている！
ーー俺はやっぱり何も出来なかったのだ…

　そんなラルトは、大きなミーラの龍の腕に手を顔を頬を寄せその暖かさに浸った。