47 / 138
第10章 初めての討伐 ラルトside
都合の良い夢
しおりを挟む
俺達は計画を立てた。
「ザルはアミラを守りながら村人達にブラック・ラビットの大群が押し寄せても大丈夫なようにしてくれ。」
「おう!任せな、ラルト!アミラは守ってやる!」
ザルは、そう宣言して胸板をバンッと叩き胸を張った。いや…アミラだけじゃないんだが?まぁ、ザルは一番防御に自信があるし信頼できる。安心して任せられる。
「それから、ダットは魔物の群れが分散した場合群れを一点に集中するように周りから集めてくれ。」
「…分かった。」
ダットは、静かに頷き愛用の槍を手入れし始めた。ダットは、着々と準備を進めていった。
「バルンと俺は、ブラック・ラビットと魔獣グラピーの討伐を前線に立って突き進む。もし、グラピーが人語を理解できる場合を考慮してグラピーとは俺が戦う。だからバルンはそれまで援護してくれ。」
「任せてくれよ、勇者様♪」
そう言い俺達は、それぞれの武器の手入れや計画の細部調整をし真夜中から早朝までの間それぞれに就寝した。
俺は、大事な勇者の相棒の聖剣を握りしめながら眠った。
いつもは夢なんて見ない俺は、村から出て初めて夢を見た。余程疲れていたのだろうか?
ーーそんな夢に現れたのは"ミーラ"だった。
村で見た時のミーラより、綺麗に成長しているミーラ。きっと俺の願望だろう…夢だからそうに決まっている…だってミーラはここに居ない。それにミーラは"俺"に笑いかけない…だって俺は勇者だから…そしてミーラが笑ったのは一度きり、ワンピースに時。母さん達に笑いかけた時だけだ。気のせいだったのかもしれないけれど、ミーラは確かに笑った気がした。
(けどもう記憶も曖昧だね…忘れかけているから夢に見るんだ。)
そんな夢の中の"都合の良いミーラ"が俺は愛おしく感じた。だってそうだろ?夢でも愛おしいミーラに会えるんだ。勇者なんて関係なく魔王の娘なんて関係なく。ただのミーラにただのラルトが出逢えるんだ…
ーーでも…
ーーなんて虚しいんだろう…
「ミーラ…っ…」
一瞬でもそう感じてしまった俺が悪いのだろう。夢のミーラでさえ霧の様に突如消えてしまった…あの日のように…
目の前から去っていった。
ーーラルト、ラルト…ぇ…ねぇっ‼︎
「はっ!…どうしたの…みんな…」
「どうしたじゃないだろうが!ラルトもう朝だぞ!?」
「…予定の時間。お前が僕達に言った。」
「そうよ!あんたが言った時間なのに起きてないから!」
「まぁまぁ、みんな勇者様は疲れてたんだよー」
ーーそう夢は終わり…現実に向き合おう。
「ごめん…じゃあ、始めようか。村を襲うブラック・ラビット撃退、そして魔獣グラピー討伐を開始する。…行くよみんな!!」
「ザルはアミラを守りながら村人達にブラック・ラビットの大群が押し寄せても大丈夫なようにしてくれ。」
「おう!任せな、ラルト!アミラは守ってやる!」
ザルは、そう宣言して胸板をバンッと叩き胸を張った。いや…アミラだけじゃないんだが?まぁ、ザルは一番防御に自信があるし信頼できる。安心して任せられる。
「それから、ダットは魔物の群れが分散した場合群れを一点に集中するように周りから集めてくれ。」
「…分かった。」
ダットは、静かに頷き愛用の槍を手入れし始めた。ダットは、着々と準備を進めていった。
「バルンと俺は、ブラック・ラビットと魔獣グラピーの討伐を前線に立って突き進む。もし、グラピーが人語を理解できる場合を考慮してグラピーとは俺が戦う。だからバルンはそれまで援護してくれ。」
「任せてくれよ、勇者様♪」
そう言い俺達は、それぞれの武器の手入れや計画の細部調整をし真夜中から早朝までの間それぞれに就寝した。
俺は、大事な勇者の相棒の聖剣を握りしめながら眠った。
いつもは夢なんて見ない俺は、村から出て初めて夢を見た。余程疲れていたのだろうか?
ーーそんな夢に現れたのは"ミーラ"だった。
村で見た時のミーラより、綺麗に成長しているミーラ。きっと俺の願望だろう…夢だからそうに決まっている…だってミーラはここに居ない。それにミーラは"俺"に笑いかけない…だって俺は勇者だから…そしてミーラが笑ったのは一度きり、ワンピースに時。母さん達に笑いかけた時だけだ。気のせいだったのかもしれないけれど、ミーラは確かに笑った気がした。
(けどもう記憶も曖昧だね…忘れかけているから夢に見るんだ。)
そんな夢の中の"都合の良いミーラ"が俺は愛おしく感じた。だってそうだろ?夢でも愛おしいミーラに会えるんだ。勇者なんて関係なく魔王の娘なんて関係なく。ただのミーラにただのラルトが出逢えるんだ…
ーーでも…
ーーなんて虚しいんだろう…
「ミーラ…っ…」
一瞬でもそう感じてしまった俺が悪いのだろう。夢のミーラでさえ霧の様に突如消えてしまった…あの日のように…
目の前から去っていった。
ーーラルト、ラルト…ぇ…ねぇっ‼︎
「はっ!…どうしたの…みんな…」
「どうしたじゃないだろうが!ラルトもう朝だぞ!?」
「…予定の時間。お前が僕達に言った。」
「そうよ!あんたが言った時間なのに起きてないから!」
「まぁまぁ、みんな勇者様は疲れてたんだよー」
ーーそう夢は終わり…現実に向き合おう。
「ごめん…じゃあ、始めようか。村を襲うブラック・ラビット撃退、そして魔獣グラピー討伐を開始する。…行くよみんな!!」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる