42 / 138
第9章 結成勇者パーティー ラルトside
子供達の涙
しおりを挟む
「それで一体この村で何があったんですか?」
ラルトがそう村長に問うと、村長は身を震わせながら言った。
「この村は、昔からある村ですじゃ。この村が出来たのは遥か昔の王が生まれ育った場所であったが由縁。じゃからこそっ!じゃからこそ奴らはここを狙って来たのじゃ。」
「奴ら?奴らってなんだ?」
「バカザル。奴らは”魔王軍”に決まってるじゃない。」
「そうですじゃ。魔王軍の一人、グラビーと名乗った魔獣ウサギの親玉。…なんでも魔王”ガルム”に捧げる血肉と領地だと叫んでおった…」
そう説明する村長の周りには僅かながら村人が集まって来た。そして何人かが村長を一つだけかろうじて残っている家屋に連れて行く。
残された人達は、魔獣に壊された家屋の破片や僅かに散らばった食べ物をまるで穴を掘るように探し始める。
そんな彼らを見て居た俺たちには、辛く哀しい現実を突きつけられていた。そして、そんな暗い現実の中で二人の子供がラルト達に近寄って来た。
「お兄ちゃん達はゆうしゃさま?わるい人じゃない?」
「あぁ!此処にいるラルトは勇者だぞ!」
「あ、ザルっ!」
ザルは、子供達に近寄りラルトを勇者だと伝えた。正直敵がどこに居るかも分からない状況ですらっと言ってしまうザルに不安と焦りしか感じられなかったが、子供達は違った。
聞いた二人はお互いの顔を見合わせ、ぱぁっと笑顔になった。そしてラルトの手を両側からぎゅっと握り今度は泣きそうになりながら絞り出す様に言った。
「…お兄ちゃん…お願い。村をたすけて…うぅ…」
「もぅ…みんなが痛いの…いやだよっ…ぐすっ…」
「あ…」
「勇者ラルト…子供達の願い叶えてあげましょう。」
「…子供は、笑っていればいい。…泣くのはうるさい。」
「私は構いませんよ、ラルトさんがやるなら私も加勢しましょう!」
「あぁ、ラル!やろうぜ」
アミラは、子供達の頭を撫でてあげながら。
ダットは、憎まれ口を叩いては居るが顔を赤く染めながらそっぽを向いて言い。
バルンは楽しそうに言い。
ザルは、俺の目を真っ直ぐに見て言った。
そんな彼らに俺は言った。
「当たり前だ。勇者は皆んなを守るために戦うんだ。」
俺はそう言い放った。それを聞いた子供達はまた笑顔になり、村中に響く程の拍手が鳴った。
そして、俺達は細かい話を聞くついでにと村人達から先程村長が入って行った部屋に招かれ、小さな小さな宴会を模様された。
俺たちは、もう引けない。
そう改めて感じた俺は、この日彼らに話をしに行った。彼らを深く知るために。これから共に戦う為に俺は一人一人に向き合いに行った。
ラルトがそう村長に問うと、村長は身を震わせながら言った。
「この村は、昔からある村ですじゃ。この村が出来たのは遥か昔の王が生まれ育った場所であったが由縁。じゃからこそっ!じゃからこそ奴らはここを狙って来たのじゃ。」
「奴ら?奴らってなんだ?」
「バカザル。奴らは”魔王軍”に決まってるじゃない。」
「そうですじゃ。魔王軍の一人、グラビーと名乗った魔獣ウサギの親玉。…なんでも魔王”ガルム”に捧げる血肉と領地だと叫んでおった…」
そう説明する村長の周りには僅かながら村人が集まって来た。そして何人かが村長を一つだけかろうじて残っている家屋に連れて行く。
残された人達は、魔獣に壊された家屋の破片や僅かに散らばった食べ物をまるで穴を掘るように探し始める。
そんな彼らを見て居た俺たちには、辛く哀しい現実を突きつけられていた。そして、そんな暗い現実の中で二人の子供がラルト達に近寄って来た。
「お兄ちゃん達はゆうしゃさま?わるい人じゃない?」
「あぁ!此処にいるラルトは勇者だぞ!」
「あ、ザルっ!」
ザルは、子供達に近寄りラルトを勇者だと伝えた。正直敵がどこに居るかも分からない状況ですらっと言ってしまうザルに不安と焦りしか感じられなかったが、子供達は違った。
聞いた二人はお互いの顔を見合わせ、ぱぁっと笑顔になった。そしてラルトの手を両側からぎゅっと握り今度は泣きそうになりながら絞り出す様に言った。
「…お兄ちゃん…お願い。村をたすけて…うぅ…」
「もぅ…みんなが痛いの…いやだよっ…ぐすっ…」
「あ…」
「勇者ラルト…子供達の願い叶えてあげましょう。」
「…子供は、笑っていればいい。…泣くのはうるさい。」
「私は構いませんよ、ラルトさんがやるなら私も加勢しましょう!」
「あぁ、ラル!やろうぜ」
アミラは、子供達の頭を撫でてあげながら。
ダットは、憎まれ口を叩いては居るが顔を赤く染めながらそっぽを向いて言い。
バルンは楽しそうに言い。
ザルは、俺の目を真っ直ぐに見て言った。
そんな彼らに俺は言った。
「当たり前だ。勇者は皆んなを守るために戦うんだ。」
俺はそう言い放った。それを聞いた子供達はまた笑顔になり、村中に響く程の拍手が鳴った。
そして、俺達は細かい話を聞くついでにと村人達から先程村長が入って行った部屋に招かれ、小さな小さな宴会を模様された。
俺たちは、もう引けない。
そう改めて感じた俺は、この日彼らに話をしに行った。彼らを深く知るために。これから共に戦う為に俺は一人一人に向き合いに行った。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる