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第9章 結成勇者パーティー ラルトside

子供達の涙

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「それで一体この村で何があったんですか?」

 ラルトがそう村長に問うと、村長は身を震わせながら言った。

「この村は、昔からある村ですじゃ。この村が出来たのは遥か昔の王が生まれ育った場所であったが由縁。じゃからこそっ!じゃからこそ奴らはここを狙って来たのじゃ。」
「奴ら?奴らってなんだ?」
「バカザル。奴らは”魔王軍”に決まってるじゃない。」
「そうですじゃ。魔王軍の一人、グラビーと名乗った魔獣ウサギの親玉。…なんでも魔王”ガルム”に捧げる血肉と領地だと叫んでおった…」

 そう説明する村長の周りには僅かながら村人が集まって来た。そして何人かが村長を一つだけかろうじて残っている家屋に連れて行く。
 残された人達は、魔獣に壊された家屋の破片や僅かに散らばった食べ物をまるで穴を掘るように探し始める。
 そんな彼らを見て居た俺たちには、辛く哀しい現実を突きつけられていた。そして、そんな暗い現実の中で二人の子供がラルト達に近寄って来た。

「お兄ちゃん達はゆうしゃさま?わるい人じゃない?」
「あぁ!此処にいるラルトは勇者だぞ!」
「あ、ザルっ!」

 ザルは、子供達に近寄りラルトを勇者だと伝えた。正直敵がどこに居るかも分からない状況ですらっと言ってしまうザルに不安と焦りしか感じられなかったが、子供達は違った。
 聞いた二人はお互いの顔を見合わせ、ぱぁっと笑顔になった。そしてラルトの手を両側からぎゅっと握り今度は泣きそうになりながら絞り出す様に言った。

「…お兄ちゃん…お願い。村をたすけて…うぅ…」
「もぅ…みんなが痛いの…いやだよっ…ぐすっ…」
「あ…」
「勇者ラルト…子供達の願い叶えてあげましょう。」
「…子供は、笑っていればいい。…泣くのはうるさい。」
「私は構いませんよ、ラルトさんがやるなら私も加勢しましょう!」
「あぁ、ラル!やろうぜ」

 アミラは、子供達の頭を撫でてあげながら。
 ダットは、憎まれ口を叩いては居るが顔を赤く染めながらそっぽを向いて言い。
 バルンは楽しそうに言い。
 ザルは、俺の目を真っ直ぐに見て言った。
 そんな彼らに俺は言った。

「当たり前だ。勇者は皆んなを守るために戦うんだ。」

 俺はそう言い放った。それを聞いた子供達はまた笑顔になり、村中に響く程の拍手が鳴った。
 そして、俺達は細かい話を聞くついでにと村人達から先程村長が入って行った部屋に招かれ、小さな小さな宴会を模様された。
 
 俺たちは、もう引けない。
 そう改めて感じた俺は、この日彼らに話をしに行った。彼らを深く知るために。これから共に戦う為に俺は一人一人に向き合いに行った。
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