叶わぬ願いと望まぬ結末

第4章 別れの始まり

紛い者の悪魔

幼い頃母様から聞かされた昔むかしの話。

”人間は、善の心と行いから成り
 魔族は、悪の心と行いから成る”

”昔はそう言われて居た。けれどもいつからか人間と魔族が互いを憎み、互いを傷つけ合い…善と悪の境界は無くなった。それにより人間は魔族の紛い者の『悪魔』に成り代わるものが存在する様になった。”

 あの時は”魔族”と”紛い者の悪魔”との違いが分からなかったが今なら少しわかる様な気がする。
 自分と同じ魔力を感じない。存在が何処か違う。
 何がどうとは言えないがそんな感じがする。

 何を言おうと目の前の”それ”が物語っているのだ。

 ミーラは、目の前の犯人”紛い物の悪魔”を果たして自分はどうしなくてはいけないのか。
 瞬時に理解した。
 もしかしたらこの時に本当は、理解なんてしない方が良かったのかも知れない…
 けれども、この時のミーラはラルトとアーランド夫妻と過ごした日々があまりにも暖かく大切に感じていた。
 
 だから理屈などなく…ミーラには迷いなどどこにも無かったのだ