9 / 138
第3章 動き出す闇と照らし出す光
次代の勇者
しおりを挟む「次代の勇者?」
「そう、次代の勇者を各地からの勇者候補から選ぶ日。それぞれの地域や国にいる3人の勇者候補から1人を選ぶんだ。」
「ふむ。それで…なんでラルトは痛そうに手を握っているんだ?」
「えっ…あ、ほんと、だ…」
「貸して」
私は、ラルトの握りこまれた指を一本ずつほどき近くの棚から薬を取り出し手のひらに塗っていく。
ラルトの手は握りこまれた部分が真っ赤になっていた。…見るからに痛々しかった。
本当は、ラルトの”次代の勇者”を選ぶ日という言葉に戸惑っていたが何よりラルトが痛そうにしているのが嫌だと感じた。
ラルトは、私に手当てをしてもらう間顔を背けていた。まるで私を見て居られないように…
その姿をチラりと見て確信した。
(ラルトは、勇者候補なんだ…)
「はい。終わった。」
「…ありがとうミーラ」
私たちの間には静かな時間と沈黙があった
それぞれに何かを感じ考えて口に、言葉にしようとした瞬間だった。
バンッバンバンッ。ドカッ…
「キャー!助け…」
「来ないでくれ‼︎く、来るな…」
外から様々な悲鳴が聞こえた。人々が泣き叫ぶ声。
走り去る音、物が倒れる音
夜の闇の中急に聞こえた音や叫びにラルトは、自室に戻った。ミーラの前に戻って来た時には右手に何かを持っていた。
それは、勇者に持つ事が許された”聖剣”だった。
私達魔族は、聖なるものの気を感知する事が出来ると母様から聞いた事があった。禍々しい魔界とは正反対の明る過ぎる光を帯びた剣。
まさしくそれは”聖剣”だった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる