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4章.Tractus

ペット*

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 怠い身体で目覚めると、ヤグニエの部屋にいた。部屋が明るい。昼ごろだろうか。

「ナカは綺麗にしたぜ。さぁ、足を開いてよく見せろ」

 仰向けの状態で、ミカエルは股を開いた。促され、尻の下から手を出し入口が見えやすいようにする。

「ここも少し使い込んだ風合いになったな」
「…っ…っ…」

 ぷっくりと膨らんだアヌスの縁を指でなぞられた。

「まったく、好き勝手してくれる。ああ、今夜はそなたをドッグクラブに――」

 頭がぼんやりしていて、ヤグニエの言葉を理解する前に右から左へ流れていってしまう。

「――仕方がない。さぁ、俺のをくれてやる」

 彼がズボンから取り出したソレはすでに猛っていた。

「ねだってみろ」
「……犯して」
「あいつらと一緒にするな。……抱いて、だろ」

 前髪を横に撫でつけられ、顔を寄せられた。ヤグニエの視線は兵士たちより熱っぽい。ミカエルは唇を震わせて、その言葉を口にした。

「ぁあっ…イイッ、ァッ…」
「素直なそなたは、かわいいなっ。早く孕めッ。そうなればっ、もう誰にもヤらせない…ッ」

 日が暮れる頃、ようやく解放されて眠りに就いたミカエルは、夜に起こされ昨夜のように首輪や手足の拘束具を装着された。
 服は何も着ていない。素っ裸でマントを纏う。目隠しをされ、連れて行かれた部屋にいた隊長の前に突き出された。

「この者は、殿下が目を掛けているので?」
「ああ、そうだ。側室候補だぞ」
「え。俺が使ってよろしいんですか」
「散々愉しんだやつが何を言う。まだ俺だけのものにできないんだよ」

 ヤグニエは腹立たしげに言った。そんな相手を前に、隊長はニヤニヤ笑う。

「そいつぁよかった。ではありがたく」
「まったく…」

 ミカエルを残し、ヤグニエは奥の部屋に行ってしまった。

「相当気に入られているようだな。殿下が観覧に来ることは稀だぜ」

 おもむろに頭に何かを装着された。まず素っ裸なのが落ち着かない。

「カチューシャってやつでな。犬みたいな耳がついてるだろ。これを触られると…」
「ぁっ…なんっンッ…」
「感じちまうんだよなぁ。そんで、これが尻尾。壁に手をついて股広げろ」

 言われた通りにすると、当然のようにお尻を拡げてアヌスに突っ込まれた。犬の尻尾のような飾りつきの玩具だ。その尻尾を撫でられても背筋がゾクゾクし、下腹部に甘い痺れが走った。

「今夜のお前は俺の犬だ」

 もはや人間以下らしい。しかしながら、実にシュールだ。

「なんで、こんな…」
「あ? 伝統ってやつでな、この集まりのルールになっている。理由は知らん」

 そういう趣味の者が集まって始まったのだろうと、隊長は適当に言った。

「ああ、プレイ時間まで声を出すなよ」

 首輪から伸びる鎖に引っ張られ、四つん這いになって進む。
 奥の部屋はこじんまりとしており、丸テーブルを囲んで何人かが席に着いていた。足許には、それぞれ犬役の少年が控えている。
 隊長が席に着き、会議らしきものが始まった。
 どうやら話されている内容は、政治や戦のことらしい。術をかけれたのかよく聞きとれない。それに、ミカエルはそれどころではなかった。ナカに挿れられている物が動き出したのだ。

「っ…っっ…っ…」
「それでは、プレイ時間としよう」

 どれだけ経ったか、声がきちんと聞こえ、話し合いが終わったらしいことを知った。

「勝手にイクなよ。まずは口でご奉仕しろ」

 なんとか堪えつつ、首輪を引かれて隊長の一物に舌を這わせる。彼の目を見て見せつけるようにすると、どんどん太さを増して猛々しく反り立った。けれど、追い込まれているのはミカエルも同じで。

「ご主人様より先にイくなんて、許されるわけないよなぁ」

 ミカエルの顔を見下ろした隊長は、限界が近いのを感じていやらしく犬耳を撫でてきた。

「勝手にイったら罰を与える」
「…っは、ぅんっ、ンっ…」

 抑え込まれた快感が出口を求め、体内で暴れ回っている。

 ――も、むりっ…!

「アっ…んっぁ…あ、アア…――!」

 刺激する玩具に押されて、精液が出てしまったかのようだった。零れるようにトロトロ落ちて勢いがない。その間ずっと絶頂が続き、ミカエルは開いたままの口から溢れる喘ぎ声を抑えられなかった。
 隊長はわかりきっていたような顔で、心底呆れたように言う。

「ご主人様の命令が聞けない駄犬は、お仕置きしねえとなぁ。床が汚れた。舐めて綺麗にしろ」
「……あ?」
 
 ぼんやり呟くと、後頭部を掴まれガッと前に倒されて鼻先が床につきそうになった。磨き抜かれた黒い石の床にミカエルの放ったものがよく映える。

「犬らしくケツ上げて尻尾振れ」
「ッ、」
 
 腹の下に伸ばした靴先で下腹部を蹴り上げられてお尻を上げる。

「見ない犬ですね」

 ふと投げられた声。

「うちの子犬と戯れてみませんか」
「躾中だったんだがな。……いいぜ。何させるんだ?」
「そうですねぇ。その飾り立てた乳首を使わせてもらいましょうか」

 ――助かった。
 男の後ろに控えていた少年が四つん這いでやって来て、ミカエルのすぐ前でお座りした。ミカエルより年下の少年だ。紫っぽい大きな目が印象的な、かわいい子である。

「サフラン、そちらの犬の乳首を使ってイキなさい」
「はい、ご主人様」

 サフランと呼ばれた少年は伸びあがるようにミカエルに近づくと、小さな口から舌を伸ばしてミカエルの乳首を舐め始めた。

「っおい、」
「おまえは動くな」

 サフランの乳首は女性のように大きくぷっくりしている。ここをたくさん使っていたら、このようになるのだろうか。

 ――それはイヤだ。

 ミカエルの乳首が充分濡れると、サフランは自身の乳首をそこに押し当て擦り始めた。

「あぁっ…ぁ…んんっ…きもちぃっ…」

 ゆらゆらと腰を振り、見せつけるように淫らに感じて官能的な表情で喘いでいる。宴でみずから男たちのもとへ向かった少年の中には、快楽を求める子もいたかもしれない。――などとミカエルが思考しているうちに、サフランは絶頂に近づいていた。

「……ぁっ、ぁ あ、アッ…ァアッ…ア…イクっイグぅ――ッ!」

 首を反らしてビクビク震え、半端に口を開いたまま溢れる声が止まらない。彼の性器を見ると、透明な液体は出ていたが勃起していなかった。

「メスイキか」
「汚れなくていいでしょう」

 ここを開発されたら、ここだけでここまで感じるようになる。恍惚に浸るサフランの目は上を向き、何も映していないようである。ミカエルはその感覚がわかる気がして、そんな自分にヒヤリとした。
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