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第十話 魔王軍が来ました。
しおりを挟む「お待たせしました」
「「待ってました(ウサ)」」
店員のお姉さんが最初の料理を運んできました。
私とセイントちゃんはお互いに手を合わせ。
「「いただきます(ウサ)」」
その瞬間。『私とセイントちゃんを中心に場の空気が変わった!』と店員のお姉さんが後に語ります。
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ。
むしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃ。
私とセイントちゃんは次々と運ばれてくる料理を食べて食べて食べまくりました。
その間店員のお姉さんは休む暇もなく動き続けてくれました。
そして私とセイントちゃんが食べ終わると同時に店員のお姉さんや厨房にいた料理人の皆さんは白く燃え尽きていました。
「ご馳走様ウサ」
「とっても美味しかったです」
お腹いっぱいになった私達が食堂を後にして部屋に戻ろうとしたその時。息を切らせながら宿に入ってくる人物がいました。
「セイントさんはいるか!」
「ここにいるウサ。そんなに慌ててどうしたウサ?」
「セイントさん。魔王軍が、魔王軍の獣人がこの村へ向かっているらしいんだ」
「魔王軍がウサ!」
「ああ。村の高台から確認したらしいから間違いないだろう」
「こうしちゃいられないウサ!」
セイントちゃんは食べたばかりなのに全速力で宿から出て行きます。
「セイントちゃん待って!」
「追いかけちゃダメだ!」
セイントちゃんを追いかけようとする私の手をガランさんが掴みました。
「ガランさん離して」
「ダメだ。危険すぎる」
「私なら大丈夫です」
「相手はあの魔王軍だぞ!」
「それでもです!」
「あっ!」
私は力ずくてガランさんの手を振り解きセイントちゃんを追いかけました。
「待ってて。セイントちゃん」
私は走って入り口のトンネルを通り村を出ると、すぐにセイントちゃんを見つけました。
「セイントちゃ――」
「魔王軍の獣人というのはお前だなウサ。魔王軍がこの先になんのようウサ」
セイントちゃんの視線の先には一人の男性獣人がいました。
虎耳で鍛えられた筋肉が服の上からでも見て分かるその獣人はセイントちゃんへ欠伸をしながら。
「俺はただこの森へ解き放ったペット達が帰ってこないから確かめに来ただけだ」
「そうかウサ。ならこの先には行かない事をおすすめするウサ」
「何故だ?」
「痛い目にあいたくなければとっとと帰れって意味ウサ」
セイントちゃんがそう言うと、男性獣人は眠そうな態度から一転。獲物を見つけたような鋭い目つきになり。
「断る。と言ったら?」
「その時は――」
セイントちゃんの周囲に装飾が施された剣が6本現れます。
「私とこの剣達がお前の相手になるウサ!」
セイントちゃんの体からオーラのようなものが現れると、周囲にあった剣にそれぞれ火、水、風、雷、地、闇と6つの属性が剣に付与されます。
男性獣人は戦闘体制に入ったセイントちゃんを見ながら笑みを浮かべ。
「面白い。なら相手になってもらおうか!」
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