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第三十八話 戦闘後のスリカ視点②
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「ぎゃーー熱い熱い! 煙出てるぞ!」
頭頂部が熱すぎて、そこを抑えながらクロノ中佐から離れる。頭頂部からは、うっすらと白い煙が上がっていた。
なんてことをするんだ。もしや、自分が睨んだ事に対する仕返しなのか。
と、思っていたけど、クロノ中佐は素直に謝ってきた。
「すまない。スリカ少佐が可愛くて、撫ですぎたようだ」
クロノ中佐の「可愛い」という言葉が、自分の胸を銃弾で撃ち抜いたような衝撃をもたらした。
「自分が……か、可愛い!?」
自然と頬が緩む。可愛いなんて……なんて……ふふ。
クロノ中佐に自分の心情を悟られないように、腕を組んで無理矢理威厳があるような顔をしながら話しかけた。
「可愛いなんて生まれて初めて言われたよ。
そうかそうか。自分はそんなに可愛いか」
「ああ、スリカ少佐は可愛い」
平然とした顔でそう言ってきた。
……なんだ、心が弾むような、この喜びは。
気がつくと自分は、ぴょんぴょんその場で両足ジャンプをしていた。
体が歓喜で震える。
「くぅ~~なんだ、この全身が歓喜する快感は。もっともっと可愛いをくれ、クロノ中佐」
「可愛い」
またその場でぴょんぴょんジャンプして喜ぶ。
長年軍に所属していたけど、可愛いなんて言われた事なかったから、嬉しい。とても嬉しい!
もっともっと「可愛い」と言って欲しい。もっともっともっともっともっと――。
気がつくと自分は、クロノ中佐から一歩半手前まで近づいて「可愛い」を求めていた。
「もっとだ」
「可愛い」
「もっと!」
「いい加減にしろ、スリカ。上官相手に失礼だぞ」
大佐が自分に怒鳴ってきた。
それにより、体がびくりと反応する。
自分とした事が、「可愛い」で浮かれすぎた。
すぐ意識を切り替えて、表情を引き締めて敬礼しながら大佐へと謝罪する。
「申し訳ございませんでした」
「うむ」
自分の謝罪に、大佐は満足げに頷いた。
よかった、怒られなくて。怒った大佐怖いんだよなぁ。
怒られた時の事を思い出して、体が一瞬ブルリと震えた。
その一方、クロノ中佐は何故かとても落ち込んでいた。
気になったけど、話しかけたらまた「可愛い」を求める自分が出てくるのでやめておく。
コンコンコン。
部屋のドアが三回ノックされた。
誰か任務完了の報告に来たのか。
そう思っていると、シーナ大佐がノックした主へと声をかける。
「入れ」
「あああ、あの、し、失礼しましゅっ!」
来たのはイヤリス大尉か。
声と噛んだことで、ドアの外にいる人物がすぐ分かった。
ガチャリとドアが開き、おどおどした態度で入ってきたのは、やはりイヤリス大尉だった。
イヤリス大尉は目を閉じて、緊張しながら自分達へと敬礼してきた。
「が、ガーディアンズ二十六番隊所属。イヤリス大尉。到着しましちゃっ」
やっぱり噛んだよ。もう慣れたからいいけど。
イヤリス大尉は約一年前、大佐が何処かの星からスカウトして、ガーディアンズ二十六番隊に入隊したけど、未だにこうなのだ。
すると、大佐は自分には決してしない優しい声を出しながら、イヤリス大尉へと話しかけた。
自分に意地悪する大佐でも、イヤリス大尉には比較的甘いのだ。甘々なのだ!
「よく来た。イヤリス大尉。
いきなりだが、余の部隊に新しい隊員が加わった。クロノ」
大佐がクロノ中佐と目を合わせた。
クロノ中佐は、おどおどしているイヤリス大尉に体を向けて、子供に接するような態度で自己紹介をした。
「本日からガーディアンズ二十六番隊に所属する事になった、ディーア・クロノ。階級は中佐だ」
「わわわ、私……は、エリクッサ・イヤリス。せ、聖職者で階級はたたた、大尉でしゅっ!」
頭頂部が熱すぎて、そこを抑えながらクロノ中佐から離れる。頭頂部からは、うっすらと白い煙が上がっていた。
なんてことをするんだ。もしや、自分が睨んだ事に対する仕返しなのか。
と、思っていたけど、クロノ中佐は素直に謝ってきた。
「すまない。スリカ少佐が可愛くて、撫ですぎたようだ」
クロノ中佐の「可愛い」という言葉が、自分の胸を銃弾で撃ち抜いたような衝撃をもたらした。
「自分が……か、可愛い!?」
自然と頬が緩む。可愛いなんて……なんて……ふふ。
クロノ中佐に自分の心情を悟られないように、腕を組んで無理矢理威厳があるような顔をしながら話しかけた。
「可愛いなんて生まれて初めて言われたよ。
そうかそうか。自分はそんなに可愛いか」
「ああ、スリカ少佐は可愛い」
平然とした顔でそう言ってきた。
……なんだ、心が弾むような、この喜びは。
気がつくと自分は、ぴょんぴょんその場で両足ジャンプをしていた。
体が歓喜で震える。
「くぅ~~なんだ、この全身が歓喜する快感は。もっともっと可愛いをくれ、クロノ中佐」
「可愛い」
またその場でぴょんぴょんジャンプして喜ぶ。
長年軍に所属していたけど、可愛いなんて言われた事なかったから、嬉しい。とても嬉しい!
もっともっと「可愛い」と言って欲しい。もっともっともっともっともっと――。
気がつくと自分は、クロノ中佐から一歩半手前まで近づいて「可愛い」を求めていた。
「もっとだ」
「可愛い」
「もっと!」
「いい加減にしろ、スリカ。上官相手に失礼だぞ」
大佐が自分に怒鳴ってきた。
それにより、体がびくりと反応する。
自分とした事が、「可愛い」で浮かれすぎた。
すぐ意識を切り替えて、表情を引き締めて敬礼しながら大佐へと謝罪する。
「申し訳ございませんでした」
「うむ」
自分の謝罪に、大佐は満足げに頷いた。
よかった、怒られなくて。怒った大佐怖いんだよなぁ。
怒られた時の事を思い出して、体が一瞬ブルリと震えた。
その一方、クロノ中佐は何故かとても落ち込んでいた。
気になったけど、話しかけたらまた「可愛い」を求める自分が出てくるのでやめておく。
コンコンコン。
部屋のドアが三回ノックされた。
誰か任務完了の報告に来たのか。
そう思っていると、シーナ大佐がノックした主へと声をかける。
「入れ」
「あああ、あの、し、失礼しましゅっ!」
来たのはイヤリス大尉か。
声と噛んだことで、ドアの外にいる人物がすぐ分かった。
ガチャリとドアが開き、おどおどした態度で入ってきたのは、やはりイヤリス大尉だった。
イヤリス大尉は目を閉じて、緊張しながら自分達へと敬礼してきた。
「が、ガーディアンズ二十六番隊所属。イヤリス大尉。到着しましちゃっ」
やっぱり噛んだよ。もう慣れたからいいけど。
イヤリス大尉は約一年前、大佐が何処かの星からスカウトして、ガーディアンズ二十六番隊に入隊したけど、未だにこうなのだ。
すると、大佐は自分には決してしない優しい声を出しながら、イヤリス大尉へと話しかけた。
自分に意地悪する大佐でも、イヤリス大尉には比較的甘いのだ。甘々なのだ!
「よく来た。イヤリス大尉。
いきなりだが、余の部隊に新しい隊員が加わった。クロノ」
大佐がクロノ中佐と目を合わせた。
クロノ中佐は、おどおどしているイヤリス大尉に体を向けて、子供に接するような態度で自己紹介をした。
「本日からガーディアンズ二十六番隊に所属する事になった、ディーア・クロノ。階級は中佐だ」
「わわわ、私……は、エリクッサ・イヤリス。せ、聖職者で階級はたたた、大尉でしゅっ!」
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