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エンペラーゴブリン編

第三十六話 ある意味人生における究極的な目的のファイナルフュージョン

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「ふむ。合体か」

 合体と言われて思い浮かべたのは、同じくらいの強さの二人が独特な動きをしたのち、両足をピーンと伸ばしながら指と指をくっつける合体方法と、ピアスをそれぞれ片方ずつ左右の耳に付ける合体方法だった。

「クフフ。私との合体方法はジンくんの考えよりもっと簡単な方法だよ」

「マジ? ポ◯ラより簡単なのか」
 
 心を読んだ天使が、俺のフレッシュでプリティなお尻にキスしたり、舐めたりしながら「うん❤️」と返事を返す。
 むかついたのでオナラするが、「はぁはぁ。ジンくんのオナラ」と嬉しそうに尻に顔を埋めながら、大自然で深呼吸するように「すーーーはーーーすーーーはーーー」気持ち悪く呼吸していたので、天使の好感度が-100追加された。(ちなみに現時点での天使への好感度はちょうど-37564)

「いい加減離れろ」

 お尻がムズムズしてきたのでヒップアタックで天使を吹っ飛ばした。

「ああん。ジンくんのオナラが」

 吹っ飛ばされ、オナラ程度で落ち込む天使に、顔を見るのも面倒だったので後ろを振り向かず、男らしく背中越しに語りかけた。

「オナラなんて後で吸わせてやる。だから俺と合体しよう。今すぐ」

「本当に!? やったー!」

 オナラ吸わせると言ったのにめちゃくちゃ喜ぶ天使。やっぱり天使ヤベェ。まともな神経じゃねぇよ。
 
「あっ、でも……」

 天使の声のトーンが下がった。
 
「合体するのに、一つ残念なお知らせがあるの」

「残念なお知らせ?」

「うん。それはね……」

 わざわざ俺の正面に移動した天使が、人魚のような女座りをしながら目に涙を浮かべ。

「くすん。にね。ジンくんの指輪と私の指輪を犠牲にして合体しなくちゃいけないの。くすん」

 本気で悲しいのだろう。嘘泣きではなくマジで落ち込みながら涙を滲ませる天使。
 だが俺は嬉しさのあまり「イイイイイイィィィヤッホーーーーーーーーーーー!!」とベッドの上をトランポリンのように跳ね、テンションUltra Mega MAXで天井付近まで高くジャンプしながらガッツポーズを掲げた。
 はははっ! ようやく俺を縛り付けていた呪いから解放されるぜ。ヒャホーーーーーー!
 悲しみで崩れ落ちる天使の周囲をくるくる回り、わくわくしながら天使の肩に手を置いて。

「さ、合体するか」

「……うん。指輪を失うのは辛いけど、これもジンくんの為だもんね」

「うんうん。その通りだ。偉いぞ~」

 上機嫌のまま天使の頭を撫でる。
 すると天使は気持ちよさそうに目を細め、手を離した頃にはすっかり元気になっていた。

「よーし。私頑張っちゃうよ。ジンくんの指輪触らせて」

「ほほーい」
 
 指輪のついた指を出し、天使が俺の指輪に触れた。
 すると【パスワードを入力してください】という機械的な声でアナウンスが指輪から流れ、同時に空中にモニターが表示され、天使が【SUKI⭐︎SUKI⭐︎DAI⭐︎SUKI⭐︎JIN⭐︎Chu】というめちゃくちゃダサイパスワードを打つと、【パスワードを確認しました】というアナウンスとモニターに表示が出され、よくわからない大小さまざまなモニターが空中に浮かび上がり、天使がハッカー顔負けのスピードでカタカタとモニターに向かってよく分からない操作していた。
 わくわく。ようやく自由になれるんだ。俺による『新時代』が始まるんだ!
 鼻歌で新時代が幕を開ける歌を歌いながらその時を待っていると、天使が「準備ができたよ」と満面の笑みで伝えてきた。いよいよか。

「じゃあ合体するから、ジンくんの指輪を私の指輪とぶつけてね」

「ほほーい」

 天使の指示通り、クロスするように指輪と指輪をゴッツンコさせた。

「そしてジンくんはこう言うの『ファイナルフュージョン』」

「ファイナルフュージョン!」

 俺の言葉に反応したのか、俺の指輪が赤く輝き出した。よっっしゃああ!

 舞い上がる俺。

 だが。

「クフフ。ジンくん」

「何、一体どういう事だ!」

 天使の顔が変化し、肉食動物のような獰猛さと、サキュバスのような色気を全身から醸し出しながら。

「私はずっとこの瞬間を待っていた。この瞬間を!」

「なんでそんなにテンションが高いんだ? 合体するから一つになるのは当然だろ」

 俺が某探偵アニメの刑事のように聞いてみると、天使が某探偵アニメのメガネ少年のようにニヤリと笑いながら。

「そうだね。でもジンくんは肝心な合体の方法を聞かなかった。そこに私の勝機があったの!」

 天使の目がとろんと崩れ、ここで最初にしたようにM字開脚で足を開き、指でくぱぁと股の中まで見せつけながら一言。

「承・認❤️」

 その瞬間。天使の指輪が白く輝き、指輪がそれぞれ俺達の指から外れたかと思うと、天使の付けていた指輪が俺のチン◯にはまり、俺の指輪が天使の股の中へと大きく広がってスッポリとはまる。
 今更ながら嫌な予感がしたがもう全部が遅かった。
 指輪の力なのか、死にかけたナメクジのようだった俺のチン◯が、月を見たサ◯ヤ人のように大きく覚醒し、ブラックホールに吸い寄せられるような凄まじい力で天使の股目掛けて体ごと突き進む。

「いやぁぁぁーーーーーーーーーーー!!!」

「あぁぁーーーーーーーーーーーん❤️❤️❤️」

【キーの挿入を確認。最終セーフティの解除。ファイナルフュージョンを開始します】
 
 雷に打たれたようにビクビク震える天使のからくぐもった機械的な声のアナウンスが流れた。

「ジンくん。大好き❤️」

「天使。大嫌いだ」
 
 磁石のようにお互いに強く抱き合いながら、すぐに体が体ではなくなる奇妙な感覚が俺と天使を襲い、絵の具が交わるように俺と天使の身も心も何もかもが一つになった。
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