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プロローグ2 勇者になったぜい\(^o^)/

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 骸骨騎士に刺された俺は今。

「おおジンよ。ここで死ぬとは情けない」

 どこかで聞いたことのあるセリフを言う、天使の羽が生えた女性のところにいた。

 俺がいるこの場所はとても広い道場のような空間で、刺されたことを考えると、真っ先に思い浮かんだ場所は天国だった。

「どうやら俺は死んだらしいな」

「いいえ。まだあなたは完全には死んでいません」

「そうなの?」

「はい。あなたは別の世界で死んだので、こんなややこしいところに送られたのです」

「ややこしいって、ここは一体どこなんだ?」

 天使のような女性は朗らかな表情のまま。

「ここは異世界を救うための勇者育成機関です」

「勇者育成機関?」

「はい。地獄から現世に出てきた大悪魔や魔王といったそれらの存在を私達天使の代わりに倒してくれる勇者を育てる機関です」

「マジで!? それってつまり、ここにいれば俺は勇者になれるってことなのか?」

「はい。ただしここに通うことができるのは私どもに認められた一部の人間だけです。あなたは認められておりませんので、本来はここにすら来ることができないはずなのですが……」

 天使の女性は「はぁぁ」と片手で頭を押さえながら大きくため息をついた。

 おい、人前だぞ。

「異世界で別の世界の人間が、その世界の人間を助けて死んだ場合はここに送られるようになっておりますので、不本意ですがあなたはここに通う権利を得たわけです」

「今不本意って……まぁいいや。俺こんな感じで勇者とかになるのずっと憧れてたんだよ」

「そうですか、別に断ってくれてもいいのですよ」

 天使のような女性は表情こそ穏やかだが、断ってくれと言わんばかりの口調で答えた。

 だけど俺はそんなこと完全に無視して。

「いえいえせっかくですし、勇者にならせていただきます」

「ホントに良いのですか? 才能のない人間にとってここは地獄となんら変わりませんよ?」

「どんな地獄だろうが受けて立ちますよ」

「だけど、ものすご~~くつら~~く、苦しい目にあうかもしれませんよ」

「大丈夫です。どんなにつらく、苦しくても乗り越えます」

「ですが――」

「ああもうしつこーーい!」

 どんだけ俺に勇者になってほしくないんだよこの天使は!

「……わかりました。少々お待ちください」

 俺が断らなかったので天使は難しい顔をしながら頭に指を添えると、ぶつぶつと1人で話し始めた。
 見た感じどうやら誰かと会話しているようだ。

「ごめんなさいごめんなさい。はい。はい。申し訳ございません。はい。はい。よろしくお願いいたします。はい。はい。失礼いたします」

 指を離してため息を深くつき、会話など何もなかったかのように、くるりと回って天使がぎこちない笑顔でこちらに振り向いてきた。

「上に許可をいただきました。
 カミバライ=ジン様。あなたは正式に勇者育成機関の生徒として認証されました…………誠におめでとう……ございます……」

 天使は表情とは裏腹に、もの凄く嫌そうな雰囲気を醸し出していた。

 こうして晴れて勇者育成機関に通うことのできた俺だったが、ここは天使の言葉通りまさに地獄だった。
 毎日毎日軍隊式の筋トレに剣の素振り一万回に意味のわからない魔法の勉強など1日20時間。寝る時間を削ってぶっ通し行われたのだ。
 おかげで心身共にめちゃくちゃ鍛えられ。ここに来て3年後。

「ジンくん。よく頑張りましたね」

「ありがとうございます」

 天使から聖剣を授与され、俺はついに勇者として認められた。
 俺は喜びのあまり両手を広げ。

「やっと勇者になったぞおおおお!」

「ジンくん。おめでとう。私はジンくんなら勇者になれると信じてましたよ」

「嘘つけ!」

 3年間共にいた天使はわざとらしく嘘泣きをしながら俺の足元に魔法陣を召喚し。

「聖剣を手にしたジンくんはもう一人前の勇者です。だからこんなとこにいないで早く救うべき世界へ行ってください」

「わかった。
 天使。今までありがとな」

 俺は高校の卒業式以来に涙ぐんで天使に御礼を言った。
 
 だけど天使はいつのまにか用意した椅子に座って朝食を食べ始め。

「頑張ってねジンくん。私朝ごはん食べながら応援してるから」

「嘘つけ! 絶対応援する気ないよな!」

「はい^ ^」

「笑顔で言うなああああ!」

 俺のツッコミと同時に足元にある魔法陣が光り、3年間見慣れた景色が変化していき気がつくと。

「あれ? ここは?」

「きゃあああ! 生き返ったあああ!」

「生き返った?」

 正面にはいつか見たことのある少女と骸骨騎士がいた。
 どうやら俺はかつて殺された異世界に送られたようだ。

「バカナ。ナゼイキテイル!」

 それと俺が死んでいた間の時間は止まっていたらしく、骸骨騎士と少女は化け物を見るような目で俺を見ていた。

 アイツは俺を殺した骸骨騎士だな。

「『スカウト』」

 俺の瞳が神々しく光り、骸骨騎士を上から下まで隅々まで読み取り。

《アンデットナイト》(アンデット族)
 ATK 234
 DEF 82
 SPD 103
《スキル》
 死の兵。死の騎士。
ーーーーーーーーーーーーー

 ふっ、雑魚め。

「こい、聖剣!」

 俺は勇者として手に入れたばかりの聖剣を召喚する。

《聖剣シャイニングソード》(聖剣)
 ATK +2800
《スキル》
 光変化(この剣のATK以下のDEFを持つ敵を光に変える)
ーーーーーーーーーーーー

「ソノケンハマサカ!」

「消えろ雑魚が! 『シャイニング・スラッシュ!』」

「グアア!」

 俺に斬られた骸骨騎士が光となって跡形もなく消滅した。
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