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友達のはなし
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中学生の頃は、級長をやっていたおかげか、クラスメートや学年での交流は普通の人に比べて多かったと思っている。週一で行われる級長会議に出席すると、普段は話したこともない人と多くしゃべれるので、個人的にとても楽しみだった。なかでも、一年生の時に経験した嫌われていると思い込んでいた隣のクラスの級長村松君と仲良くなれたことが会議での一番の思い出だ。
小学6年生の頃、歴史に興味を持ってもらう研修で知らない人とともに1泊2日で1000km以上遠くへ行ったことがある。同じ小学校の友達は2人しかおらず、あとは別の小学校の人たちだった。僕はA小学校に通っていたのだが、村松君は中学校に上がる際に学区が統合されるB小学校に通っていた。彼はイケメンで中学校の定期テストでは200人中4位の秀才で、陸上部の大会では県大会へと勝ち進め、でそれでいて合唱コンクールではピアノを担当する、僕の中での完璧人間であった。そんな素晴らしい功績は中学へ進んでから判明するものなので、当時はただイケメンだなぁぐらいにしかとらえていなかった。事前研修で自己紹介をしたとき、なんだか話しかけづらそうだと偏見を持っていたが、仲を深めるための交流会で会話をすると、とても気さくな人だった。そこからは会うたびに仲を深めていき、ついに当日を迎えた。向かう途中の新幹線の中でも、ほかのメンバー10人ほどとトランプなどで盛り上がっていた。
事故は2日目に起きた。現地のお土産を買う時間があったのだが、お財布を開いてみてびっくりした。3000円までのルールだったはずが、お札が重なってもう一枚1000円札が入っていたのだ。どうやらお金を入れ間違えたらしい。しかしここで心の中の悪魔がささやく。
「中学校に行ったらもうこんなところにこれなくなるぞ。お土産を買うなら今のうちなんじゃないのか?」
天使は負けじと反論する。
「せっかく研修に来ているのに、ルールを破るなんてひどい!絶対に使ってはダメ!」
頭の中でぐるぐるぐるぐる回り続け、結局欲には勝てずに現地産の果物を使用したゼリーを買ってしまった。罪悪感にさいなまれながらも、レジに並ぶ。前に並んでいたのは村松君だった。払い終えたとき、「あっちで待ってるね」と言って彼は出口へ向かっていった、はずだった。僕がお金を払っていた時、なんと彼は戻ってきたのだ。どうやら買ったものを一つ落としたらしい。店員さんが高らかに叫ぶ。
「お会計3780円になります!」
村松君は大きく目を見開き、戸惑ったがすぐに冷静になった。そしてお釣りをもらってレジを離れる僕に一言。
「・・・うん、見なかったことにしておくよ。」
彼は必死に取り繕ったかのような笑みを浮かべていた。このセリフを聞いたとき、罪悪感はピークに達した。しかし返品すればいいなどという話ではないため。どうすることもできなかった。弁明、というかただ聞き苦しい言い訳が頭に浮かんでは消えていく。何も言えずにただ「・・・ごめんね。」とだけ言って出口へ歩いた。
帰りの新幹線では彼が体調を崩してしまい、結局そのあとは話しかけることができなかった。
「少年の日の思い出」ならぬ「小6の夏の思い出」のように悲しい経験をしてしまったわけで、実際中学校に上がるのが少し嫌だった。完全に自分のせいなので誰も責められない。 「少年の日の思い出」というのは、今でも中一の教科書に掲載されている「そうか、そうか、つまり君はそんなやつなんだな」でお馴染みの胸糞エンド小説である。国語の授業でやった時は、登場人物である「僕」くんと自分を重ね合わせて読んでいたものだ。
上がってからは、意気揚々と級長に立候補し、落選。その後の後期選挙では級長の座をつかみ取るも、級長会議は憂鬱だった。席に並ぶとき、1年ぶりに村松君と目が合った。しかし、彼は何も言わずにすぐに資料へと目をそらした。このとき、「ああ、完璧に嫌われてるな。」と思いいまさらながら二度目の絶望をしたものだ。
そんなこんなで級長会議は続き、ほかの人とは話しかけて気が合えば仲良くなっていったのだが、村松君にはこちらからはまったく話しかけられずに1年生が終わろうとしていた。ある日、2年生で行く宿泊研修の実行委員会を決めることとなった。立候補して当選すると、メンバーのうちの一人に村松君がいた。「どうしよう・・・」ただこの言葉が渦巻いていた。実行委員は最初に交流会がある。男子5人:女子15人という吹部かよと突っ込みたくなるような男女比だったため、必然的に男子は固められることになる。男子のうち1人はA小の時からの友達、2人は1年生の時に同じクラスで仲良くなった友達であった。そうなると交流会ので意味を成すのは村松君との交流ということになる。恐る恐る話しかける。
「1年D組長坂です。村松君とは国内研修で一緒だったよね。あの時はずるしててごめん!」
最初は恐れていたが、ラストは一気にまくしたてる形になってしまった。目をつむって返事を待つ。一瞬の沈黙の後、言葉が返ってきた。
「1年C組村松です。大丈夫。あの時のことは気にしてない。むしろ人間味を感じてよかったよ。」
どうやら彼は人を許せるところまで完璧だったようだ。一年間引きずってきた嫌な思い出が、少し腫れた気がした。
そこからは、会うたびに廊下でよく話し、少し前までの重苦しい雰囲気は完全に飛んでいた。今でも村松君とはたまに連絡を取っている。
今の話はすべて村松君が人を許せる人間だったから。嫌な思い出は多々あるが、仲が修繕されることがうまくいったことなんてこれぐらいしか見当たらない。次は修繕されなかった思い出を記す。
中学校に上がるとき、家が比較的遠かったにもかかわらず徒歩通学だった。50m先に住んでいる友達は自転車通学ということもあって、通学の時に歩くのはとても嫌だった。しかし、一人で歩くのは寂しいため、通学の時には一緒に歩こうと小6の時に2人の友達と約束していた。濱川君と日向君である。この二人とは小6の時に仲良くなった。それで、学校に行くときは一緒に行こうという話になり、一緒に行くことにした。クラスが3人ともバラバラになってしまったため、一緒に話すいい機会だと思った。しかし、いくつか問題があった。僕は学校か1.5kmほど離れた位置に住んでいたのだが、彼らは1kmほどの位置に住んでいた。彼らの家の近くの信号が集合場所だったため。集合場所までは歩かなければいけない。ほかにも、連絡手段を持っていなかったため相手が部活や欠席だった時にわからず、その信号で5分以上待ち続けたこともあった。
少し不便を強いられながらも楽しく通学をしていた、というかだんだん部活が入るようになって登校時間もばらばらになり一緒に登校することもなくなっていたある日、引っ越すとの話が出た。同じ学区内だったため学校は変わらないのだが、自転車通学の条件を満たすような少し遠い位置に引っ越すことになったので、ただただうれしかった。引っ越す前日、3人とも部活がないというので、久しぶりに3人で登校することにした。しかし一転、次の日集合場所に来てみれば濱川君しかいないではないか。
「日向?あいつなら昨日部活があったわって連絡来たけど」
どうやら彼は部活があったのを見逃していたようだ。しょうがないので濱川君と歩き、自転車通学になるからこれからは歩けないといった内容の話をした。濱川君は真剣な表情で聞き、
「最近は全然いけてなかったもんね。遠かったのに一緒に歩いてくれてありがとう。」
と言ってくれた。
自転車通学をする際、近所の人がみんな幼馴染だったことから、7人でまとまって通学しようと言われ、すぐに快諾した。引っ越しを終えて通学をするとき、今までとは全く違う内容の話が聞けて面白かった。
が、問題は唐突に起きた。学校に着いて教室に向かうと、日向君とすれ違ったので、いつものように「おはよう。」と声をかけた。しかし彼はこちらに見向きもしなかった。少し悲しい気分でその日の授業を終え、部活に行ったとき、日向君と家が近いためか交流があり、彼とクラスも同じ女子白木さんからある話を聞いた。
「長坂引っ越したんだね~。あ、そういえばさっき日向がなんか言ってたよ。長坂が濱川にはきちんと話をしてお礼までしたのに俺にはなしか、って。これからも関係を続けたいなら謝ったらいいんじゃない?」
それを聞かされて驚いた。確かにこちらも誠意が足りなかったとは思うが、その言いようは何なんだと。挨拶すらも無視されるのにどう謝れというのだ。
それ以来日向君とは顔を合わせる機会もなくなり、結局一度もクラスが同じにならなず、謝れずじまいだった。
小学6年生の頃、歴史に興味を持ってもらう研修で知らない人とともに1泊2日で1000km以上遠くへ行ったことがある。同じ小学校の友達は2人しかおらず、あとは別の小学校の人たちだった。僕はA小学校に通っていたのだが、村松君は中学校に上がる際に学区が統合されるB小学校に通っていた。彼はイケメンで中学校の定期テストでは200人中4位の秀才で、陸上部の大会では県大会へと勝ち進め、でそれでいて合唱コンクールではピアノを担当する、僕の中での完璧人間であった。そんな素晴らしい功績は中学へ進んでから判明するものなので、当時はただイケメンだなぁぐらいにしかとらえていなかった。事前研修で自己紹介をしたとき、なんだか話しかけづらそうだと偏見を持っていたが、仲を深めるための交流会で会話をすると、とても気さくな人だった。そこからは会うたびに仲を深めていき、ついに当日を迎えた。向かう途中の新幹線の中でも、ほかのメンバー10人ほどとトランプなどで盛り上がっていた。
事故は2日目に起きた。現地のお土産を買う時間があったのだが、お財布を開いてみてびっくりした。3000円までのルールだったはずが、お札が重なってもう一枚1000円札が入っていたのだ。どうやらお金を入れ間違えたらしい。しかしここで心の中の悪魔がささやく。
「中学校に行ったらもうこんなところにこれなくなるぞ。お土産を買うなら今のうちなんじゃないのか?」
天使は負けじと反論する。
「せっかく研修に来ているのに、ルールを破るなんてひどい!絶対に使ってはダメ!」
頭の中でぐるぐるぐるぐる回り続け、結局欲には勝てずに現地産の果物を使用したゼリーを買ってしまった。罪悪感にさいなまれながらも、レジに並ぶ。前に並んでいたのは村松君だった。払い終えたとき、「あっちで待ってるね」と言って彼は出口へ向かっていった、はずだった。僕がお金を払っていた時、なんと彼は戻ってきたのだ。どうやら買ったものを一つ落としたらしい。店員さんが高らかに叫ぶ。
「お会計3780円になります!」
村松君は大きく目を見開き、戸惑ったがすぐに冷静になった。そしてお釣りをもらってレジを離れる僕に一言。
「・・・うん、見なかったことにしておくよ。」
彼は必死に取り繕ったかのような笑みを浮かべていた。このセリフを聞いたとき、罪悪感はピークに達した。しかし返品すればいいなどという話ではないため。どうすることもできなかった。弁明、というかただ聞き苦しい言い訳が頭に浮かんでは消えていく。何も言えずにただ「・・・ごめんね。」とだけ言って出口へ歩いた。
帰りの新幹線では彼が体調を崩してしまい、結局そのあとは話しかけることができなかった。
「少年の日の思い出」ならぬ「小6の夏の思い出」のように悲しい経験をしてしまったわけで、実際中学校に上がるのが少し嫌だった。完全に自分のせいなので誰も責められない。 「少年の日の思い出」というのは、今でも中一の教科書に掲載されている「そうか、そうか、つまり君はそんなやつなんだな」でお馴染みの胸糞エンド小説である。国語の授業でやった時は、登場人物である「僕」くんと自分を重ね合わせて読んでいたものだ。
上がってからは、意気揚々と級長に立候補し、落選。その後の後期選挙では級長の座をつかみ取るも、級長会議は憂鬱だった。席に並ぶとき、1年ぶりに村松君と目が合った。しかし、彼は何も言わずにすぐに資料へと目をそらした。このとき、「ああ、完璧に嫌われてるな。」と思いいまさらながら二度目の絶望をしたものだ。
そんなこんなで級長会議は続き、ほかの人とは話しかけて気が合えば仲良くなっていったのだが、村松君にはこちらからはまったく話しかけられずに1年生が終わろうとしていた。ある日、2年生で行く宿泊研修の実行委員会を決めることとなった。立候補して当選すると、メンバーのうちの一人に村松君がいた。「どうしよう・・・」ただこの言葉が渦巻いていた。実行委員は最初に交流会がある。男子5人:女子15人という吹部かよと突っ込みたくなるような男女比だったため、必然的に男子は固められることになる。男子のうち1人はA小の時からの友達、2人は1年生の時に同じクラスで仲良くなった友達であった。そうなると交流会ので意味を成すのは村松君との交流ということになる。恐る恐る話しかける。
「1年D組長坂です。村松君とは国内研修で一緒だったよね。あの時はずるしててごめん!」
最初は恐れていたが、ラストは一気にまくしたてる形になってしまった。目をつむって返事を待つ。一瞬の沈黙の後、言葉が返ってきた。
「1年C組村松です。大丈夫。あの時のことは気にしてない。むしろ人間味を感じてよかったよ。」
どうやら彼は人を許せるところまで完璧だったようだ。一年間引きずってきた嫌な思い出が、少し腫れた気がした。
そこからは、会うたびに廊下でよく話し、少し前までの重苦しい雰囲気は完全に飛んでいた。今でも村松君とはたまに連絡を取っている。
今の話はすべて村松君が人を許せる人間だったから。嫌な思い出は多々あるが、仲が修繕されることがうまくいったことなんてこれぐらいしか見当たらない。次は修繕されなかった思い出を記す。
中学校に上がるとき、家が比較的遠かったにもかかわらず徒歩通学だった。50m先に住んでいる友達は自転車通学ということもあって、通学の時に歩くのはとても嫌だった。しかし、一人で歩くのは寂しいため、通学の時には一緒に歩こうと小6の時に2人の友達と約束していた。濱川君と日向君である。この二人とは小6の時に仲良くなった。それで、学校に行くときは一緒に行こうという話になり、一緒に行くことにした。クラスが3人ともバラバラになってしまったため、一緒に話すいい機会だと思った。しかし、いくつか問題があった。僕は学校か1.5kmほど離れた位置に住んでいたのだが、彼らは1kmほどの位置に住んでいた。彼らの家の近くの信号が集合場所だったため。集合場所までは歩かなければいけない。ほかにも、連絡手段を持っていなかったため相手が部活や欠席だった時にわからず、その信号で5分以上待ち続けたこともあった。
少し不便を強いられながらも楽しく通学をしていた、というかだんだん部活が入るようになって登校時間もばらばらになり一緒に登校することもなくなっていたある日、引っ越すとの話が出た。同じ学区内だったため学校は変わらないのだが、自転車通学の条件を満たすような少し遠い位置に引っ越すことになったので、ただただうれしかった。引っ越す前日、3人とも部活がないというので、久しぶりに3人で登校することにした。しかし一転、次の日集合場所に来てみれば濱川君しかいないではないか。
「日向?あいつなら昨日部活があったわって連絡来たけど」
どうやら彼は部活があったのを見逃していたようだ。しょうがないので濱川君と歩き、自転車通学になるからこれからは歩けないといった内容の話をした。濱川君は真剣な表情で聞き、
「最近は全然いけてなかったもんね。遠かったのに一緒に歩いてくれてありがとう。」
と言ってくれた。
自転車通学をする際、近所の人がみんな幼馴染だったことから、7人でまとまって通学しようと言われ、すぐに快諾した。引っ越しを終えて通学をするとき、今までとは全く違う内容の話が聞けて面白かった。
が、問題は唐突に起きた。学校に着いて教室に向かうと、日向君とすれ違ったので、いつものように「おはよう。」と声をかけた。しかし彼はこちらに見向きもしなかった。少し悲しい気分でその日の授業を終え、部活に行ったとき、日向君と家が近いためか交流があり、彼とクラスも同じ女子白木さんからある話を聞いた。
「長坂引っ越したんだね~。あ、そういえばさっき日向がなんか言ってたよ。長坂が濱川にはきちんと話をしてお礼までしたのに俺にはなしか、って。これからも関係を続けたいなら謝ったらいいんじゃない?」
それを聞かされて驚いた。確かにこちらも誠意が足りなかったとは思うが、その言いようは何なんだと。挨拶すらも無視されるのにどう謝れというのだ。
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