上 下
81 / 118
番外編

80 勇気ある撤退 ※

しおりを挟む
青々と繁った葉をそっと手に取るとブチッとちぎる。ちぎったさきからどんどん復活していく葉っぱ達。

タラリとこめかみから汗が伝った。

「……どうしてこうなった?」






――1時間前

キン肉モリモリ薬の開発があと一歩上手くいかず、俺は気分転換に薬草のハウスへ足を運んでいた。

フンフンフーン♪と鼻唄を歌いながら薬草の世話をしていると後ろから抱き締められる。

「……時間が空いたから、薬草の様子を見に来た。」

お前さっき連行されてたばかりだよな……。

「そう、か。」

……もう、あえて何も言うまい。

ゴリッ

うん?

「……ライと片時も離れがたいんだ。もう退位したい。朝から晩までSEXしよう?」

うーん、それ、俺の尻穴ガバガバになるやつやん?

俺が遠くを凪いだ瞳で見ていると目の前にガラスのビンを2つ見せられた。

オイルとエリクサー。

なるほど、さすが出来る子アレン。同じ失敗は繰り返さないのだ。

アレンはトロリと手にオイルを垂らすと俺の服をめくりあげてズボンに手を入れた。

「はぁ……」

指をズボズボと出し入れされ違和感に耐えながら力を抜くように努力する。昨日の大惨事の傷跡は残っていない。エリクサー万歳。

アレンはオイルでトロトロになった俺の穴に二本三本と指を増やしグチョグチョにかき混ぜ準備万端とばかりに中を一掻きして俺を喘がせると指を抜いた。

「あっんっ……はあ、はあ……」

アレンは俺の腰を支えたまま片手でマントを外すと地面に敷いた。

「膝を――」

つけってね。

ハイハイ仰せのままにと俺はお尻だけ出した状態で四つん這いになった。

――恥ずかしい。何やってんの俺?我に返りお尻の穴を隠すために上体を起こすとペタンと座り上服の裾でお尻を隠しながら後ろを振り返った。

「……ぶち犯す。」

アレンは俺を見下ろし真顔でそう言うとエリクサーの瓶の蓋をシュポンと口で開け俺の尻の穴に突っ込んだ。

「ひぃっ!……なっ……」

とぷとぷと俺の中に注がれていくエリクサー、勿論入りきれずに太ももを伝いマントに垂れていく。

「ア、レン……はぁあっ……気持ちっ……わりぃ……なんっで……?」

エリクサーは尻から飲むものではない!断じてないぞ!?

「ああっ……そん、な……きゅうにぃっ……たっ……」

「大丈夫……これでライが傷付いてもすぐ治る……から……やれる……はぁあっ」

熱い塊をミチミチと挿入しながらアレンが宣う。てめぇこの野郎!傷付ける前提かよ!

「ああっ……いてぇ……ううっ……」

何でこんなに痛いのか、成る程後から後から痛みが引いてはまた切れて痛むを繰り返す行為にエリクサーの使い道の新しい可能性を知り感動に身を震わした。――いや、デカブツを突っ込まれて身を震わした。

やはり頭がイってしまったアレンに目茶苦茶に揺さぶられながらここで意識を手放したらアレンはまた、満足できないままだと必死で耐え、良いことを思い付いた。その間もパンパンと獣のように突かれている。

まさぐられてぐちゃぐちゃの上服の間から必死にある瓶を出す。これだ、これしかない。これでアレンを満足させられる。……アレン、大好き。

「何をしているの?」

俺がその中身をガタガタと揺さぶられながら溢さないように飲もうとしているとアレンの動きがピタリと止まり、冷静な、ほんっとに冷静なアレンの声がした。

……あ、てめぇこの野郎。頭イってるふりしてやがったな!?

「……や、キン肉モリモリの試作品。アレンを満足させてぇし……俺……ああっ……ンぁっ……はぁっ……んんっ」

アレンの動きが止まったから傷も治り、中にアレンが収まってそれがいいところをかすってて思わず恥ずかしい声を連発してしまった。

パリンッ!!

アレンは無言で瓶を投げ飛ばすとまた腰を今度はゆっくり使い出した。

ひどっ!!

あっ、ゾゾゾゾゾ……気持、ち……いいっ!

「俺はそのままのライがいい……好きだ……ずっとライの中にいたい。」

ゆっくりと俺のいい所を的確につきながらアレンがそのままの俺でいいって言った。醜男でもいいの?その事実にキュウと胸が締めつけられて……イきそう。

「ああっ……やっ……もぅっ……」

俺の感動を露知らずアレンは俺の腰を掴みピストンを速めていく、……ああ……いいっ……俺もその動きに合わせ腰を揺らし快感のその先を目指した。

「……はぁっ……ああっ……出したくない……ずっと……このまま……ぐぅっ!!」

「やぁっ……ああっ……んぁっ……出し、てっ……ア、レンっ……ああああっ!」

アレンは分身をビクンビクンとさせながら最奥に暖かい精液を注ぎ込むとそのまま蓋をするように突き刺したまま倒れ込んできた。キン肉モリモリになれなかった俺は支える事も出来ず一緒に倒れた。

はぁはぁはぁはぁ……

服の間から俺の乳首を転がしていたアレンは俺の息が整うと耳元で悪魔の言葉を囁いた。

「はぁ……もう一回、いい?」

駄目に決まっている。この俺の体はまだSEX二回目なんだぞ。労りやがれと言おうとしたらそこはアレン、この国の王様。チートな勇者は勝手に再開してたよね。

「あっ……駄、目……」

俺が目を瞑り快感に身を委ねそうになったその時――

「――そうだ、駄目に決まっているだろう。このバカップル。」

「んぁっんっ!?」

ズルっとアレンが抜けていく感覚に悶える。

息子の再登場にあっという間にさっきみたいに拘束されていくアレン。下半身裸だけど……王の尊厳って……

そして、息子のドライアイスの瞳に見下され俺はびくついた。

「一体トイレに何分掛かっている。この変態国王が。……一応聞くが、同意の上か?」

息子はマントを俺に掛けながら顔をしかめた。

ですよね~臭ますよね。ほんっとにごめんなさい。

俺はグショグショデラデラの自分を隠すようにマントの両端を掴みコクンと頷いた。


「ならいいが無理矢理襲われているようにしか見えないから、気を付けろ。そして……自重しろ。」

おっ、お前の父親に言ってくれ!!

俺がぐったりとしていると「大丈夫か」と聞いてくるから根はいいやつなのかもしれない。エリクサーを飲んで「大丈夫だ」と言うとドライアイスの瞳を更に霞ませ「何処がいいんだ?こんな生っ白いガリガリ男。」と言った。

ですよね~。ほんっとすいません。醜男と言わないだけ優しいな。ティアラの血を継いでいるだけあるな。

「……母上のような熟女の方が俺は何倍も勃つがな。はぁ、変態国王の趣味は分からん。」

……アレンの息子はマザコンの熟女好きらしい。


――そして冒頭に戻る。アレンが飛ばしたビンが転がる先にはその液体をかけられた薬草があった。薬草はハウスを突き破り天高くそびえ立っている。ちぎってもちぎっても生えてくる。

「……気持ち悪ぃ。」

そうして俺はキン肉モリモリ薬の開発を諦めた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕を愛さないで

レモンサワー
BL
母が僕を庇って、死んでしまった時から僕の生活は一変した。 父も兄も温かい目じゃなく、冷たい目で僕を見る。 僕が母を殺した。だから恨まれるのは当然。 なのにどうして、君は母親殺しの僕を愛しいと言うの?どうして、僕を愛してくれるの? お願いだから僕を愛さないで。 だって、愛される喜びを知ってしまったら1人、孤独になった時耐えられないから。捨てられてしまった時、僕はきっと絶望してしまうから。 これは愛されなくなってしまった優しい少年が、少年のことを大事に思う人と出会い、とびきりに愛される物語。 ※R15に念の為に設定していますが主人公がキスをするぐらいです。

虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)

美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!

愛し合う条件

キサラギムツキ
BL
異世界転移をして10年以上たった青年の話

僕の兄は◯◯です。

山猫
BL
容姿端麗、才色兼備で周囲に愛される兄と、両親に出来損ない扱いされ、疫病除けだと存在を消された弟。 兄の監視役兼影のお守りとして両親に無理やり決定づけられた有名男子校でも、異性同性関係なく堕としていく兄を遠目から見守って(鼻ほじりながら)いた弟に、急な転機が。 「僕の弟を知らないか?」 「はい?」 これは王道BL街道を爆走中の兄を躱しつつ、時には巻き込まれ、時にはシリアス(?)になる弟の観察ストーリーである。 文章力ゼロの思いつきで更新しまくっているので、誤字脱字多し。広い心で閲覧推奨。 ちゃんとした小説を望まれる方は辞めた方が良いかも。 ちょっとした笑い、息抜きにBLを好む方向けです! ーーーーーーーー✂︎ この作品は以前、エブリスタで連載していたものです。エブリスタの投稿システムに慣れることが出来ず、此方に移行しました。 今後、こちらで更新再開致しますのでエブリスタで見たことあるよ!って方は、今後ともよろしくお願い致します。

兄上を野放しにすると没落するので牢獄に閉じ込めたい

月歌(ツキウタ)
BL
BLゲームの世界に転生した僕は、義兄のアンデルスを罠に嵌めて牢獄に閉じ込めた。何故なら、兄上がバッドエンドを食らった主人公の処刑現場に乱入して救い出すつもりだと知ってから。そんな事をしたら、侯爵家が破滅するってなんで理解しないの、兄上!

【R18BL】世界最弱の俺、なぜか神様に溺愛されているんだが

ちゃっぷす
BL
経験値が普通の人の千分の一しか得られない不憫なスキルを十歳のときに解放してしまった少年、エイベル。 努力するもレベルが上がらず、気付けば世界最弱の十八歳になってしまった。 そんな折、万能神ヴラスがエイベルの前に姿を現した。 神はある条件の元、エイベルに救いの手を差し伸べるという。しかしその条件とは――!?

もふもふ獣人転生

  *  
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。 ちっちゃなもふもふ獣人と、騎士見習の少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。

配信ボタン切り忘れて…苦手だった歌い手に囲われました!?お、俺は彼女が欲しいかな!!

ふわりんしず。
BL
晒し系配信者が配信ボタンを切り忘れて 素の性格がリスナー全員にバレてしまう しかも苦手な歌い手に外堀を埋められて… ■ □ ■ 歌い手配信者(中身は腹黒) × 晒し系配信者(中身は不憫系男子) 保険でR15付けてます

処理中です...