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最終章
73 早く気付いて
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ああ、よく寝た。
ここ1年ハウス作りに夢中でハウスの床で寝ていた。フカフカのベットで寝たのはいつぶりだろう?
布団の中で両手両足を思いっきり伸ばし背伸びをすると、絡み付いていたアレンの腕が離れそうになったがそれを不服とばかりに更に抱き込まれる。
そこで漸く目を開けると世にも美しい男の顔が間近に迫っていた。
「アレン。」
「ああ。」
まるで目の前に大好物があるかの様に嬉しそうで物欲しそうな顔をしてアレンがこちらを見ている。
「そんなに見ても俺は食べられねぇぞ?」
身の危険を感じて俺は青ざめた。
「……いつか絶対に食べてやる。取り合えずもっと太れ。」
ええ?太らせて食べる気か?食べられるのは嫌だな。どちらかというと俺は食べたいんだ。
――でも、
「アレンになら食べられるのも悪くねぇな。」
そう言うと美味しそうなほっぺに噛みつきペロリと舐めた。
「でも、やっぱり俺が食べたい。……いい?」
噛まれ舐められた頬に手をやり真っ赤になったアレンを見つめ頬笑む。
「ダメ?」
アレンの首に腕を回して首を傾けじっと見つめた。
「神よ、これは頑張ったご褒美か?今度、お礼に神殿を建てよう。」
そう言いながらアレンの口が俺を食べようと開いた。
ああ、食べられる。
「――って所で目が覚めた。」
俺、お腹すいてるみたいだ。
そう言いながらお腹をさすってみるが空腹は感じない。しかしアレンを食べたいなんてよほどお腹がすいてるとみた。
ベットの中で俺はアレンと向かい合って抱き枕にされながら今日の夢の話をしていた。
「お前、それは……。いや、いい。」
眉毛をハの字にしてアレンが困った様にも何かを堪えているようにも見える顔をしながら俺の頬を両手で挟んだ。
「俺はずっとお腹が空いている。」
垂れ目の美形の焦がれる様な表情の破壊力たるやいなやバンジージャンプを命綱なしで飛び込むようなものだ!
「ちょっ、また、愛しいが溢れちゃうからあんまり顔を近付けるなよ。久しぶりだしキュンキュンが止まらなくなるじゃないか!」
俺は顔に熱が上がるのを感じてアレンに抗議する。
「っ!お前!いい加減にしろ!」
俺はいきなり怒り出したアレンに驚き固まった。
そんな俺を見てアレンは今度は弱々しく「早く気付けよ」と言うと俺の頭を抱え込み抱き締める。
「善処します……?」
「ああ、なるべく早く頼む。」
弱々しいアレンに胸が締め付けられる様な気持ちになり背に手を回し、よしよしをした。
「アレン、お疲れ様。アレンが無事で良かった。」
「ずず」と鼻水を啜る。冬が本格的に始まり俺は鼻風邪をひいていた。そろそろ気が抜けて高熱を出す頃だろう。
「お前のお陰だ。俺が居なくて心細かったろうに、あんな物を完成させて、……お前に救われた。」
アレンは「泣くな」と俺の頭に顔を埋めた。
泣いてないけど?
夜も思ったけど、これは非常にやめて欲しい。昨日お風呂入って無いから絶対に臭うし、何で臭い嗅ぐんだろ?分からん。
「いやそれが、アレン来なくなったの気付いたのが最近で、仕事してないのにお給金貰ってて生活は大丈夫だったんだよ。」
だから心細くはなかった。お金がなかったら心細かったかも知れないけどな。俺は顔をあげニコニコと愛想笑いをした。――お金返さないと駄目だよなぁ。
「最近……。」
えっ、何で?アレンが燃え尽きた様に真っ白になったけど?
まぁ、いいか。
アレンが無事に帰って来たんだ。
嬉しいなぁ。
幸せだなぁ。
愛しいなぁ。
ここ1年ハウス作りに夢中でハウスの床で寝ていた。フカフカのベットで寝たのはいつぶりだろう?
布団の中で両手両足を思いっきり伸ばし背伸びをすると、絡み付いていたアレンの腕が離れそうになったがそれを不服とばかりに更に抱き込まれる。
そこで漸く目を開けると世にも美しい男の顔が間近に迫っていた。
「アレン。」
「ああ。」
まるで目の前に大好物があるかの様に嬉しそうで物欲しそうな顔をしてアレンがこちらを見ている。
「そんなに見ても俺は食べられねぇぞ?」
身の危険を感じて俺は青ざめた。
「……いつか絶対に食べてやる。取り合えずもっと太れ。」
ええ?太らせて食べる気か?食べられるのは嫌だな。どちらかというと俺は食べたいんだ。
――でも、
「アレンになら食べられるのも悪くねぇな。」
そう言うと美味しそうなほっぺに噛みつきペロリと舐めた。
「でも、やっぱり俺が食べたい。……いい?」
噛まれ舐められた頬に手をやり真っ赤になったアレンを見つめ頬笑む。
「ダメ?」
アレンの首に腕を回して首を傾けじっと見つめた。
「神よ、これは頑張ったご褒美か?今度、お礼に神殿を建てよう。」
そう言いながらアレンの口が俺を食べようと開いた。
ああ、食べられる。
「――って所で目が覚めた。」
俺、お腹すいてるみたいだ。
そう言いながらお腹をさすってみるが空腹は感じない。しかしアレンを食べたいなんてよほどお腹がすいてるとみた。
ベットの中で俺はアレンと向かい合って抱き枕にされながら今日の夢の話をしていた。
「お前、それは……。いや、いい。」
眉毛をハの字にしてアレンが困った様にも何かを堪えているようにも見える顔をしながら俺の頬を両手で挟んだ。
「俺はずっとお腹が空いている。」
垂れ目の美形の焦がれる様な表情の破壊力たるやいなやバンジージャンプを命綱なしで飛び込むようなものだ!
「ちょっ、また、愛しいが溢れちゃうからあんまり顔を近付けるなよ。久しぶりだしキュンキュンが止まらなくなるじゃないか!」
俺は顔に熱が上がるのを感じてアレンに抗議する。
「っ!お前!いい加減にしろ!」
俺はいきなり怒り出したアレンに驚き固まった。
そんな俺を見てアレンは今度は弱々しく「早く気付けよ」と言うと俺の頭を抱え込み抱き締める。
「善処します……?」
「ああ、なるべく早く頼む。」
弱々しいアレンに胸が締め付けられる様な気持ちになり背に手を回し、よしよしをした。
「アレン、お疲れ様。アレンが無事で良かった。」
「ずず」と鼻水を啜る。冬が本格的に始まり俺は鼻風邪をひいていた。そろそろ気が抜けて高熱を出す頃だろう。
「お前のお陰だ。俺が居なくて心細かったろうに、あんな物を完成させて、……お前に救われた。」
アレンは「泣くな」と俺の頭に顔を埋めた。
泣いてないけど?
夜も思ったけど、これは非常にやめて欲しい。昨日お風呂入って無いから絶対に臭うし、何で臭い嗅ぐんだろ?分からん。
「いやそれが、アレン来なくなったの気付いたのが最近で、仕事してないのにお給金貰ってて生活は大丈夫だったんだよ。」
だから心細くはなかった。お金がなかったら心細かったかも知れないけどな。俺は顔をあげニコニコと愛想笑いをした。――お金返さないと駄目だよなぁ。
「最近……。」
えっ、何で?アレンが燃え尽きた様に真っ白になったけど?
まぁ、いいか。
アレンが無事に帰って来たんだ。
嬉しいなぁ。
幸せだなぁ。
愛しいなぁ。
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