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最終章

69 1年の空白

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圧倒的人気だったライトオブホープは2で思ったように売上が伸びず、3では思いきった方向転換をした。国取りメインのシミュレーションゲームになったのだ。

結局俺はそのゲームをプレイする事はなかったけどな。

「戦争が起きるらしい。」

そんな噂話を聞いたのは俺がまた1からハウス作りを始めた頃だった。

材料を買いに寄った店での話だったが、そういえばそんな続編が出るって言ってたなぁ。と、どこか他人事の様に思い聞き流していた。

そしてその時の俺は新しく新築した家の庭に籠りせっせとハウス作りに勤しんでいたからそんな話はすっかり忘れ去っていたんだ。 

分かってるさ、何故今ハウス作り?その前にやる事があるだろう?とお思いだろう?

俺はアレンに自分がラインハルトだとばらす決心をしたはいいが、何かきっかけがないと言えずにいた(だって、アレン何だかあれから吹っ切れたっぽいし、そこそこ幸せそうなんだ。)

そして、僕ちんさすが天才閃いた。また、エリクサーを作れるようになって、俺が必要だ。という存在意義を確立してから話そうと。

もう、死んで英雄みたいな扱いになっちゃって、今更ノコノコとテヘ☆生きてたのよーん。ってぶっちゃけられる雰囲気じゃなくなって、ぶっちゃけ何か保険がないと怖くてぶっちゃけられないのよっ!

ヘタレと嘲笑うがいい。当初はアレンの抱き枕としての仕事も続けていたが、ある時ハウス作りに夢中になってすっぽかして以来この家にアレンが来て寝ていた。

そしてこの新居にはあの一件以来アレンが周囲に結界を張ってくれていた。

「ユノも居ないし大丈夫だ」と言ったがアレンが捨てられた子犬のような悲しい顔をして「お前に何かあったら俺は世を呪い魔王になるだろう。」の恐ろしい一言で大人しく張って貰った。眠れないだけで魔王になられちゃ敵わない。(な?何だか幸せそうだろ?)

考えてみたらハウスを人の目に晒されないからいいかもしれないな。

そんな毎日を送っていた俺の元にある時期からアレンが来なくなった。しかし俺はハウス作りが佳境に入り『以前よりもっと性能のよいハウスを!!』を合言葉に一心不乱にハウス作りに勤しんでいたから全然気にしてなかった。つまり当初の目的を完璧に忘れ去っていた。アレン、仕事が忙しいんだろう。俺が世界最高のエリクサー作ったら最初に飲ませてやるからな、くらいに思っていた。

そして――


「――完成した。」


完璧だ。俺の叡知の限りを尽くした金の成る木、『新型ハウス』俺はやってやった。今では襲ってきた男に感謝すらしている。あいつに壊されていなければ、この新型ハウスは生まれなかった。このハウスなら超上級エリクサーを1週間に一度は収穫出来る。

ありがとう、ありがとう。

……いや、感謝は駄目だ。あいつは沢山のいたいけな少年や少女を凌辱して殺し、ユノにまで危害を加えようとした大悪党だ。『新型ハウス』が完璧すぎておかしくなっていた。冷静になれ、俺。

そして気付いた。

「さむっ!」

寝る暇も、食べる暇も惜しんで何日もハウス作りに没頭していた俺は辺りが寒くなっていた事に気付いていなかった。

「えっ?」

アレンと最後に添い寝したあの時、

「もうすぐ春が来て暖かくなったら添い寝は厳しいな。」

俺はそう言った気がする。

「まだまだ肌寒いから一緒に寝ると暖かい。」

アレンはそう言って俺をしっかりと抱きしめて眠りについたような?

あれはまだ冬の名残の残る寒い日だった。

そして今、冬が始まろうとしている。

「……アレン、添い寝しなくて大丈夫になったのか?」

俺は当初の目的はおろか、アレンの事も1年近く忘れていたらしい。

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