69 / 118
最終章
69 1年の空白
しおりを挟む
圧倒的人気だったライトオブホープは2で思ったように売上が伸びず、3では思いきった方向転換をした。国取りメインのシミュレーションゲームになったのだ。
結局俺はそのゲームをプレイする事はなかったけどな。
「戦争が起きるらしい。」
そんな噂話を聞いたのは俺がまた1からハウス作りを始めた頃だった。
材料を買いに寄った店での話だったが、そういえばそんな続編が出るって言ってたなぁ。と、どこか他人事の様に思い聞き流していた。
そしてその時の俺は新しく新築した家の庭に籠りせっせとハウス作りに勤しんでいたからそんな話はすっかり忘れ去っていたんだ。
分かってるさ、何故今ハウス作り?その前にやる事があるだろう?とお思いだろう?
俺はアレンに自分がラインハルトだとばらす決心をしたはいいが、何かきっかけがないと言えずにいた(だって、アレン何だかあれから吹っ切れたっぽいし、そこそこ幸せそうなんだ。)
そして、僕ちんさすが天才閃いた。また、エリクサーを作れるようになって、俺が必要だ。という存在意義を確立してから話そうと。
もう、死んで英雄みたいな扱いになっちゃって、今更ノコノコとテヘ☆生きてたのよーん。ってぶっちゃけられる雰囲気じゃなくなって、ぶっちゃけ何か保険がないと怖くてぶっちゃけられないのよっ!
ヘタレと嘲笑うがいい。当初はアレンの抱き枕としての仕事も続けていたが、ある時ハウス作りに夢中になってすっぽかして以来この家にアレンが来て寝ていた。
そしてこの新居にはあの一件以来アレンが周囲に結界を張ってくれていた。
「ユノも居ないし大丈夫だ」と言ったがアレンが捨てられた子犬のような悲しい顔をして「お前に何かあったら俺は世を呪い魔王になるだろう。」の恐ろしい一言で大人しく張って貰った。眠れないだけで魔王になられちゃ敵わない。(な?何だか幸せそうだろ?)
考えてみたらハウスを人の目に晒されないからいいかもしれないな。
そんな毎日を送っていた俺の元にある時期からアレンが来なくなった。しかし俺はハウス作りが佳境に入り『以前よりもっと性能のよいハウスを!!』を合言葉に一心不乱にハウス作りに勤しんでいたから全然気にしてなかった。つまり当初の目的を完璧に忘れ去っていた。アレン、仕事が忙しいんだろう。俺が世界最高のエリクサー作ったら最初に飲ませてやるからな、くらいに思っていた。
そして――
「――完成した。」
完璧だ。俺の叡知の限りを尽くした金の成る木、『新型ハウス』俺はやってやった。今では襲ってきた男に感謝すらしている。あいつに壊されていなければ、この新型ハウスは生まれなかった。このハウスなら超上級エリクサーを1週間に一度は収穫出来る。
ありがとう、ありがとう。
……いや、感謝は駄目だ。あいつは沢山のいたいけな少年や少女を凌辱して殺し、ユノにまで危害を加えようとした大悪党だ。『新型ハウス』が完璧すぎておかしくなっていた。冷静になれ、俺。
そして気付いた。
「さむっ!」
寝る暇も、食べる暇も惜しんで何日もハウス作りに没頭していた俺は辺りが寒くなっていた事に気付いていなかった。
「えっ?」
アレンと最後に添い寝したあの時、
「もうすぐ春が来て暖かくなったら添い寝は厳しいな。」
俺はそう言った気がする。
「まだまだ肌寒いから一緒に寝ると暖かい。」
アレンはそう言って俺をしっかりと抱きしめて眠りについたような?
あれはまだ冬の名残の残る寒い日だった。
そして今、冬が始まろうとしている。
「……アレン、添い寝しなくて大丈夫になったのか?」
俺は当初の目的はおろか、アレンの事も1年近く忘れていたらしい。
結局俺はそのゲームをプレイする事はなかったけどな。
「戦争が起きるらしい。」
そんな噂話を聞いたのは俺がまた1からハウス作りを始めた頃だった。
材料を買いに寄った店での話だったが、そういえばそんな続編が出るって言ってたなぁ。と、どこか他人事の様に思い聞き流していた。
そしてその時の俺は新しく新築した家の庭に籠りせっせとハウス作りに勤しんでいたからそんな話はすっかり忘れ去っていたんだ。
分かってるさ、何故今ハウス作り?その前にやる事があるだろう?とお思いだろう?
俺はアレンに自分がラインハルトだとばらす決心をしたはいいが、何かきっかけがないと言えずにいた(だって、アレン何だかあれから吹っ切れたっぽいし、そこそこ幸せそうなんだ。)
そして、僕ちんさすが天才閃いた。また、エリクサーを作れるようになって、俺が必要だ。という存在意義を確立してから話そうと。
もう、死んで英雄みたいな扱いになっちゃって、今更ノコノコとテヘ☆生きてたのよーん。ってぶっちゃけられる雰囲気じゃなくなって、ぶっちゃけ何か保険がないと怖くてぶっちゃけられないのよっ!
ヘタレと嘲笑うがいい。当初はアレンの抱き枕としての仕事も続けていたが、ある時ハウス作りに夢中になってすっぽかして以来この家にアレンが来て寝ていた。
そしてこの新居にはあの一件以来アレンが周囲に結界を張ってくれていた。
「ユノも居ないし大丈夫だ」と言ったがアレンが捨てられた子犬のような悲しい顔をして「お前に何かあったら俺は世を呪い魔王になるだろう。」の恐ろしい一言で大人しく張って貰った。眠れないだけで魔王になられちゃ敵わない。(な?何だか幸せそうだろ?)
考えてみたらハウスを人の目に晒されないからいいかもしれないな。
そんな毎日を送っていた俺の元にある時期からアレンが来なくなった。しかし俺はハウス作りが佳境に入り『以前よりもっと性能のよいハウスを!!』を合言葉に一心不乱にハウス作りに勤しんでいたから全然気にしてなかった。つまり当初の目的を完璧に忘れ去っていた。アレン、仕事が忙しいんだろう。俺が世界最高のエリクサー作ったら最初に飲ませてやるからな、くらいに思っていた。
そして――
「――完成した。」
完璧だ。俺の叡知の限りを尽くした金の成る木、『新型ハウス』俺はやってやった。今では襲ってきた男に感謝すらしている。あいつに壊されていなければ、この新型ハウスは生まれなかった。このハウスなら超上級エリクサーを1週間に一度は収穫出来る。
ありがとう、ありがとう。
……いや、感謝は駄目だ。あいつは沢山のいたいけな少年や少女を凌辱して殺し、ユノにまで危害を加えようとした大悪党だ。『新型ハウス』が完璧すぎておかしくなっていた。冷静になれ、俺。
そして気付いた。
「さむっ!」
寝る暇も、食べる暇も惜しんで何日もハウス作りに没頭していた俺は辺りが寒くなっていた事に気付いていなかった。
「えっ?」
アレンと最後に添い寝したあの時、
「もうすぐ春が来て暖かくなったら添い寝は厳しいな。」
俺はそう言った気がする。
「まだまだ肌寒いから一緒に寝ると暖かい。」
アレンはそう言って俺をしっかりと抱きしめて眠りについたような?
あれはまだ冬の名残の残る寒い日だった。
そして今、冬が始まろうとしている。
「……アレン、添い寝しなくて大丈夫になったのか?」
俺は当初の目的はおろか、アレンの事も1年近く忘れていたらしい。
2
お気に入りに追加
2,032
あなたにおすすめの小説
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
3人の弟に逆らえない
ポメ
BL
優秀な3つ子に調教される兄の話です。
主人公:高校2年生の瑠璃
長男の嵐は活発な性格で運動神経抜群のワイルド男子。
次男の健二は大人しい性格で勉学が得意の清楚系王子。
三男の翔斗は無口だが機械に強く、研究オタクっぽい。黒髪で少し地味だがメガネを取ると意外とかっこいい?
3人とも高身長でルックスが良いと学校ではモテまくっている。
しかし、同時に超がつくブラコンとも言われているとか?
そんな3つ子に溺愛される瑠璃の話。
調教・お仕置き・近親相姦が苦手な方はご注意くださいm(_ _)m
俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします
椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう!
こうして俺は逃亡することに決めた。
継母から虐待されて死ぬ兄弟の兄に転生したから継母退治するぜ!
ミクリ21 (新)
BL
継母から虐待されて死ぬ兄弟の兄に転生したダンテ(8)。
弟のセディ(6)と生存のために、正体が悪い魔女の継母退治をする。
後にBLに発展します。
気づいて欲しいんだけど、バレたくはない!
甘蜜 蜜華
BL
僕は、平凡で、平穏な学園生活を送って........................居たかった、でも無理だよね。だって昔の仲間が目の前にいるんだよ?そりゃぁ喋りたくて、気づいてほしくてメール送りますよね??突然失踪した族の総長として!!
※作者は豆腐メンタルです。※作者は語彙力皆無なんだなァァ!※1ヶ月は開けないようにします。※R15は保険ですが、もしかしたらR18に変わるかもしれません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる