5 / 11
おいこら、お前の上司を出せ、おじさん
しおりを挟む
クレーマーだと意識してないタイプで二番目は、おじさんに多いパターンです。
とにかく、上司を出せの一点張りおじさんです。このおじさんも、自分はクレーマ―だと思っていません。
コンビニのバイトがおつりを出すのに手間取っている。そのおかげで俺の貴重な時間が奪われた……とか。
陳列棚にいつも置いてあった雑誌の折り目が気に食わないから、新しい(特にエッチ系な)雑誌をいれろ……とか。
今日の牛丼屋(?)は、いつもに比べて飯の量も肉の量もすくないし、店員が愛想笑いしない……とか。
最後の話のように、コンビニとは全然関係ないところにクレームの内容が移りやすいのがおじさんの特徴です。
多分、おばちゃんの場合は、具体的な不満をぶつけて来るのですね。
でもおじさんの場合は、具体的な不満ではなく、会社での不満やストレスと言った、はっきり出来ない不満をぶつけたいのだと思います。
でも一番の特徴は、オペレータのお姉さんに対して「オレはえらいんだ」オーラを出し続ける事なんです。
その結果、かならず言う言葉が「お前では、話がわからん。お前の上司をだせ!」です。
オペレータさんの上司は、バイト―リーダなんですけど、バイトリーダさんが代わりに電話に出ても全然認めてもらえません。
「バイト・リーダじゃあ話にならん。俺が話したいのはここの責任者だ、責任者をだせと言っているんだ」
とか言い出します。
***
実はコンビニのATMも銀行業務の一環として位置付けられているのです。
監督官庁は、当然財務省の金融局です。
それはそうですよね、あのATMの中には正真正銘のお札が、ウン千万円も保管されているのですもの。
お札が少なくなって来ると早めに警備会社の人が来て補充しているんですよ。
だから、お役所から見るとコンビニATMは小さな銀行と同じです。
その銀行を管理してトラブルに対応するオペレーションセンターは銀行の大元締めみたいなものです。
そうなるとお役所としては当然見過ごせないですよね。
色々と指導という名の嫌がらせ(?)があります。
一番大変なのは『オペレーションセンターにも銀行員を置け』という事です。
そのために、実はオペレーションセンターにも銀行員さんがいるのです。
実際には日本の三大都市銀行の支店長クラスの人達や、そのOBさん達がオペレーションセンターに出向と言う形で働いています。
***
彼ら銀行からの出向者の事を、オペレーターさんは『副所長』と呼んでいます。
実際にオペレーションセンターとATMを運営しているのは大手IT企業ですから、センターを管理しているIT企業の社員でチーフ担当者さんがセンターの『所長』になります。
でも、対外的には銀行業務に精通した副所長さんがオペレーションセンターの責任者になるわけですね。
「責任者を出せ」
と言われると、銀行員OBや出向者さん達が電話に出ます。
「はい、お電話代わりました。このセンターの責任者である、◯△□です」
そう言ってオペレーターさんから電話を受けます。これも結局はストレス発散ですから、ひとしきり文句を言ってガス抜きが出来ると、さっきの剣幕は何処へやら。
俺は上司の人間に正しく意見した出来る奴なんだぜ、と思って素直に電話を切ってくれるんです。
副所長さんも慣れたもので、時々相槌を打つ振りをして電話の中身はほとんど聞いていません。
だってイチイチ聞いていたら、自分達の心が壊れちゃいますからね。
それに会話自体は録音されているので後で文章化してコンビニの業務連絡会に提出されるので、メモを取る必要もありませんし。
若い女性オペレーターさんやリーダーさんと別のお喋りをしながらだったり、趣味の囲碁の本を読みながらだったりしてクレーマーさんが電話を止めるまで待っているのですよ。
新人オペレーターの岩寺裕子さんも、今日のシフトに入っている副所長さんに挨拶に行きます。
「新人オペレーターの岩寺です。よろしくお願いします」
「お、新人さんか。僕は田中一郎と言います。これからも宜しくね」
やさしく答えてくれます。
今日の副所長さんは、赤い銀行のOBである田中一郎さんと、青い銀行のOBである佐藤太郎さんです。
昼間はもっと多いのですけど、夜間帯は少ないのです。
赤い銀行と青い銀行以外に、緑の銀行もありますね。
え?何それ、と思うでしょうけども、思い出してくださいね。
三大都市銀行の看板の色は何色ですか?それぞれ色が違ってますよね……
とにかく、上司を出せの一点張りおじさんです。このおじさんも、自分はクレーマ―だと思っていません。
コンビニのバイトがおつりを出すのに手間取っている。そのおかげで俺の貴重な時間が奪われた……とか。
陳列棚にいつも置いてあった雑誌の折り目が気に食わないから、新しい(特にエッチ系な)雑誌をいれろ……とか。
今日の牛丼屋(?)は、いつもに比べて飯の量も肉の量もすくないし、店員が愛想笑いしない……とか。
最後の話のように、コンビニとは全然関係ないところにクレームの内容が移りやすいのがおじさんの特徴です。
多分、おばちゃんの場合は、具体的な不満をぶつけて来るのですね。
でもおじさんの場合は、具体的な不満ではなく、会社での不満やストレスと言った、はっきり出来ない不満をぶつけたいのだと思います。
でも一番の特徴は、オペレータのお姉さんに対して「オレはえらいんだ」オーラを出し続ける事なんです。
その結果、かならず言う言葉が「お前では、話がわからん。お前の上司をだせ!」です。
オペレータさんの上司は、バイト―リーダなんですけど、バイトリーダさんが代わりに電話に出ても全然認めてもらえません。
「バイト・リーダじゃあ話にならん。俺が話したいのはここの責任者だ、責任者をだせと言っているんだ」
とか言い出します。
***
実はコンビニのATMも銀行業務の一環として位置付けられているのです。
監督官庁は、当然財務省の金融局です。
それはそうですよね、あのATMの中には正真正銘のお札が、ウン千万円も保管されているのですもの。
お札が少なくなって来ると早めに警備会社の人が来て補充しているんですよ。
だから、お役所から見るとコンビニATMは小さな銀行と同じです。
その銀行を管理してトラブルに対応するオペレーションセンターは銀行の大元締めみたいなものです。
そうなるとお役所としては当然見過ごせないですよね。
色々と指導という名の嫌がらせ(?)があります。
一番大変なのは『オペレーションセンターにも銀行員を置け』という事です。
そのために、実はオペレーションセンターにも銀行員さんがいるのです。
実際には日本の三大都市銀行の支店長クラスの人達や、そのOBさん達がオペレーションセンターに出向と言う形で働いています。
***
彼ら銀行からの出向者の事を、オペレーターさんは『副所長』と呼んでいます。
実際にオペレーションセンターとATMを運営しているのは大手IT企業ですから、センターを管理しているIT企業の社員でチーフ担当者さんがセンターの『所長』になります。
でも、対外的には銀行業務に精通した副所長さんがオペレーションセンターの責任者になるわけですね。
「責任者を出せ」
と言われると、銀行員OBや出向者さん達が電話に出ます。
「はい、お電話代わりました。このセンターの責任者である、◯△□です」
そう言ってオペレーターさんから電話を受けます。これも結局はストレス発散ですから、ひとしきり文句を言ってガス抜きが出来ると、さっきの剣幕は何処へやら。
俺は上司の人間に正しく意見した出来る奴なんだぜ、と思って素直に電話を切ってくれるんです。
副所長さんも慣れたもので、時々相槌を打つ振りをして電話の中身はほとんど聞いていません。
だってイチイチ聞いていたら、自分達の心が壊れちゃいますからね。
それに会話自体は録音されているので後で文章化してコンビニの業務連絡会に提出されるので、メモを取る必要もありませんし。
若い女性オペレーターさんやリーダーさんと別のお喋りをしながらだったり、趣味の囲碁の本を読みながらだったりしてクレーマーさんが電話を止めるまで待っているのですよ。
新人オペレーターの岩寺裕子さんも、今日のシフトに入っている副所長さんに挨拶に行きます。
「新人オペレーターの岩寺です。よろしくお願いします」
「お、新人さんか。僕は田中一郎と言います。これからも宜しくね」
やさしく答えてくれます。
今日の副所長さんは、赤い銀行のOBである田中一郎さんと、青い銀行のOBである佐藤太郎さんです。
昼間はもっと多いのですけど、夜間帯は少ないのです。
赤い銀行と青い銀行以外に、緑の銀行もありますね。
え?何それ、と思うでしょうけども、思い出してくださいね。
三大都市銀行の看板の色は何色ですか?それぞれ色が違ってますよね……
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。
岩清水市お客様センターは、今日も奮闘しています
渡波みずき
キャラ文芸
若葉は、教職に就くことを目指していたが、正月に帰省した母方の祖父母宅で、岩清水市に勤める大叔父にからかわれ、売り言葉に買い言葉で、岩清水市の採用試験合格を約束する。
大学を卒業した若葉は、岩清水市役所に入庁。配属は、市民課お客様センター。何をする課かもわからない若葉を連れて、指導係の三峯は、市民の元へ向かうのだが。
第三回キャラ文芸大賞奨励賞(最終選考)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる