異世界の管理人

ぬまちゃん

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魔女の料理

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うーむ、
よく寝たぞ。
人間界は静かで良いなあ。
異世界では、夜中も騒いでいる連中が多いからな。
どれどれ、魔女さんと女の子は起きているかな?

主任さんは、西の魔女と受付の女の子とは別の部屋で寝ていた。

一応、男性は女性達と別々に寝るべきだという西の魔女の意見が採用されたのだ。

西の魔女は別としても、嫁入り前の娘を男と同じ部屋で寝かせる訳にはいけないという、西の魔女の配慮だった。

ドンドン、ふすまの戸を軽く叩く。
着替えていたら、気まずくなるので主任なりの配慮だ。

はーい!
どうぞ、お入り下さい。

トビラの向こうから明るい声が聞こえてきた。

トビラを開けると、既に女性陣は起きていて、朝ごはんの準備も出来ていた。

おお!
これは美味そうだな。
一体全体どんな料理なのだ?
ワシが初めて見る料理ばかりだな。

おや、ドラゴンさんも起きておいでか?
既に食事中でしたか。

おはよう!
ハデス殿。
ワレは、先に朝メシを頂いておる。
見た目が不思議な料理だが、味は気に入った。
なんとも言えぬ味付けじゃ。
これは、サリー殿が作られた物かな?

ハイ、
ドラゴン様。

人間界には、テレビという便利な機械があるのです。
そのテレビでは、常時色々な情報を提供してくれる様です。なんでも、ケーブルテレビとかいうものらしいです。
そのテレビには、チャンネルと言って、特定の種類の内容をずーっと提供するのだそうです。
そのチャンネルで料理を作る所を見せるチャンネルを探して、その中の美味しそうな料理を魔法で作ってみました。
お口に会うか心配でしたが、ドラゴン様も気に入って頂き、うれしゅうございます。

どうぞ、
主任様もお食べ下さい。

おお、ありがとう。
西の魔女さん。
それでは、ご相伴に預かるかな。

ぱくぱく、もぐもぐ。

おお!
確かに。
これは、素晴らしい。
五感にしみこむ味とはこういうことをいうのか。

人間界にも、こんなに美味しい料理を作れる料理人や料理の方法があるのだな。
いや、西の魔女さんの魔法を責めている訳ではないぞ。
魔女さんの魔法の腕も大したものだが、このレシピというやつか?料理方法の指南書は素晴らしい。

毎日、こんなに、うまい物を人間界の人間は食べているのか!
これでは、毎日いろいろと新しい機械を考える事が出来るのであろう。

ところで、メデューサ一族の女の子をどうしたのだ?
姿が見えないぞ。

実は、私が魔法で造った料理があまりに美味しそうなので、管理人の若い男性に持って行ったのです。
ずいぶん前に、持って行ったのに、まだ帰ってきませんね。
見に行ってきましょうか?

まあまあ、若い二人はそっとしておきましょう。
西の魔女さんも昨日は、そう言っていたじゃあないですか。

それでは、ワレが飛んで見てこようか?
一応、透明な呪文で見えなくすれば大丈夫だろう。

そうですか?
それではドラゴンさん、ご飯を食べたら見て来てもらえますか?

承知した。
それでは、この最後のデザートという美味しいケーキを食べたら、下の階の管理人室に言ってこよう。


***


その頃、一階の管理人室では若い二人が楽しそうに会話していた。

しかし、サリーさんの料理は凄く美味しいですね。
私も色々なお店で料理を食べて来ましたが、ここまで美味しい料理は数えるほどしか有りませんでした。

プロの料理人になれると思います。
失礼ですが、サリーさんは若い頃何処か有名なお店でコックさんをやっていたのでは無いでしょうか?

イエ。
そんな話しは聞いたことがございません。

確かに、若い頃は随分と努力をなさったそうですが、コックの修行は入っていなかったと思います。

ただ、私も人から聞いた話なので、もしかしたら私が聞いていないだけかもしれません。

ただし、私達の国では、食事を作ってくれるお店が無いものですから、貴方様のおっしゃられる様にコックの修行自体が出来ませんのよ。

おお、
そうですか、失礼しました。
食事は自宅でするのがマリアさんの国の基本なんですね。

ハイ、
そうですね。
私達の国は、非常に質素なので食事は自宅でするものなのです。
ただし、年に一回だけ、王様の誕生日をお祝いするために、宮殿でお食事をご馳走になったり、街の通りで食事が振舞われる事がありますわ。

それは、
素晴らしいですね。

私もそんなお祭りに参加してみたいです。
出来たら、マリアさんと一緒に。

アラ、
そう言って頂けると私も嬉しいです。

そう言いながら、二人とも下を向いてしまい、お互いの顔がほんのりと赤くなっていることに気がつかなかった。
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