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第四章
【第十四話】古書店での睦言①
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過ごし慣れた古書店に入るなり、柊華は閉まったばかりの扉に背中を押し付けられた。
「すみません…… 柊華さんの楽しみを奪ってしまって」
セフィルは苦しげな顔をしながら、柊華を正面から見上げてくる。先程よりも更に背が低くなっている気がして、柊華が首を傾げた。
「セフィルさん背が私より低くないですか?顔付きもなんだか…… 幼いと言うか」
これではまるで中学生くらいだ。
彼が何を思ってそうなっているのかもう検討がつかないが、向けられるモノクル越しの瞳が持つ熱量だけはしっかりと伝わってくる。
「柊華さんに学生同士の気分をと。でも…… その、興奮してきて制御が」
そう言って、セフィルが柊華にギュッと抱きついてきた。顔が丁度胸のあたりに当たり、頰をぐいぐいと擦り寄せてくる。
「あぁ、柔らかい…… 」
無理の無い体勢で顔を埋められるからなのか、セフィルが何度も何度も頰を擦り寄せてきて、しまいには両脇から押し、谷間を作った。
「…… な、何をしてるんですか?」
「この素敵な感触を、より楽しもうと」
自分よりも小さな姿になったセフィルにそんな事を言われ、柊華が反応に困った。何というか…… 背徳感が半端無い。年下に手出しをする悪い近所のお姉さんみたいな気分だ。決してこちらから誘った訳では無いのに、何故か自分が悪者に感じてまう。
「ダメですよ、そんな。元の姿に戻ってくれないと」
柊華は焦りながらそう言ってセフィルの肩を押したのだが、制服の上から服や下着ごと胸の先を上手いこと甘噛みされ「ひゃうっ」と声をあげてしまった。
「ま、待って下さい雪丞さんも居るのでは?それにここはまだお店で、何より私はテスト前で——」
ダメな理由が沢山頭に浮かび、必死に訴える。
だが、完全にスイッチの入ったセフィルにそんな言葉は通じるはずが無く、愛らしい瞳で柊華を見上げながら、尖りを甘噛みしつつ、反対の胸の先を指でくいっと抓ってきた。
「…… んっ」
腰のあたりがゾワッとし、止めねばならないと思う気持ちが削がれてしまう。
「雪丞なら居ませんよ。あのマザコンは、柊華さんが居ないなら此処に居る意味が無いと言って仕事に戻りました。勉強なら、私がいつも通り手取り足取り教えますよ…… ふふ」
それくらい、知っているでしょう?と、視線だけで語られて、柊華が体を震わせた。
断る理由がほとんど無くなってしまい、骨の髄まで染み渡る享楽的な時を体が想い出してしまう。
「で、でも…… ならせめて二階で」
幼少期から通い慣れた場所でなど、流石に抵抗がある。だが、だからそこなのか、セフィルはあっさりと「ダメです」と断った。
セーラーデザインの制服の下からセフィルの手が入り、背中を素手で撫でられる。胸元のリボンタイを口に咥え、器用に引っ張って解くと、それを彼は床に落とした。
「きょ、今日くらいはお願いを聞いてくれても——」
瞼を強く閉じ、羞恥に耐えながら訴える。あれだけ自分が不機嫌になった日なのだから、ご機嫌取りくらいしてくれてもいいはずだ。そう思っての言葉だったのだが、「ダメです」とまたも却下されてしまった。
「この約十八年間、ずっと焦がれてきたシュチュエーションを、みすみす諦めると思いますか?——この私が」
無理ですね、はい。
柊華は妙に納得してしまったが、だからといって、それならばとはなかなか切り替えられない。なのに柊華は横抱きで抱え上げられ、三人掛けのソファーまで連れて来られてしまい、気持ちがどんどん焦っていく。
広い座面へと寝かされ、上から小柄なセフィルが覆いかぶさってくる。ソファーへと詰襟制服を着込んだ彼に押し倒されるという状態になってしまい『悪いお姉さん』気分が柊華の中で再浮上してしまった。
「や、あの…… やっぱりホント、コレは流石に!」
「…… 何で?僕じゃダメですか『柊華先輩』」
芝居がかった言葉を吐息混じりに耳元で囁かれ、柊華の心の天秤がカランッと音を立てて逆方向へと下がった。
「あ、や…… えっと」
ど、どうしよう…… コレは…… くるっ。
腰に響く声に柊華が口元を震わせ、思考が降参の白旗を上げる。憧れなど持った事もなかったが、年下セフィルに攻められるのも悪くないと思えてきた。
「好きですよ…… ずっと好きでした、『先輩』」
チュッと音をたてて頰にセフィルがキスをする。視線を合わせ、少し照れくさそうに笑うと、最後の押しと言わんばかりに「僕の初めて…… もらってくれませんか?」などと囁きやがった。
(どこでそんな台詞を仕入れてくるんですか!アンタって人は‼︎)
叫びたい衝動に駆られつつ、本ですよね、セフィルさんですもんね!と自分につっこむ。
もう『萌え』とはこういう事を言うのかと…… 欲情を通り越して、尊いモノでも拝む様な気分になってきてしまった。
両手ですっぽりと顔を隠し、「うぅぅ…… 」と唸りだした柊華を見て、セフィルが『失敗した。やり過ぎましたね、これは』と思いながら、軽く頭を振ったのだった。
「すみません…… 柊華さんの楽しみを奪ってしまって」
セフィルは苦しげな顔をしながら、柊華を正面から見上げてくる。先程よりも更に背が低くなっている気がして、柊華が首を傾げた。
「セフィルさん背が私より低くないですか?顔付きもなんだか…… 幼いと言うか」
これではまるで中学生くらいだ。
彼が何を思ってそうなっているのかもう検討がつかないが、向けられるモノクル越しの瞳が持つ熱量だけはしっかりと伝わってくる。
「柊華さんに学生同士の気分をと。でも…… その、興奮してきて制御が」
そう言って、セフィルが柊華にギュッと抱きついてきた。顔が丁度胸のあたりに当たり、頰をぐいぐいと擦り寄せてくる。
「あぁ、柔らかい…… 」
無理の無い体勢で顔を埋められるからなのか、セフィルが何度も何度も頰を擦り寄せてきて、しまいには両脇から押し、谷間を作った。
「…… な、何をしてるんですか?」
「この素敵な感触を、より楽しもうと」
自分よりも小さな姿になったセフィルにそんな事を言われ、柊華が反応に困った。何というか…… 背徳感が半端無い。年下に手出しをする悪い近所のお姉さんみたいな気分だ。決してこちらから誘った訳では無いのに、何故か自分が悪者に感じてまう。
「ダメですよ、そんな。元の姿に戻ってくれないと」
柊華は焦りながらそう言ってセフィルの肩を押したのだが、制服の上から服や下着ごと胸の先を上手いこと甘噛みされ「ひゃうっ」と声をあげてしまった。
「ま、待って下さい雪丞さんも居るのでは?それにここはまだお店で、何より私はテスト前で——」
ダメな理由が沢山頭に浮かび、必死に訴える。
だが、完全にスイッチの入ったセフィルにそんな言葉は通じるはずが無く、愛らしい瞳で柊華を見上げながら、尖りを甘噛みしつつ、反対の胸の先を指でくいっと抓ってきた。
「…… んっ」
腰のあたりがゾワッとし、止めねばならないと思う気持ちが削がれてしまう。
「雪丞なら居ませんよ。あのマザコンは、柊華さんが居ないなら此処に居る意味が無いと言って仕事に戻りました。勉強なら、私がいつも通り手取り足取り教えますよ…… ふふ」
それくらい、知っているでしょう?と、視線だけで語られて、柊華が体を震わせた。
断る理由がほとんど無くなってしまい、骨の髄まで染み渡る享楽的な時を体が想い出してしまう。
「で、でも…… ならせめて二階で」
幼少期から通い慣れた場所でなど、流石に抵抗がある。だが、だからそこなのか、セフィルはあっさりと「ダメです」と断った。
セーラーデザインの制服の下からセフィルの手が入り、背中を素手で撫でられる。胸元のリボンタイを口に咥え、器用に引っ張って解くと、それを彼は床に落とした。
「きょ、今日くらいはお願いを聞いてくれても——」
瞼を強く閉じ、羞恥に耐えながら訴える。あれだけ自分が不機嫌になった日なのだから、ご機嫌取りくらいしてくれてもいいはずだ。そう思っての言葉だったのだが、「ダメです」とまたも却下されてしまった。
「この約十八年間、ずっと焦がれてきたシュチュエーションを、みすみす諦めると思いますか?——この私が」
無理ですね、はい。
柊華は妙に納得してしまったが、だからといって、それならばとはなかなか切り替えられない。なのに柊華は横抱きで抱え上げられ、三人掛けのソファーまで連れて来られてしまい、気持ちがどんどん焦っていく。
広い座面へと寝かされ、上から小柄なセフィルが覆いかぶさってくる。ソファーへと詰襟制服を着込んだ彼に押し倒されるという状態になってしまい『悪いお姉さん』気分が柊華の中で再浮上してしまった。
「や、あの…… やっぱりホント、コレは流石に!」
「…… 何で?僕じゃダメですか『柊華先輩』」
芝居がかった言葉を吐息混じりに耳元で囁かれ、柊華の心の天秤がカランッと音を立てて逆方向へと下がった。
「あ、や…… えっと」
ど、どうしよう…… コレは…… くるっ。
腰に響く声に柊華が口元を震わせ、思考が降参の白旗を上げる。憧れなど持った事もなかったが、年下セフィルに攻められるのも悪くないと思えてきた。
「好きですよ…… ずっと好きでした、『先輩』」
チュッと音をたてて頰にセフィルがキスをする。視線を合わせ、少し照れくさそうに笑うと、最後の押しと言わんばかりに「僕の初めて…… もらってくれませんか?」などと囁きやがった。
(どこでそんな台詞を仕入れてくるんですか!アンタって人は‼︎)
叫びたい衝動に駆られつつ、本ですよね、セフィルさんですもんね!と自分につっこむ。
もう『萌え』とはこういう事を言うのかと…… 欲情を通り越して、尊いモノでも拝む様な気分になってきてしまった。
両手ですっぽりと顔を隠し、「うぅぅ…… 」と唸りだした柊華を見て、セフィルが『失敗した。やり過ぎましたね、これは』と思いながら、軽く頭を振ったのだった。
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