上 下
64 / 87

おまけエピソード2―④

しおりを挟む



その後、披露宴が盛大に行われた。

終始和やかなムードで、笑いあり涙ありのとても賑やかな宴が進んでいく。

見るのも食べるのも楽しい豪華な食事を摂る傍ら、種類豊富なアルコールも楽しんだ。

友人代表の凛香のスピーチには目を潤ませて、新郎友人達のはっちゃけた余興には軽く引いたぐらいにして。


「輝子、おめでとう。綺麗だよ」


高砂へ行き、豪快にメインディッシュのステーキを頬張る輝子に祝いの言葉を贈る。


「はひはほ、ひんな」


恐らく“ありがと、みんな”と言いたいんだと思う。


「口の周りをソースだらけにしている花嫁なんて初めて見るわ……今日ぐらいはおしとやかにしときな」


凛香に叱られても「いいじゃ~ん」と笑顔の輝子。

ソースが付いていようが、頬っぺたに食べ物が詰まってパンパンだろうが彼女が主役なのは変わらない。


「高瀬もバッチリ決まってるじゃん。格好良いよ」


凛香と同じ職場で働く仲間でもある新郎の漣さんは、彼女の言葉に「ありがと」と細めの目を更に細めた。


「輝子の事よろしくお願いします。何かと暴走しがちなアホな子だけど、見放さないでやって」


真央が言うと、漣さんは大笑い。

細い目が完全になくなった。


「酷ーい!アホじゃないし!」

「ブーケトス、外し過ぎてアホ丸出しだったじゃない」

「ぶー!結果的に凪ちゃんの手に渡ったしいいじゃーん」


輝子が「ね、凪ちゃん」と私に振る。


「ん、うん……貰った。本当に次の花嫁になれるといいんだけどね」


と言ってみたけど、こればっかりは相手次第かな。



「てかさ、ずっと気になってたけど……」


輝子が何故か半笑いで切り出してきた。


「皆のドレスのカラー……戦隊ものみたい!」

「え……」

「えぇ?」


漣さんが「ぶっ…」と吹き出した。

其々ドレスの色を確認する。

真央が真紅、凛香が濃いブルー、千紗がグリーン、私がパステルイエロー……


「確かに!」


被らないように……と皆其々配慮した結果が戦隊ものカラー。

四人で指を差し合い、声を揃えて笑う。


「さながら、輝子を祝うんジャー……的な?」

「だっさ!やめてよー」

「てか、輝子もピンクじゃん!五人揃ってる。バッチリ戦隊ものじゃん!」


大して面白い話題でもないけど、お酒も入っているだけに、ゲラゲラ笑える。


「じゃあ、ピンクの輝子を囲んで写真撮ろうよ」

「戦隊ものっぽいポーズ取る?」

「うわ、マジ?」


相談の結果、何故か拳を突き立ててる妙なポーズで記念撮影。

しかも漣さんまで巻き添えにして。

キメ顔バージョン、変顔バージョンを其々携帯のカメラに収める。


「やだ、めちゃめちゃ笑える!」

「これインスタ上げよっかな」

「皆してスッゲー顔!」

「やっばいね、私ら」


また一つ素敵な思い出が出来た。

それを遼くんに報告ついでに送信した。

幸せのお裾分けとの一文を添えて。





二次会は、披露宴会場の近くのお店を貸し切って行われた。

この時点で結構酔っ払ってた私には、立食式のパーティーはちょっと辛かった。

元からあまりお酒が飲める方じゃないから、なるべくセーブしながら飲んでたつもりだったけど、周りの雰囲気に呑まれて、ちょっぴり飲み過ぎてしまっていたらしい。

酔い醒ましに外の風に当たる。

肌寒さを感じる反面、火照った体には心地好くもある。

主役の二人に悪いけど、早めにお暇させて貰おうかな……なんて思ってた。






【迎えが必要なら呼んで】




少し前に受信した遼くんからのLINE。

それに返信しようとしていた時


「凪さん、飲んでますか?」


更科さんがグラス片手に現れた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

友情結婚してみたら溺愛されてる件

鳴宮鶉子
恋愛
幼馴染で元カレの彼と友情結婚したら、溺愛されてる?

【完結】あなたに恋愛指南します

夏目若葉
恋愛
大手商社の受付で働く舞花(まいか)は、訪問客として週に一度必ず現れる和久井(わくい)という男性に恋心を寄せるようになった。 お近づきになりたいが、どうすればいいかわからない。 少しずつ距離が縮まっていくふたり。しかし和久井には忘れられない女性がいるような気配があって、それも気になり…… 純真女子の片想いストーリー 一途で素直な女 × 本気の恋を知らない男 ムズキュンです♪

イケメンエリート軍団の籠の中

便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC” 謎多き噂の飛び交う外資系一流企業 日本内外のイケメンエリートが 集まる男のみの会社 唯一の女子、受付兼秘書係が定年退職となり 女子社員募集要項がネットを賑わした 1名の採用に300人以上が殺到する 松村舞衣(24歳) 友達につき合って応募しただけなのに 何故かその超難関を突破する 凪さん、映司さん、謙人さん、 トオルさん、ジャスティン イケメンでエリートで華麗なる超一流の人々 でも、なんか、なんだか、息苦しい~~ イケメンエリート軍団の鳥かごの中に 私、飼われてしまったみたい… 「俺がお前に極上の恋愛を教えてやる 他の奴とか? そんなの無視すればいいんだよ」

セカンドラブ ー30歳目前に初めての彼が7年ぶりに現れてあの時よりちゃんと抱いてやるって⁉ 【完結】

remo
恋愛
橘 あおい、30歳目前。 干からびた生活が長すぎて、化石になりそう。このまま一生1人で生きていくのかな。 と思っていたら、 初めての相手に再会した。 柚木 紘弥。 忘れられない、初めての1度だけの彼。 【完結】ありがとうございました‼

優しい微笑をください~上司の誤解をとく方法

栗原さとみ
恋愛
仕事のできる上司に、誤解され嫌われている私。どうやら会長の愛人でコネ入社だと思われているらしい…。その上浮気っぽいと思われているようで。上司はイケメンだし、仕事ぶりは素敵過ぎて、片想いを拗らせていくばかり。甘々オフィスラブ、王道のほっこり系恋愛話。

腹黒上司が実は激甘だった件について。

あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。 彼はヤバいです。 サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。 まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。 本当に厳しいんだから。 ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。 マジで? 意味不明なんだけど。 めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。 素直に甘えたいとさえ思った。 だけど、私はその想いに応えられないよ。 どうしたらいいかわからない…。 ********** この作品は、他のサイトにも掲載しています。

副社長氏の一途な恋~執心が結んだ授かり婚~

真木
恋愛
相原麻衣子は、冷たく見えて情に厚い。彼女がいつも衝突ばかりしている、同期の「副社長氏」反田晃を想っているのは秘密だ。麻衣子はある日、晃と一夜を過ごした後、姿をくらます。数年後、晃はミス・アイハラという女性が小さな男の子の手を引いて暮らしているのを知って……。

私の婚活事情〜副社長の策に嵌まるまで〜

みかん桜(蜜柑桜)
恋愛
身長172センチ。 高身長であること以外はいたって平凡なアラサーOLの佐伯花音。 婚活アプリに登録し、積極的に動いているのに中々上手く行かない。 名前からしてもっと可愛らしい人かと…ってどういうこと? そんな人こっちから願い下げ。 −−−でもだからってこんなハイスペ男子も求めてないっ!! イケメン副社長に振り回される毎日…気が付いたときには既に副社長の手の内にいた。

処理中です...