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おまけエピソード2―④
しおりを挟むその後、披露宴が盛大に行われた。
終始和やかなムードで、笑いあり涙ありのとても賑やかな宴が進んでいく。
見るのも食べるのも楽しい豪華な食事を摂る傍ら、種類豊富なアルコールも楽しんだ。
友人代表の凛香のスピーチには目を潤ませて、新郎友人達のはっちゃけた余興には軽く引いたぐらいにして。
「輝子、おめでとう。綺麗だよ」
高砂へ行き、豪快にメインディッシュのステーキを頬張る輝子に祝いの言葉を贈る。
「はひはほ、ひんな」
恐らく“ありがと、みんな”と言いたいんだと思う。
「口の周りをソースだらけにしている花嫁なんて初めて見るわ……今日ぐらいはおしとやかにしときな」
凛香に叱られても「いいじゃ~ん」と笑顔の輝子。
ソースが付いていようが、頬っぺたに食べ物が詰まってパンパンだろうが彼女が主役なのは変わらない。
「高瀬もバッチリ決まってるじゃん。格好良いよ」
凛香と同じ職場で働く仲間でもある新郎の漣さんは、彼女の言葉に「ありがと」と細めの目を更に細めた。
「輝子の事よろしくお願いします。何かと暴走しがちなアホな子だけど、見放さないでやって」
真央が言うと、漣さんは大笑い。
細い目が完全になくなった。
「酷ーい!アホじゃないし!」
「ブーケトス、外し過ぎてアホ丸出しだったじゃない」
「ぶー!結果的に凪ちゃんの手に渡ったしいいじゃーん」
輝子が「ね、凪ちゃん」と私に振る。
「ん、うん……貰った。本当に次の花嫁になれるといいんだけどね」
と言ってみたけど、こればっかりは相手次第かな。
「てかさ、ずっと気になってたけど……」
輝子が何故か半笑いで切り出してきた。
「皆のドレスのカラー……戦隊ものみたい!」
「え……」
「えぇ?」
漣さんが「ぶっ…」と吹き出した。
其々ドレスの色を確認する。
真央が真紅、凛香が濃いブルー、千紗がグリーン、私がパステルイエロー……
「確かに!」
被らないように……と皆其々配慮した結果が戦隊ものカラー。
四人で指を差し合い、声を揃えて笑う。
「さながら、輝子を祝うんジャー……的な?」
「だっさ!やめてよー」
「てか、輝子もピンクじゃん!五人揃ってる。バッチリ戦隊ものじゃん!」
大して面白い話題でもないけど、お酒も入っているだけに、ゲラゲラ笑える。
「じゃあ、ピンクの輝子を囲んで写真撮ろうよ」
「戦隊ものっぽいポーズ取る?」
「うわ、マジ?」
相談の結果、何故か拳を突き立ててる妙なポーズで記念撮影。
しかも漣さんまで巻き添えにして。
キメ顔バージョン、変顔バージョンを其々携帯のカメラに収める。
「やだ、めちゃめちゃ笑える!」
「これインスタ上げよっかな」
「皆してスッゲー顔!」
「やっばいね、私ら」
また一つ素敵な思い出が出来た。
それを遼くんに報告ついでに送信した。
幸せのお裾分けとの一文を添えて。
二次会は、披露宴会場の近くのお店を貸し切って行われた。
この時点で結構酔っ払ってた私には、立食式のパーティーはちょっと辛かった。
元からあまりお酒が飲める方じゃないから、なるべくセーブしながら飲んでたつもりだったけど、周りの雰囲気に呑まれて、ちょっぴり飲み過ぎてしまっていたらしい。
酔い醒ましに外の風に当たる。
肌寒さを感じる反面、火照った体には心地好くもある。
主役の二人に悪いけど、早めにお暇させて貰おうかな……なんて思ってた。
遼
【迎えが必要なら呼んで】
少し前に受信した遼くんからのLINE。
それに返信しようとしていた時
「凪さん、飲んでますか?」
更科さんがグラス片手に現れた。
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