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おまけエピソード2―②
しおりを挟む少し後から千紗も合流。
その数分後に、パイプオルガンの音色と共に式が始まった。
「えっ………輝子の旦那、普通の人じゃん?!」
「あの輝子の相手だからもっと変なの想像してた」
「すっごい意外…」
「いや、見た目普通でも、中身はぶっ飛んでるかもよ?」
新郎の入場と同時に、真央と千紗が小声で失礼発言連発。
「あの人が輝子の寝っ屁で起こされた人か……」
「ちょっ………千紗、こんな時に笑わせないでよ!」
千紗の背中をどつく真央の隣で凛香が吹き出した。
私も精一杯笑いを堪える。
「やめて、神聖な儀式の最中に屁の話は」
「私、輝子見たら噴く自信ある」
千紗の発言のせいで厳かな雰囲気に浸れそうもない。
新郎の入場が済むと、新婦が父親と入場してくる。
「え………輝子のお父さんって、あんなだっけ?」
「だよね?もっと薄かったような気がしたけど………増えてる…?」
ここでもまた真央と千紗が小声でヒソヒソ。
「乗っけてる?それとも植えた?」
「自然な感じだから植えたんじゃない?」
メインの花嫁そっちのけで輝子のお父さんの髪について分析している二人。
私も気になる所だけど、今はそんな事より輝子の綺麗な姿を見てあげて欲しい。
「馬子にも衣装だわ……」
凛香の呟きに大きく頷く。
「だね。輝子、凄く綺麗…」
緊張しているのか少々顔が強張っているけど、ウェディングドレス姿の輝子の美しさに思わず溜め息が出た。
「やっぱりプロの手に掛かると違うわ。あのアホの輝子が輝子じゃないみたいだもの」
悪態をつく凛香だけど、その目からは涙が流れてる。
私達の中で一番輝子との付き合いが長い分、色々と思う事があるんだと思う。
今日の式に招待された多くの親類、友人達の前で永遠の愛を誓った二人は、それを証明する為に誓いのキスを交わす。
「いよっ!ご両人!」
「漣!もっとがっつけ!吸え!」
新郎側の友人達からヤジみたいな歓声が挙がり、新婦側友人である私達はそのノリについていけずに顔を見合わせて苦笑い。
「私、あーいうノリちょっと無理」
「分かる。私も苦手…」
冷めたように言う凛香に私も同調する。
賑やかに祝福したい気持ちも分かるけど、度が過ぎるのは何となく気分が萎える。
「誓いのキス、長くない?」
「うん、結構してるね。でもいいんじゃない?本人達が良ければ」
長めのキスの後、少しの間見詰め合ってから照れ臭そうにはにかむ新郎新婦の姿が可愛らしくて微笑ましくて…
幸せオーラ全開の二人を見ながら思う。
いつか私もあの人と………なんて。
その前に父が結婚を許してくれるかどうか、だけど……
「おめでとう!」
「お幸せに~」
フラワーシャワーを浴びて幸せそうに微笑む輝子と新郎の漣さん。
そんな中
「これより花嫁によるブーケトスを行います。未婚女性の方はどうぞ前の方へお願い致します」
結婚式の定番イベントであるブーケトスが行われる事に。
「今一度申し上げます。未婚女性の方はどうぞ前の方に…」
ところが式場スタッフの呼び掛けに前に出る女性はなく、決まり悪そうに顔を見合わせているだけ。
「皆様恥ずかしがらずに、是非前へ」
恥ずかしがらずに………と言われても。
「…………ブーケトスなんて、独身女にとって辱しめ以外の何物でもなくない?」
「本当にね。花嫁にとっては最高に優越感に浸れる瞬間だろうけど」
「てか、今時この風習ってどうなの?私パスしたいんだけど」
毒づく真央と千紗、そして端からやる気なしの凛香。
私もどっちかっていうとあんまり参加したくない。
でも、このままではいつまで経ってもブーケトスは行われない。
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