苺と彼とあたし

江上蒼羽

文字の大きさ
上 下
1 / 13

しおりを挟む
週始めの月曜日。

大抵の人は憂鬱に思うらしい。

あたしも少し前までそうだった。



家を出て、冬の冷たい空気を吸い込みながら学校へと向かって歩く。

通学途中にある自動販売機で、お気に入りのストロベリーサイダーを買うのがあたしの日課。


『冬なのによくそんな冷たいの飲めるよね?』


なんて友達に言われるけど、甘くてシュワシュワの炭酸が眠気を吹き飛ばしてくれるから気に入ってる。

イチゴ柄のパッケージもかわいいしね。



お気に入りのストロベリーサイダーは、他の自動販売機では滅多に見掛けない。

コンビニでも見たことがない。

たまーにスーパーの陳列棚の片隅にあったりするけど、遭遇率はかなり低い。

だからストロベリーサイダーは、あたしだけの秘密の飲み物、って勝手に思ってる。




―――ガコンッ



取り出し口からキンキンに冷えた缶を取り出す。


「うわっ、冷た~」


悴んだ手には冷た過ぎるそれを、すぐに鞄の中に押し込んだ。

代わりに携帯を取り出し、画面をスライドさせる。

画面の時計表示はSHR開始の10分前を示していた。


「やっば………急がなきゃ!」


慌てて携帯を仕舞い込み、小走りで学校へと急いだ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件

フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。 寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。 プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い? そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない! スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

処理中です...