ヒロインになりたい!!

江上蒼羽

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漣くんの密かな楽しみ①[side:漣]

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てるりと付き合い始めてから、半年以上が経過した。

自分史上最長期間を更新中。

一人の女のコとこれだけ続いたのは初めてで、俺の過去の女関係を知るカズは「奇跡だ」なんて大袈裟な事を言っていた。

俺の中でてるりの存在はかなりの割合を占めていて、最早彼女ナシの生活には戻れない。

彼女程の変人………失礼、ユニークな逸材はそうそういないだろうから、カズの言っている事はあながち間違いじゃないのかもしれない。

そんなユニークな彼女との付き合いの中で、最近特に興味深い事がある。

それは……………彼女の寝言。




「…………うっふふ~…」



夜中に突然聞こえてきた、謎の笑い声。

丁度浅い眠りのタイミングだった為、一気に覚醒した。


「な、何………?」

「ふふふ~…」

「…………てるりさん?」


初めは起きているのかと思った。

だけど、頬を摘まんで引っ張ってみても、柔らかく伸びるだけ。

気持ち良さそうに眠っている。



「いや、凛ちゃん、そりゃ駄目だ~ふふ…」


 何が駄目なんだろう?

気になる………

楠木と夢の中で何してるんだ?


軽く微笑んでいる様子からして、楽しい夢を見ているんだと思う。




また別の日。


「や、だからさ、お母さん!」


何の前触れもなく怒り出すてるりさん。

また始まったか………と思いながらも、今日はどんな寝言を聞かせてくれるんだ?と期待に胸を膨らませる。


「NHKだって、NHK!!そう、それ!」


夢の中でお袋さんとチャンネル争いでもしているのだろう……と、勝手に分析してみた。


「あっ、だからさ~違うって、NHK!そう!…………ん、それで良し。ご苦労」


何故NHKなのかは分からないけど、最後の偉そうな「それで良し。ご苦労」がじわりときた。
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