私は彼の恋愛対象外。

江上蒼羽

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急展開?!②

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「あぁ、お疲れ様です。仕事が中々片付かなくて……そっちも今帰りですか?」



えっ………



「そだよん、青柳さんは晩飯買いに来たの?」



うそうそうそーっ!!

青柳のお兄さん、王子とお知り合いな感じ?!



「そんな所です。帯刀さんは?」

「ん、俺?ちょっくら金下ろしに来たの」


割りと親しげな会話をする青柳のお兄さんと王子。

思わず二人を交互に見比べてしまう。

というか、王子、“おびなた”って名字……だよね?


「腹減ったし、俺にも何か買ってくんない?」

「嫌ですよ。ご自分でどうぞ」

「ケチ~まっ、良いけど。じゃ、青柳さん、まったね~ん」


ニコニコと愛想良く手を振った王子は、店の奥のトイレ前に設置されたATMコーナーへと向かった。


「えっと……いくらだっけ?」


青柳のお兄さんの問い掛けにハッと我に返る。


「なっ、725円です!」

「細かいのないから五千円で良い?」


差し出された五千円札を受け取った。


「五千円お預かり致します!」


元気に言ったはいいものの、気はATMコーナーにいる王子の方へと向かってる。


「確認お願いします。一先ず1、2、3、4……4000円のお返しと、細かい方が275円のお返しです」

「ありがとう」


小銭をレシートと一緒に渡す。

と、青柳のお兄さんが「えっ……?」と、声を挙げた。


それもその筈、私の手が青柳のお兄さんの手をガッチリ握っているから。


「な、何かな?」


戸惑うお兄さんの手を更に強く握る。

後ろに並んでいた客が“まだかよ”と言いたげにお兄さんの背後から顔を覗かせる。

お客様をお待たせしてはいけないのは十分承知しているけど、なりふり構っていられない。


「離して貰える?」


いつまで経っても手を離して貰えず困ったように笑うお兄さんに顔を近付ける。


「お兄さんっ!後で少しだけお時間頂けませんか?」

「えぇ……?」


鼻息荒く詰め寄る私にお兄さんはタジタジで。


「とっても大事なお話があるんです!!」


鏡を見ていないから何とも言えないけど、多分今の私の目はギラッギラに血走っていると思う。

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