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第一章 幸せが壊れるのはあまりにも呆気なく

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「ちなみにだけど、その完璧シミュレーションが出来るようになったのはいつ?」
「じゅう……っさいくらい、だったはず。十歳かそれより少し前か……視聴率が三十パーセントを超えたドラマ。俺が出てたドラマだけど、あの時にはできるようになってた記憶がある」
「兄さんが賞を総なめしたやつだね。脇役だったのに」

 あの時には出来るようになってたの?すご……その時おれはまだ五歳だよ。兄さんはもう有名人になってた年齢だけどね。

 幼少期の兄さん、家族写真だけじゃなくてインターネット上にも記録があるけど生で見たかったな。兄さんって、これでも………と言っては何だけど、顔はクール系なんだよね。でも小さい頃はかわいいから。今でこそどの系統とも言い難い感じの完璧イケメンだけど。それでもやっぱりクール感は強いかな。無表情ならほんのり冷たさがある、みたいな?氷ほどではないけど氷と冷水の間くらいなどちらかと言うとクール系って感じ?綺麗すぎてそう見えるって可能性もある。

 あ、瞳の色のせいでもあるかな?青眼って家族で兄さんだけだから。だいぶ昔に海外の血が入ってるらしいからそれの先祖返りなのではないかって言われてる。

「パーツも関係あるだろうけどね」
「え?」
「いや、直人くんって俺の前だと結構考えていることが口に出てるんだよ。今のも全部聞いてたし」

 嘘でしょ?えぇ?知らなかった。完全に無意識だね。

 兄さんに心を読まれたかと思えば声に出てたよって言われること実は少し……かなり、あったりなかったり?するんですけど。はい。

「俺は父さんに似てるからねぇ。逆に直人くんは母さんに似てるから、どちらかと言うと可愛い系って言うか甘めだよね」
「陽太はチャラい感じで旭は大人っぽいイケメンかな」
「俺だけ褒めてないっすね。でもあまりお二人と比べないでほしいっす」

 お二人と比べたらほとんどの人間が劣ってますから、と続ける。案外切実っぽいね。旭も頭が痛くなりそうだと思うくらいに首を縦に振って全力で同意してるし。

「だいじょうぶ、間違いなく二人ともイケメンだからねぇ。みんな顔が良いから俺が霞んでるくらい」
「……どこが?それはこっちのセリフだけど。兄さんって自分のスペックの高さはしっかり理解してるくせに顔の良さだけは否定的なのなんで?」
「そりゃあ生まれた時から美形に囲まれてたら目が肥えるでしょー」

 たしかに我が家の使用人は顔で選んでいるのかと言う程に全員美形だし、父さんと母さんに至っては兄弟と間違えられることがほとんどなくらいだけど、それはないでしょ。さすがにどの世界を探しても兄さんを超える美形はいないって断言できるから。
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