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第一章 幸せが壊れるのはあまりにも呆気なく

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 ◇

「この度、代役として準主役を演じさせていただくことになりました、ナオと言います!よろしくお願いします!」
「よろしくー」

 打ち合わせの時間が近づき、少し早めに行こうと会議室に向かうと半分くらいは席が埋まっていて何人かは一緒に仕事をしたことがある人たちだった。まだ集合時間前だからか、それぞれ台本を読んだり話をしたりと比較的自由に過ごしている。

 当たり前だけどまだ撮影中の兄さんは来ていない。おれも指定された席に着くと隣に座っていた同い年くらいの男子に話しかけられた。

「はじめまして、主人公の友人のひとりを演じさせて頂くレオンです。ナオくんって呼ばせてもらうね。ナオくんってアイドルグループ『LIEN-絆-リアン』のリーダーだったよね?」
「はい。正しくはリーダーになる予定、となりますが」
「そっか!リアンってデビュー前なのに実力派なことで有名なグループだよね。写真とか見たことあるけど本物は初めて見た……あ、ナオくんって十二歳だったよね?同い年だから敬語なしで話そうよ!僕のことはレオンって呼んで」
「あ、うん。レオンは何をやってる人?」
「僕はモデルをやってる。憧れで目標の先輩はやっぱり佐倉さんかな」

 まあそうだよね。芸能界でアイドル以外、どの分野においても兄さんに勝る人はいないと思うし。でもレオンも有名なんだよね。いま気づいたけど、おれたちの年代のモデルならレオンはトップを争う売れっ子じゃなかった?こうして見ると今回の映画の出演者、すごい人揃いだよ。おれだけ場違いな気がしてきた……

 しかもみんな美形。兄さんには劣るけど美形!レオンだって少し気さくな王子様って感じの顔にモデルらしいスタイルの良さ。うわぁ……本当、おれここにいて大丈夫なの?

「佐倉さんと一緒に仕事するのが夢だったからすごく嬉しいんだ。すでに少し撮影しているけど佐倉さんだけ別次元にいるって思った」
「おれも一緒に撮影するのが今から楽しみだな」

 こうして話している間にもどんどん出演者が集まってきて、あとは俺のレオンが座っている方とは反対側の隣、兄さんだけになった。今日は時間に余裕があるようで、スタッフさんたちも特に時間を気にすることなく待っている。
 集合時間五分前、軽く走っているような足音はこの部屋の前で止まり、一拍おいてノックする音が響き渡った。
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