83 / 161
第3章 アーサー王伝説編
83話 アーサー王
しおりを挟む
「ようやくお城に到着だ」
城下町を越えて城の門をくぐり、中庭を抜けてお城に入る大きな扉の前に到着する。馬から降りてここまで連れていた騎士たちを解散させるとランスロットはグリムの縄を持って城の中へと入った。
「このまま城の最上階まで歩くのか?」
遠くから見てもかなり高い事は分かっていたが、あらためて間近で城を見るとシンデレラのお城とは比にならないほどの高さだった。
「まさか、そんなことをしてたら日が暮れちまうよ」
ランスロットはそう言いながらグリムを連行して城の中を歩いていく。しばらくすると不可思議な紋章のようなものが地面に描かれた場所にたどり着いた。
「これは?」
「マーリンの魔法でね、これに乗ると玉座の間にひとっとびさ」
いわゆるワープ装置だとランスロットは説明する。このお城の至る所にこの魔法陣が設置されているらしい。
「それじゃあ行きますか」
ランスロットの声に合わせて二人同時に魔法陣の上に乗る。すると地面に描かれていた魔法陣が光を発し始める。瞬きをすると次に視界に映ったのは先ほどまでいた場所ではなく、荘厳な扉の前だった。
「な、楽ちんだろ?」
ランスロットは驚いていたグリムに笑いかけてくる。
窓から外の景色を除くと雲にも届きそうな場所にいつの間にか移動していた。
「この扉の先が玉座の間だ」
視線の先にある扉を見てランスロットは話す。
「円卓の騎士なのに玉座があるのか?」
「円卓があるのはまた別の場所だよ。王様にだって一人になれる場所が必要だろ?」
ランスロットはグリムの質問にさらりと答えながら扉の前に立つ。
「さて、この先にいるのは王様だ、粗相の内容にな」
ランスロットはそう言ってゆっくりと扉を開く。
こうしてグリムはこの世界の物語の主人公であるアーサー王との対面の時を迎えるのだった。
◇
「アーサー、今宵こそは!」
扉を開けた先、最初に聞こえてきたのは女性の声だった。
見ると玉座に座る全身を鎧で包んだ人間が一人、その人間に駆け寄っている女性が一人いた。
扉が開かれたのに気付いた女性はすぐに玉座に座る人間から離れて距離を取る。
「……何の用かしらランスロット」
「おやおや、今日もお熱いねぇ」
女性が冷ややかな目でランスロットを睨む。それに対して彼はグリムに接するのと変わらないようにケロっとした態度を見せた。
「用がないなら出て行ってくれるかしら?」
「グィネヴィア王妃、邪魔したのは謝るが、こちとら王の命令でここに来たんでね」
目の前にいる女性の名前をグィネヴィアとランスロットは言った。
グィネヴィア王妃。アーサー王の妻であり、後にランスロットと不貞の仲になる、この物語を終幕へと向かわせるのに欠かせない役割を与えられた女性である。
「アーサーが?」
グィネヴィアの視線が玉座に座る人間に向かう。
「……そうだ、我が彼に頼んでそこの人間を連れてくるように命じた」
アーサーと呼ばれた人間がゆっくりと口を開いた。鎧をかぶっているせいか、声がくぐもっていて少しだけ聞き取りづらかった。
アーサー王。この世界の主役であり、円卓の騎士を束ねる王様である。
アーサー王伝説という物語はシンデレラや赤ずきんと比較するとかなり長い。桃太郎やかぐや姫のように主役を与えられた者が生まれるところから世界が始まる世界だった。
この物語の終盤では今この場にいるランスロットとグィネヴィアが駆け落ちし、中庭で出会ったアーサー王の息子であるモードレットによって謀反を起こされ、最後には幻想の泉にてアーサー王は最期を迎える。
明確には言われていないがアーサー王は息子のモードレット同様に死をもってこの世界は完結するものだった。
玉座の後ろには立派な肖像画が壁に取り付けられており、そこには勇猛な姿で剣を掲げている騎士の姿が描かれていた。肖像画のモデルとなったのは鎧の姿形が一致する目の前のアーサー王に違いなかった。
「まさかまた「白紙の頁」の人間を!?」
グィネヴィアと呼ばれた女性が怪訝そうな顔をする。
「アーサー、どういうつもり?私は「白紙の頁」の人間は嫌いって言ったわよね!」
グィネヴィアは真剣な表情でアーサーに詰め寄った。
「まぁまぁ、今回の人間は男ですし、王妃がそこまで怒らなくても」
「ランスロットは黙ってなさい!」
グィネヴィアはぎろりと彼を睨んで言葉を飛ばす。ランスロットは肩をすかしてため息を吐く。
「今回は男」と彼は言った。その事から前回この世界に訪れた「白紙の頁」所有者は女性だったことをグリムは知る。アーサー王の妻であるグィネヴィアからしてみれば外の世界からやってきた女性とアーサーが仲良くなるのが気に食わないのは当然といえば当然だった。
「すまない、グィネヴィア。今回で最後にするつもりだから許してほしい」
アーサーは王妃に向かって申し訳なさそうに謝罪をする。
「……アーサーがそこまで言うのなら」
アーサーの言葉を聞いてグィネヴィアは一歩引いた。
「ランスロット、その者の縄をほどいてくれるか」
アーサー王の命令に従い、ランスロットは剣を抜いてグリムの全身を縛っていた縄をほどいた。
「それで、この人間をどうするおつもりで?」
ランスロットが本題に入ろうとする。アーサー王がグリムを呼んだ理由についてはグリムも気になっていた。
「……しばらくの間、この者と二人にさせてくれるか」
「「「な」」」
その言葉を聞いてグリムを含めたこの場にいるアーサー王以外の全員が驚いた表情をした。
「どうしてまた「白紙の頁」の人間と二人に!」
再びグィネヴィアがアーサー王に詰め寄った。
「王よ、彼はただの「白紙の頁」人間ではありません。マーリンと同様に魔法を使えるのです。そんな人間とあなたをこの場に残すのは流石に危険すぎませんか」
二人はアーサー王の意見に否定的だった。客観的に見ても彼らの意見は正しく、仮にグリムがアーサー王だったとしてもその発言はおかしいと思えた。
「……我が信頼できないか?」
アーサー王はグィネヴィアが叫んでいる中でもはっきりと聞こえる声でそう言った。
「そ、そういうつもりで言ったわけでは……」
アーサー王の威厳かそれとも風格のせいか、グィネヴィアが怯んだ。
「……分かりました」
ランスロットはアーサー王の言葉を承諾するとそのままグィネヴィアの近くまで歩み寄り、彼女を脇に抱えた。
「ちょっと、何をするのよ、離しなさい!」
「いつまでも王を困らせちゃだめですよ」
「私一人で歩けるわよ、恥ずかしいから離しなさい!」
グィネヴィアの文句を無視してランスロットは彼女を抱えたまま扉を後にした。
「それでは王の命令通りに、全員この場を離れます」
「……すまないな」
ランスロットの言葉を聞いてアーサー王は礼を言う。
「ちょっと、扉の外にいるだけでいいじゃないのよ。なんで私も下に行く事になってるのよ!」
「王妃がうるさすぎてご迷惑になるからですよ」
「な、なんですってー!」
扉が閉まってもその声はしばらく聞こえてくる。少し時間がたつとその声も消えた。魔法陣に乗って移動を終えたのだろう。
こうしてこの場にいるのはアーサー王とグリムの二人だけになった。
城下町を越えて城の門をくぐり、中庭を抜けてお城に入る大きな扉の前に到着する。馬から降りてここまで連れていた騎士たちを解散させるとランスロットはグリムの縄を持って城の中へと入った。
「このまま城の最上階まで歩くのか?」
遠くから見てもかなり高い事は分かっていたが、あらためて間近で城を見るとシンデレラのお城とは比にならないほどの高さだった。
「まさか、そんなことをしてたら日が暮れちまうよ」
ランスロットはそう言いながらグリムを連行して城の中を歩いていく。しばらくすると不可思議な紋章のようなものが地面に描かれた場所にたどり着いた。
「これは?」
「マーリンの魔法でね、これに乗ると玉座の間にひとっとびさ」
いわゆるワープ装置だとランスロットは説明する。このお城の至る所にこの魔法陣が設置されているらしい。
「それじゃあ行きますか」
ランスロットの声に合わせて二人同時に魔法陣の上に乗る。すると地面に描かれていた魔法陣が光を発し始める。瞬きをすると次に視界に映ったのは先ほどまでいた場所ではなく、荘厳な扉の前だった。
「な、楽ちんだろ?」
ランスロットは驚いていたグリムに笑いかけてくる。
窓から外の景色を除くと雲にも届きそうな場所にいつの間にか移動していた。
「この扉の先が玉座の間だ」
視線の先にある扉を見てランスロットは話す。
「円卓の騎士なのに玉座があるのか?」
「円卓があるのはまた別の場所だよ。王様にだって一人になれる場所が必要だろ?」
ランスロットはグリムの質問にさらりと答えながら扉の前に立つ。
「さて、この先にいるのは王様だ、粗相の内容にな」
ランスロットはそう言ってゆっくりと扉を開く。
こうしてグリムはこの世界の物語の主人公であるアーサー王との対面の時を迎えるのだった。
◇
「アーサー、今宵こそは!」
扉を開けた先、最初に聞こえてきたのは女性の声だった。
見ると玉座に座る全身を鎧で包んだ人間が一人、その人間に駆け寄っている女性が一人いた。
扉が開かれたのに気付いた女性はすぐに玉座に座る人間から離れて距離を取る。
「……何の用かしらランスロット」
「おやおや、今日もお熱いねぇ」
女性が冷ややかな目でランスロットを睨む。それに対して彼はグリムに接するのと変わらないようにケロっとした態度を見せた。
「用がないなら出て行ってくれるかしら?」
「グィネヴィア王妃、邪魔したのは謝るが、こちとら王の命令でここに来たんでね」
目の前にいる女性の名前をグィネヴィアとランスロットは言った。
グィネヴィア王妃。アーサー王の妻であり、後にランスロットと不貞の仲になる、この物語を終幕へと向かわせるのに欠かせない役割を与えられた女性である。
「アーサーが?」
グィネヴィアの視線が玉座に座る人間に向かう。
「……そうだ、我が彼に頼んでそこの人間を連れてくるように命じた」
アーサーと呼ばれた人間がゆっくりと口を開いた。鎧をかぶっているせいか、声がくぐもっていて少しだけ聞き取りづらかった。
アーサー王。この世界の主役であり、円卓の騎士を束ねる王様である。
アーサー王伝説という物語はシンデレラや赤ずきんと比較するとかなり長い。桃太郎やかぐや姫のように主役を与えられた者が生まれるところから世界が始まる世界だった。
この物語の終盤では今この場にいるランスロットとグィネヴィアが駆け落ちし、中庭で出会ったアーサー王の息子であるモードレットによって謀反を起こされ、最後には幻想の泉にてアーサー王は最期を迎える。
明確には言われていないがアーサー王は息子のモードレット同様に死をもってこの世界は完結するものだった。
玉座の後ろには立派な肖像画が壁に取り付けられており、そこには勇猛な姿で剣を掲げている騎士の姿が描かれていた。肖像画のモデルとなったのは鎧の姿形が一致する目の前のアーサー王に違いなかった。
「まさかまた「白紙の頁」の人間を!?」
グィネヴィアと呼ばれた女性が怪訝そうな顔をする。
「アーサー、どういうつもり?私は「白紙の頁」の人間は嫌いって言ったわよね!」
グィネヴィアは真剣な表情でアーサーに詰め寄った。
「まぁまぁ、今回の人間は男ですし、王妃がそこまで怒らなくても」
「ランスロットは黙ってなさい!」
グィネヴィアはぎろりと彼を睨んで言葉を飛ばす。ランスロットは肩をすかしてため息を吐く。
「今回は男」と彼は言った。その事から前回この世界に訪れた「白紙の頁」所有者は女性だったことをグリムは知る。アーサー王の妻であるグィネヴィアからしてみれば外の世界からやってきた女性とアーサーが仲良くなるのが気に食わないのは当然といえば当然だった。
「すまない、グィネヴィア。今回で最後にするつもりだから許してほしい」
アーサーは王妃に向かって申し訳なさそうに謝罪をする。
「……アーサーがそこまで言うのなら」
アーサーの言葉を聞いてグィネヴィアは一歩引いた。
「ランスロット、その者の縄をほどいてくれるか」
アーサー王の命令に従い、ランスロットは剣を抜いてグリムの全身を縛っていた縄をほどいた。
「それで、この人間をどうするおつもりで?」
ランスロットが本題に入ろうとする。アーサー王がグリムを呼んだ理由についてはグリムも気になっていた。
「……しばらくの間、この者と二人にさせてくれるか」
「「「な」」」
その言葉を聞いてグリムを含めたこの場にいるアーサー王以外の全員が驚いた表情をした。
「どうしてまた「白紙の頁」の人間と二人に!」
再びグィネヴィアがアーサー王に詰め寄った。
「王よ、彼はただの「白紙の頁」人間ではありません。マーリンと同様に魔法を使えるのです。そんな人間とあなたをこの場に残すのは流石に危険すぎませんか」
二人はアーサー王の意見に否定的だった。客観的に見ても彼らの意見は正しく、仮にグリムがアーサー王だったとしてもその発言はおかしいと思えた。
「……我が信頼できないか?」
アーサー王はグィネヴィアが叫んでいる中でもはっきりと聞こえる声でそう言った。
「そ、そういうつもりで言ったわけでは……」
アーサー王の威厳かそれとも風格のせいか、グィネヴィアが怯んだ。
「……分かりました」
ランスロットはアーサー王の言葉を承諾するとそのままグィネヴィアの近くまで歩み寄り、彼女を脇に抱えた。
「ちょっと、何をするのよ、離しなさい!」
「いつまでも王を困らせちゃだめですよ」
「私一人で歩けるわよ、恥ずかしいから離しなさい!」
グィネヴィアの文句を無視してランスロットは彼女を抱えたまま扉を後にした。
「それでは王の命令通りに、全員この場を離れます」
「……すまないな」
ランスロットの言葉を聞いてアーサー王は礼を言う。
「ちょっと、扉の外にいるだけでいいじゃないのよ。なんで私も下に行く事になってるのよ!」
「王妃がうるさすぎてご迷惑になるからですよ」
「な、なんですってー!」
扉が閉まってもその声はしばらく聞こえてくる。少し時間がたつとその声も消えた。魔法陣に乗って移動を終えたのだろう。
こうしてこの場にいるのはアーサー王とグリムの二人だけになった。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?
長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。
王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、
「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」
あることないこと言われて、我慢の限界!
絶対にあなたなんかに王子様は渡さない!
これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー!
*旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。
*小説家になろうでも掲載しています。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる