50 / 161
第2章 赤ずきん編
50話 赤ずきんの村
しおりを挟む
赤ずきん。その名の通り、赤ずきんをかぶった少女が森の中に住んでいる祖母のもとへ行き、家の中で待ち構えていたオオカミに食べられてしまう。しかし、その後通りかかった猟師に助けられて最後は幸せに暮らすという物語……それがグリムの赤ずきんに対する知識だった。
「どおりで森の中にオオカミがいるわけだ」
この状況にグリムは納得する。
「でも、オオカミさんたちはいったいどうやって物語を進めるのでしょうか?」
マロリーの疑問のような声に「そういえば」とグリムも同意する。
全ての生き物には生まれた時に役割の書かれた「頁」を世界に与えられる。それは人間以外の、馬やウサギ、それこそこの世界ならオオカミにも当然与えられている。
人間ならばその見た目容姿に適した精神状態で生まれてくるので「頁」に書かれた役割をこなすことは難しくない。
しかしオオカミとなると話は別だった。彼らは物語を進行するだけの、役割を演じるだけの知能は果たしてあるのだろうか?
過去に動物が主要な役割を与えられる物語の世界を訪れたことのないグリムはオオカミが赤ずきんを生きたままの状態で食べるという役割をこなせるのかわからなかった。
◇
「着いた……のか?」
「はい、ここで間違いないです」
マロリーと話しているうちに気が付くと森を抜けて村の入り口にたどり着いていた。
町というにはあまりにも小さく、しかし最低限の数の民家は点在している。村と森は人間の子供でも簡単に飛び越えられそうな低い柵で区切られていた。
もしもオオカミが襲い掛かってきたらとてもではないが耐えられそうにない。そんな集落のような場所にグリムとマロリーは足を踏み入れた。
「人は……随分と少ないな」
辺りを見回すと井戸から水をくむ女性や鉈で木を割る老人、作物を耕す青年など、片手で数えられる程度の人数だった。
「だれも俺たちが入ってきたことに対して警戒はしないんだな」
「私がすでに村の人達に挨拶をしていましたからね」
マロリーは老人に手を振りながら説明をする。老人は彼女に笑顔で手を振り返し、グリムを見てもマロリーの仲間と認識されたのか、特に警戒もされなかった。
外の世界から来た人間というものは容姿や服装などで判別されやすい。
それ以外にもこの村のように、そもそもの世界の住人の数が少ないと見知らぬ顔はすぐにこの世界の人間ではないとわかってしまう。
旅人は基本的に歓迎されることは少ない印象のグリムだったが、この村ではすでに彼女のおかげで最低限の滞在は出来そうだった。
「一番奥の小屋はだれも使っていないそうなのでワーストさんはそこを借りてください」
彼女はその手前の小屋を借りているらしい。
「マロリーはいつからこの世界に?」
「つい2日ほど前ですね」
少女は視界に入る人たち一人一人に丁寧にあいさつを交わしながら合間に会話をする。
「この赤ずきんの世界で待ち合わせをしている人がいるのですが、どうやら迷子になっているみたいで……」
「待ち合わせ?」
グリムの問いに対してマロリーは「はい」と答える。
「その相手も「頁」を持っていない人間なのか?」
今度の質問に対して彼女は「いいえ」と答えた。
「私が待ち合わせしているのは「白紙の頁」の人間ですよ」
「白紙の頁」それは世界から役割を与えられなかった人間が持っている「頁」の総称であり、グリムやマロリーと同じように「境界線」を超えて別の世界へ渡ることが出来る者の存在を指す。
「白紙の頁」所有者の絶対数は少なく、世界に一人もいないことがほとんどだった。
「こんなオオカミがうろついている世界でその「白紙の頁」の人間は一人で大丈夫なのか?」
「彼なら相当強いので大丈夫です」
腰に手を当ててマロリーはふふっと笑いながら強気なポーズをみせる。彼女の反応から待ち合わせをしているという相手はよほどの手練れなのかもしれない。
「あら、マロリーちゃんじゃない」
突然少女は声をかけられる。声のした方向を見ると一人の女性が立っていた。
「あら、赤ずきんのお母様、こんにちは」
その声の主に気が付いたマロリーは言葉を返しながらお辞儀をする。
「その隣にいるイケメンが例の待ち合わせの人かい?」
「いいえ、こちらの方は先ほど森で初めてお会いした方です」
赤ずきんのお母様と呼ばれた人間がグリムの方を見る。マロリーの発言が本当ならばこの女性はこの世界の主人公である赤ずきんの母親ということになるが、見た目はずいぶんと若く、シンデレラの舞踏会に参加していても違和感はないほどに思えた。
「あら、そうなの……見ない顔だけどもしかしてあなたも外の世界から?」
赤ずきんの母親の問いに対してグリムは頷く。
「まぁ!外の世界の人達って美男美女ばかりなのね」
赤ずきんの母親は口に手を当てて驚いたような仕草を見せる。あまり自身の容姿については気に留めていないグリム出会ったが、こうも褒められるとさすがに恥ずかしくなり、被っていた魔女の帽子のつばを少しだけ下げて視線を隠した。
「こちらの方の名前はグリム・ワーストさんです」
少女は先にグリムの紹介をする。さすがにいつまでも顔を合わせないわけにもいかず、赤ずきんの母親に一瞥する。
容姿に対する価値観は人それぞれではあるが、目の前の女性も張りのある肌を含めて整った顔をしている。赤ずきんの姉といえば信じてしまいそうなほどに若く見えた。
「はじめまして、グリムさん……でいいかしらね?私は「赤ずきんの母親」の役割を与えられた人間よ」
手を差し伸べてきたのでグリムも握手で対応する。
「この世界は生まれてからどれくらいの時が過ぎている?」
「そうね……おおよそ半年程度かしら」
「赤ずきんはどこにいる?」
「あの子なら村の子供たちとどこかで遊んでいるわ」
「役割」と目の前の女性は言った。そしてこの世界は生まれてからまだ半年しか存在していない。この二つの発言から目の前にいる女性が赤ずきんを直接生んだわけではなく、赤ずきんという少女は少女の姿でこの世界に生を与えられた事が伺えた。
全ての生き物は物語を完成させる為に見合った容姿で世界に生まれてくる。
赤ずきんという物語は主人公である少女が森の中に行くところから本格的に始まる。
それまでの月日や過程は同じ赤ずきんの世界があったとしても全く同じとは限らない。
この世界の赤ずきんはおそらくではあるが「赤ずきん」の物語が始まる直前から世界が生まれたのだろう。
「そろそろ夕飯の準備をしなければいけないけど、あの子時間通りに帰ってくるかしら」
赤ずきんの母親は人差し指を頬に当てて困ったような仕草をする。
「帰ってくるって……まさか赤ずきんと他の子どもたちは村の外にいるのか?」
「えぇ、そうよ」
母親の発言に対してグリムは驚く。この村の周りはほとんど森に囲われている。
この場所以外では普通にオオカミに遭遇してしまう可能性が高かった。
そんな危険な森の中にこの世界の主人公である赤ずきんを自由に行き来させている。とてもではないが信じられない行為だった。
「もしかして、オオカミに襲われるかもしれないって想像しているのかしら?」
グリムの様子を見て内心を見透かしたかのように赤ずきんの母親は質問をする。
グリムは素直に頷くと目の前の女性は「大丈夫」と一言告げた。
いったいどうしてそんなことが言えるのかグリムは聞き返そうとするが、それよりも先に知りたかった答えについて隣にいたマロリーが告げた。
「この世界の赤ずきんはオオカミに襲われないのです」
「どおりで森の中にオオカミがいるわけだ」
この状況にグリムは納得する。
「でも、オオカミさんたちはいったいどうやって物語を進めるのでしょうか?」
マロリーの疑問のような声に「そういえば」とグリムも同意する。
全ての生き物には生まれた時に役割の書かれた「頁」を世界に与えられる。それは人間以外の、馬やウサギ、それこそこの世界ならオオカミにも当然与えられている。
人間ならばその見た目容姿に適した精神状態で生まれてくるので「頁」に書かれた役割をこなすことは難しくない。
しかしオオカミとなると話は別だった。彼らは物語を進行するだけの、役割を演じるだけの知能は果たしてあるのだろうか?
過去に動物が主要な役割を与えられる物語の世界を訪れたことのないグリムはオオカミが赤ずきんを生きたままの状態で食べるという役割をこなせるのかわからなかった。
◇
「着いた……のか?」
「はい、ここで間違いないです」
マロリーと話しているうちに気が付くと森を抜けて村の入り口にたどり着いていた。
町というにはあまりにも小さく、しかし最低限の数の民家は点在している。村と森は人間の子供でも簡単に飛び越えられそうな低い柵で区切られていた。
もしもオオカミが襲い掛かってきたらとてもではないが耐えられそうにない。そんな集落のような場所にグリムとマロリーは足を踏み入れた。
「人は……随分と少ないな」
辺りを見回すと井戸から水をくむ女性や鉈で木を割る老人、作物を耕す青年など、片手で数えられる程度の人数だった。
「だれも俺たちが入ってきたことに対して警戒はしないんだな」
「私がすでに村の人達に挨拶をしていましたからね」
マロリーは老人に手を振りながら説明をする。老人は彼女に笑顔で手を振り返し、グリムを見てもマロリーの仲間と認識されたのか、特に警戒もされなかった。
外の世界から来た人間というものは容姿や服装などで判別されやすい。
それ以外にもこの村のように、そもそもの世界の住人の数が少ないと見知らぬ顔はすぐにこの世界の人間ではないとわかってしまう。
旅人は基本的に歓迎されることは少ない印象のグリムだったが、この村ではすでに彼女のおかげで最低限の滞在は出来そうだった。
「一番奥の小屋はだれも使っていないそうなのでワーストさんはそこを借りてください」
彼女はその手前の小屋を借りているらしい。
「マロリーはいつからこの世界に?」
「つい2日ほど前ですね」
少女は視界に入る人たち一人一人に丁寧にあいさつを交わしながら合間に会話をする。
「この赤ずきんの世界で待ち合わせをしている人がいるのですが、どうやら迷子になっているみたいで……」
「待ち合わせ?」
グリムの問いに対してマロリーは「はい」と答える。
「その相手も「頁」を持っていない人間なのか?」
今度の質問に対して彼女は「いいえ」と答えた。
「私が待ち合わせしているのは「白紙の頁」の人間ですよ」
「白紙の頁」それは世界から役割を与えられなかった人間が持っている「頁」の総称であり、グリムやマロリーと同じように「境界線」を超えて別の世界へ渡ることが出来る者の存在を指す。
「白紙の頁」所有者の絶対数は少なく、世界に一人もいないことがほとんどだった。
「こんなオオカミがうろついている世界でその「白紙の頁」の人間は一人で大丈夫なのか?」
「彼なら相当強いので大丈夫です」
腰に手を当ててマロリーはふふっと笑いながら強気なポーズをみせる。彼女の反応から待ち合わせをしているという相手はよほどの手練れなのかもしれない。
「あら、マロリーちゃんじゃない」
突然少女は声をかけられる。声のした方向を見ると一人の女性が立っていた。
「あら、赤ずきんのお母様、こんにちは」
その声の主に気が付いたマロリーは言葉を返しながらお辞儀をする。
「その隣にいるイケメンが例の待ち合わせの人かい?」
「いいえ、こちらの方は先ほど森で初めてお会いした方です」
赤ずきんのお母様と呼ばれた人間がグリムの方を見る。マロリーの発言が本当ならばこの女性はこの世界の主人公である赤ずきんの母親ということになるが、見た目はずいぶんと若く、シンデレラの舞踏会に参加していても違和感はないほどに思えた。
「あら、そうなの……見ない顔だけどもしかしてあなたも外の世界から?」
赤ずきんの母親の問いに対してグリムは頷く。
「まぁ!外の世界の人達って美男美女ばかりなのね」
赤ずきんの母親は口に手を当てて驚いたような仕草を見せる。あまり自身の容姿については気に留めていないグリム出会ったが、こうも褒められるとさすがに恥ずかしくなり、被っていた魔女の帽子のつばを少しだけ下げて視線を隠した。
「こちらの方の名前はグリム・ワーストさんです」
少女は先にグリムの紹介をする。さすがにいつまでも顔を合わせないわけにもいかず、赤ずきんの母親に一瞥する。
容姿に対する価値観は人それぞれではあるが、目の前の女性も張りのある肌を含めて整った顔をしている。赤ずきんの姉といえば信じてしまいそうなほどに若く見えた。
「はじめまして、グリムさん……でいいかしらね?私は「赤ずきんの母親」の役割を与えられた人間よ」
手を差し伸べてきたのでグリムも握手で対応する。
「この世界は生まれてからどれくらいの時が過ぎている?」
「そうね……おおよそ半年程度かしら」
「赤ずきんはどこにいる?」
「あの子なら村の子供たちとどこかで遊んでいるわ」
「役割」と目の前の女性は言った。そしてこの世界は生まれてからまだ半年しか存在していない。この二つの発言から目の前にいる女性が赤ずきんを直接生んだわけではなく、赤ずきんという少女は少女の姿でこの世界に生を与えられた事が伺えた。
全ての生き物は物語を完成させる為に見合った容姿で世界に生まれてくる。
赤ずきんという物語は主人公である少女が森の中に行くところから本格的に始まる。
それまでの月日や過程は同じ赤ずきんの世界があったとしても全く同じとは限らない。
この世界の赤ずきんはおそらくではあるが「赤ずきん」の物語が始まる直前から世界が生まれたのだろう。
「そろそろ夕飯の準備をしなければいけないけど、あの子時間通りに帰ってくるかしら」
赤ずきんの母親は人差し指を頬に当てて困ったような仕草をする。
「帰ってくるって……まさか赤ずきんと他の子どもたちは村の外にいるのか?」
「えぇ、そうよ」
母親の発言に対してグリムは驚く。この村の周りはほとんど森に囲われている。
この場所以外では普通にオオカミに遭遇してしまう可能性が高かった。
そんな危険な森の中にこの世界の主人公である赤ずきんを自由に行き来させている。とてもではないが信じられない行為だった。
「もしかして、オオカミに襲われるかもしれないって想像しているのかしら?」
グリムの様子を見て内心を見透かしたかのように赤ずきんの母親は質問をする。
グリムは素直に頷くと目の前の女性は「大丈夫」と一言告げた。
いったいどうしてそんなことが言えるのかグリムは聞き返そうとするが、それよりも先に知りたかった答えについて隣にいたマロリーが告げた。
「この世界の赤ずきんはオオカミに襲われないのです」
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?
長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。
王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、
「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」
あることないこと言われて、我慢の限界!
絶対にあなたなんかに王子様は渡さない!
これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー!
*旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。
*小説家になろうでも掲載しています。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる