2 / 4
出会い
出会い
しおりを挟む
一学年12クラス。総勢およそ1,400人が体育館に集まっている。壇上に並べられた24脚の椅子にポツポツと何人かが座り始めた。
隣のクラスから立候補する山田は明らかに緊張している様子で、額から汗を流し、膝が震えているのが目に見えて分かった。
「お前も立候補したのか?」
僕は自分の緊張を解す意味も込めて山田に話しかけてみた。
「みんなにハメられてな。それより、うちの学校ってこんなに人がいるんだ。ヤバい……もう一回トイレ」
そう言って走り去って行った。
時間が経つにつれ、まただんだんと体育館の中が埋まっていくのが分かる。山田の言う通り、こうして見るとうちの学校にこれだけの人がいることに驚かさる。
壇上に並べられた椅子に既に座っている谷原はいつも学年で1位か2位の成績で、去年も生徒会役員だっただけに落ち着いて見えた。
三列目の椅子に2年生が座り始めた。
下級生となると、小学校や部活が同じ出ない限り接点はなく知ってる人はいなかった。しかし、たった一人だけ一際輝いていだ女の子に目が止まった。
背の高いショートヘアで、身だしなみがきちんと整った女の子。
(あの子は2年生か……)
その女の子は先生に確認し、自分の椅子に姿勢良くしっかり前を向いて座った。
「おい、ダイさん! いつまでもそこに立ってないで、ここ!」
しばらくその女の子に目を奪われていた僕は山下先生の声で我に返り、おずおずと自分の椅子に座った。
正面を向くとそこには1,400人の全校生徒が体育座りをしてこっちを向いている。
トイレから戻ってきた山田が泣きそうな顔をして谷原の隣りに座った。まだ落ち着かないのか、膝がブルブルと震えていて可笑しかった。
程なくして教頭先生の合図で体育館の扉が閉められた。
「え,それでは只今から、生徒会役員立候補者の演説会を始めます。生徒の皆さんは、これから壇上にいる立候補の演説を聞き、手元に配られた生徒会役員投票用紙にーー」
僕は間も無く始まる演説のことよりも、さっき目にした2年生の女の子のことばかりを考えていた。
隣のクラスから立候補する山田は明らかに緊張している様子で、額から汗を流し、膝が震えているのが目に見えて分かった。
「お前も立候補したのか?」
僕は自分の緊張を解す意味も込めて山田に話しかけてみた。
「みんなにハメられてな。それより、うちの学校ってこんなに人がいるんだ。ヤバい……もう一回トイレ」
そう言って走り去って行った。
時間が経つにつれ、まただんだんと体育館の中が埋まっていくのが分かる。山田の言う通り、こうして見るとうちの学校にこれだけの人がいることに驚かさる。
壇上に並べられた椅子に既に座っている谷原はいつも学年で1位か2位の成績で、去年も生徒会役員だっただけに落ち着いて見えた。
三列目の椅子に2年生が座り始めた。
下級生となると、小学校や部活が同じ出ない限り接点はなく知ってる人はいなかった。しかし、たった一人だけ一際輝いていだ女の子に目が止まった。
背の高いショートヘアで、身だしなみがきちんと整った女の子。
(あの子は2年生か……)
その女の子は先生に確認し、自分の椅子に姿勢良くしっかり前を向いて座った。
「おい、ダイさん! いつまでもそこに立ってないで、ここ!」
しばらくその女の子に目を奪われていた僕は山下先生の声で我に返り、おずおずと自分の椅子に座った。
正面を向くとそこには1,400人の全校生徒が体育座りをしてこっちを向いている。
トイレから戻ってきた山田が泣きそうな顔をして谷原の隣りに座った。まだ落ち着かないのか、膝がブルブルと震えていて可笑しかった。
程なくして教頭先生の合図で体育館の扉が閉められた。
「え,それでは只今から、生徒会役員立候補者の演説会を始めます。生徒の皆さんは、これから壇上にいる立候補の演説を聞き、手元に配られた生徒会役員投票用紙にーー」
僕は間も無く始まる演説のことよりも、さっき目にした2年生の女の子のことばかりを考えていた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛
らがまふぃん
恋愛
こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる