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鬼畜オオカミと蜂蜜ハニー
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「父さん、私はあの子を諦めたくはないんだ。親不孝ですみませんが」
立ち上がった隼人に晴臣は睨み上げる。
「あの子は薫さんの『宝』だぞ」
「それは里桜もですよ。鈴だけが『宝』じゃない。鈴を引き合いに出さないで下さい。後継の件ですが、申し訳ありませんが誰か親戚を当たって下さい。確か親戚の人で再婚した方が居ましたよね? 相手の女性に息子が居たかと」
「隼人!」
隼人はドアを開けて振り返る。
「明日からでもマンションを探します。鈴は連れて行きますので」
「…この、馬鹿者が!!」
晴臣が叱責する。仕方がない、鈴を手放すなんて考えられないのだから。その変わり鈴の将来は最後まで責任を取る。不動産屋を探し始めたのはそんな事がきっかけだった。
お揃いのマグカップを購入して、ダブルとシングルのベッドを購入した隼人は、後日配送の手続きをして小早川家に帰宅した。
「ただいま」
玄関で靴を脱いでいると、背後から薫がお帰りと出迎えた。
「丁度夕飯の支度が出来た処だから、二人共手を洗って来てね」
鈴は「は~い」と返事をして洗面所へ向かい、隼人さんは薫にマンション購入と、近々引っ越す話をしていた。
「そう、引っ越すのね。でも、…何で鈴も?」
鈴は玄関から近い洗面所で、二人の話を聞いている。胸が凄くドキドキする。
「前から考えていたんです。ダメですか?」
簡素な答えに薫が戸惑っている。それもその筈だ。これから新しい家族が増えるし、先日はあずさがやって来たばかりだ。
ーーーそうだすっかり忘れてたけど、あのお姉さん…。
「ダメって事は無いんだけど…」
「では、OKですね? 良かった。勉強は私が見ますから、心配しないで下さい」
「……」
隼人は、自室へ手にしていた書類の入った封筒を置きに向かう。
「母さん」
リビングから里桜が出て来て、洗面所の前で鈴を一瞥する。
「里桜…私嫌われてるのかしら、マンションって……まさか鈴を連れて出て行くだなんて」
「気にし過ぎだよお母さん。隼人さんだって大人だし、鈴は鈴でいつまでも子供じゃないんだから、親から離れて世界を見たいと思う年だよ」
「何よそれ? まさか里桜まで出て行くなんて云わないわよね? その時は結婚する時なんだから。直人に顔合わせられないわよ。母さん、直人の墓前で約束したんだから、私達の子供達は絶対幸せにするって。家族なんだから」
「母さん」
里桜が薫の背を撫でる。
「心配しなくても大丈夫だから、ね? 俺も鈴も幸せだよ? 母さんが育ててくれたんだからさ」
「里桜」
薫はホッとして、キッチンへ向かう。
「…兄ちゃん」
「鈴」
里桜はお兄ちゃんらしく、真面目に鈴の両手を握り締める。
「此処が俺達の『帰る場所』だからな? 何処に居ても俺達は家族だ。お前はこの先も俺の『弟』なんだから。引っ越しても、隼人さんに腹が立っても、いつでも帰って来い」
鈴は涙が溢れた。
「ほ~ら、泣くなよ」
「だって、兄ちゃん父ちゃんみたいんなんだもん、ありがとう…兄ちゃん、ありがとう」
里桜は苦笑して、鈴の頭を撫でていた。
「兄ちゃん、あの、相談があるんだけど」
里桜はちょっと待ってとその場に鈴を残して、薫に部屋へ行っていると告げると、鈴を連れて二階へ向かった。鈴は鈴音からの上条に会う条件がモデルをやるという事を話した。
立ち上がった隼人に晴臣は睨み上げる。
「あの子は薫さんの『宝』だぞ」
「それは里桜もですよ。鈴だけが『宝』じゃない。鈴を引き合いに出さないで下さい。後継の件ですが、申し訳ありませんが誰か親戚を当たって下さい。確か親戚の人で再婚した方が居ましたよね? 相手の女性に息子が居たかと」
「隼人!」
隼人はドアを開けて振り返る。
「明日からでもマンションを探します。鈴は連れて行きますので」
「…この、馬鹿者が!!」
晴臣が叱責する。仕方がない、鈴を手放すなんて考えられないのだから。その変わり鈴の将来は最後まで責任を取る。不動産屋を探し始めたのはそんな事がきっかけだった。
お揃いのマグカップを購入して、ダブルとシングルのベッドを購入した隼人は、後日配送の手続きをして小早川家に帰宅した。
「ただいま」
玄関で靴を脱いでいると、背後から薫がお帰りと出迎えた。
「丁度夕飯の支度が出来た処だから、二人共手を洗って来てね」
鈴は「は~い」と返事をして洗面所へ向かい、隼人さんは薫にマンション購入と、近々引っ越す話をしていた。
「そう、引っ越すのね。でも、…何で鈴も?」
鈴は玄関から近い洗面所で、二人の話を聞いている。胸が凄くドキドキする。
「前から考えていたんです。ダメですか?」
簡素な答えに薫が戸惑っている。それもその筈だ。これから新しい家族が増えるし、先日はあずさがやって来たばかりだ。
ーーーそうだすっかり忘れてたけど、あのお姉さん…。
「ダメって事は無いんだけど…」
「では、OKですね? 良かった。勉強は私が見ますから、心配しないで下さい」
「……」
隼人は、自室へ手にしていた書類の入った封筒を置きに向かう。
「母さん」
リビングから里桜が出て来て、洗面所の前で鈴を一瞥する。
「里桜…私嫌われてるのかしら、マンションって……まさか鈴を連れて出て行くだなんて」
「気にし過ぎだよお母さん。隼人さんだって大人だし、鈴は鈴でいつまでも子供じゃないんだから、親から離れて世界を見たいと思う年だよ」
「何よそれ? まさか里桜まで出て行くなんて云わないわよね? その時は結婚する時なんだから。直人に顔合わせられないわよ。母さん、直人の墓前で約束したんだから、私達の子供達は絶対幸せにするって。家族なんだから」
「母さん」
里桜が薫の背を撫でる。
「心配しなくても大丈夫だから、ね? 俺も鈴も幸せだよ? 母さんが育ててくれたんだからさ」
「里桜」
薫はホッとして、キッチンへ向かう。
「…兄ちゃん」
「鈴」
里桜はお兄ちゃんらしく、真面目に鈴の両手を握り締める。
「此処が俺達の『帰る場所』だからな? 何処に居ても俺達は家族だ。お前はこの先も俺の『弟』なんだから。引っ越しても、隼人さんに腹が立っても、いつでも帰って来い」
鈴は涙が溢れた。
「ほ~ら、泣くなよ」
「だって、兄ちゃん父ちゃんみたいんなんだもん、ありがとう…兄ちゃん、ありがとう」
里桜は苦笑して、鈴の頭を撫でていた。
「兄ちゃん、あの、相談があるんだけど」
里桜はちょっと待ってとその場に鈴を残して、薫に部屋へ行っていると告げると、鈴を連れて二階へ向かった。鈴は鈴音からの上条に会う条件がモデルをやるという事を話した。
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