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鬼畜オオカミと蜂蜜ハニー
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ーーーあの糞親父は俺と兄貴をサバイバルだと青木ケ原に放り込み、挙句に東尋坊の崖を上がれと崖登りさせやがった…。思い出しても恐ろしい。そうでなくても、宿泊先が寺だなんてさい先不安だ。
「予定は以上だから、この後は自由時間! あんまり遠くには行くなよ~あ、鈴ちゃんは迷子になるから特にね~」
「…っ」
鈴は真っ赤になって、笑う生徒達を睨んだ。
「もう、一言多い!」
ぷいと横を向けば、剛がうんうんと頷いている。怒った鈴は剛の脚を踏みつけて散策へ出掛けて行き、剛は慌てて追い掛ける。社務所へ行くと、巫女さんが二人何やら話しをしながら、掲示板に書き込みをしている。
「こんにちは」
鈴は挨拶をして、掲示板に書かれたものを見る。
「こんにちは」
巫女さんがニコニコと返事をする。
「あの、うちの学校…生徒会が来るの?」
「え? ああ。他校となんかあるみたいね」
掲示板には、鈴達の通う王蘭学園生徒会と、他校の名が記されていた。
ーーー兄ちゃん何も云ってなかったのに。
鈴は踵を返して、寺の周りを散策しに歩いた。蝉の鳴き声と、暑い日差しにうんざりしながら、行き交う参拝者を眺める。
「パパ抱っこ!」
小さな男の子が、父親に抱っこをせがむ。父親は仕方ないなと抱き上げ…。鈴はそれを眺め、込み上げて来た涙を散らすように瞬いた。そういえば小さい時里桜が直人にお膝抱っこされてて、鈴はそれが羨ましかった。階段を見付けて下り、大通りに出るとまた階段を見付けた。更に下りて行くと、水の音が聞こえて来る。
「……水の音?」
車の音で気付かなかったが、どうやら滝が在るようだ。
「り~ん」
後方からまた剛がやって来る。
「滝が在るみたいだよ?」
「お前途中から居なくなるなよな。うわ、マジ水の音!」
剛が鈴の手を掴んで走る。見えて来たのは豪快に流れ落ちる滝飛沫。その少し離れた場所で子供達が水遊びをしていた。
「すげー!! 龍神の滝だって」
はしゃぐ剛に鈴は笑う。マイナスイオンが、暑さで火照った肌に気持ちがよかった。水の中を覗けば小さな魚が泳いでいる。
「うわっ!」
剛が脚を滑らせて、尻餅を着いた。
「大丈夫!?」
剛は「痛~」と云いながら、濡れた尻をさすっている。
「濡れてて危ないよ。水から出よう」
鈴はずぶ濡れになった剛と、一度宿泊先に戻ると生徒達に訊かれ、事情を話せばゲラゲラと笑われた。
「楽しそうだね、どうしたの? 剛君」
ひょっこり顔を出した春彦が、ずぶ濡れの剛を見て片眉を上げた。
「滝を見付けたんだけど、剛が脚滑らせて」
「どれ、怪我しなかったか?」
春彦が剛の前に屈んで、脚の具合を見ようと触れた刹那、剛はビクッと腰を震わせて真っ赤になった。
「予定は以上だから、この後は自由時間! あんまり遠くには行くなよ~あ、鈴ちゃんは迷子になるから特にね~」
「…っ」
鈴は真っ赤になって、笑う生徒達を睨んだ。
「もう、一言多い!」
ぷいと横を向けば、剛がうんうんと頷いている。怒った鈴は剛の脚を踏みつけて散策へ出掛けて行き、剛は慌てて追い掛ける。社務所へ行くと、巫女さんが二人何やら話しをしながら、掲示板に書き込みをしている。
「こんにちは」
鈴は挨拶をして、掲示板に書かれたものを見る。
「こんにちは」
巫女さんがニコニコと返事をする。
「あの、うちの学校…生徒会が来るの?」
「え? ああ。他校となんかあるみたいね」
掲示板には、鈴達の通う王蘭学園生徒会と、他校の名が記されていた。
ーーー兄ちゃん何も云ってなかったのに。
鈴は踵を返して、寺の周りを散策しに歩いた。蝉の鳴き声と、暑い日差しにうんざりしながら、行き交う参拝者を眺める。
「パパ抱っこ!」
小さな男の子が、父親に抱っこをせがむ。父親は仕方ないなと抱き上げ…。鈴はそれを眺め、込み上げて来た涙を散らすように瞬いた。そういえば小さい時里桜が直人にお膝抱っこされてて、鈴はそれが羨ましかった。階段を見付けて下り、大通りに出るとまた階段を見付けた。更に下りて行くと、水の音が聞こえて来る。
「……水の音?」
車の音で気付かなかったが、どうやら滝が在るようだ。
「り~ん」
後方からまた剛がやって来る。
「滝が在るみたいだよ?」
「お前途中から居なくなるなよな。うわ、マジ水の音!」
剛が鈴の手を掴んで走る。見えて来たのは豪快に流れ落ちる滝飛沫。その少し離れた場所で子供達が水遊びをしていた。
「すげー!! 龍神の滝だって」
はしゃぐ剛に鈴は笑う。マイナスイオンが、暑さで火照った肌に気持ちがよかった。水の中を覗けば小さな魚が泳いでいる。
「うわっ!」
剛が脚を滑らせて、尻餅を着いた。
「大丈夫!?」
剛は「痛~」と云いながら、濡れた尻をさすっている。
「濡れてて危ないよ。水から出よう」
鈴はずぶ濡れになった剛と、一度宿泊先に戻ると生徒達に訊かれ、事情を話せばゲラゲラと笑われた。
「楽しそうだね、どうしたの? 剛君」
ひょっこり顔を出した春彦が、ずぶ濡れの剛を見て片眉を上げた。
「滝を見付けたんだけど、剛が脚滑らせて」
「どれ、怪我しなかったか?」
春彦が剛の前に屈んで、脚の具合を見ようと触れた刹那、剛はビクッと腰を震わせて真っ赤になった。
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