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鬼畜オオカミと蜂蜜ハニー

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「ああ、またね」
 鈴は隼人の手から逃れ、診察室から出て行く。鈴はカーテンの向こう側を見詰め胸に手を当てた。

「…は?」
 夕飯後、鈴は里桜の新しい部屋に来ていた。
 里桜の新しい部屋は、疾風が使っていた部屋で一階南側の日当たりの良い場所だ。
「昼間の男、診察室に来てたのか?」
 里桜は教科書を本棚に並べて、ダンボールを片付ける。
「うん…でね? なんか、変なんだ」
「変?」
 里桜が手を止める。鈴はベッドに腰を下ろして、枕を抱えて天井を見上げた。
「なんかね…前にも似た光景見たような気がしたんだけど…思い出せなくて」
「…疲れたんだよ鈴。今夜こっちで寝る?」
「良いの?」
 鈴はホッとして里桜に抱き付いた。鈴はこういうスキンシップが大好きで、よく里桜に抱き付く癖がある。
 ---安心する。
 鈴はひとりじゃないって思えるから。
「これから別々になっても平気にならなきゃな。鈴は慣れなきゃ駄目だぞ? 寝るのは今夜だけな?」
「うん…今日だけ」
 鈴は笑った。

 隼人はこほんと咳をひとつ吐き、鈴の部屋をノックして開ける。
「り―ん、夜は私のベッドへ………ん?」
 中途半端な片付け状態が、物悲しく隼人を出迎える。
「この展開はもしや?」
「残念だったな隼人君」
 疾風が面白そうに首を突っ込む。なにげにムカつく。
「俺は今無償に苛ついてるんですが?」
「…おお~怖、さあて俺は帰るかな」
 疾風が階段を下りて行くのを、隼人はその場で見送る。その背中に声を掛けた。
「泊まって行かないんですか?」
「泊まりたかったんだが、ウサギが一匹紛れてるんでね。んじゃ、お休み~鍵は掛けてくから」
 隼人は肩を竦めて鈴の部屋のドアを閉めた。

 鈴は背中のランドセルを揺らしながら、通い慣れた家のドアを開け、手にしていた算数のテストを広げる。
「褒めてくれるかな?」
 隼人が教えてくれた算数が、九十点を取れたので、学校から真っ直ぐ来たのだ。びっくりさせようと、そっと足音を忍ばせて隼人の部屋へ行く。
「?」
 鈴は少しだけ開いたドアの向こうで見たものは。
「あ…あっ」
 全裸の春彦を馬乗りにさせ、腰を掴んで突き上げる隼人の姿だった。
「ふ…くっ、激しっ! あ、あ、ああっ」
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