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天使は甘いキスが好き
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「伊吹? 何遣ってんだよお前」
「恵、伊吹を向こうへ連れてって。あなた達に怒られて、拗ねて伊吹がケーキを全部食べるって云うから、棚の上に隠したんだけど。この通りなのよ」
恵と鈴は棚の上を見上げ、伊吹を見る。
「この性格はどっち似だ?」
恵が呆れる。一時間もこうしてたのか。
「そりゃ兄弟の恵だろ?」
「え~鈴だろ?」
十和子が二人の会話に、眉間に皺を寄せた。
「太一よ、あの子も昔同じ事して、お爺ちゃんに怒られてたわっ」
鈴が笑い出した。恵は耳まで紅くなる。
「マジ!?」
「面白い、伯父さんそうだったの!?」
「俺がどうしたって?」
先に風呂を済ませた太一が、首にタオルを引っ掛けてやって来た。
「うわ~~~ん」
伊吹が完全に無視されたと思って、とうとう泣き出してしまった。
「なんなんだ?」
太一だけが解らんと首を傾げる。その後恵の分のケーキを伊吹にあげると、伊吹は機嫌が直ったらしい。伊吹は満足げに食べている。
「僕はひとりっ子だから、なんだか兄弟喧嘩って解んないや」
鈴が伊吹を見詰めながら云う。
「鈴の家の叔父さん達ラブラブなのにね?」
十和子が恵の頭を叩く。
「いてっ」
「それはプライバシーの物だから、黙りなさい」
「はーい。ごめんなさい」
鈴はクスクス笑うと、携帯のバイブで鞄から取り出す。
「僕そろそろ帰ります」
鈴が鞄に荷物を纏めて中にしまう。
「俺玄関先まで送るよ」
鈴が立ち上がったので、恵も立ち上がった。
「鈴、気を付けて帰りなさいね?」
「はい、お祖母ちゃん。伯父さん、ケーキご馳走様でした」
「ああ。気を付けてな」
「伊吹、またあしたね」
伊吹はベビーベッドの横で、双子に絵本を読んであげている。昔、恵が伊吹にしてあげた様に。
「うん。バイバイ」
鈴が伊吹へ手を振り玄関へ向かう。
「ありがとう鈴。また明日お願いね?」
「ああ」
鈴が玄関のドアを開け、恵は外までは連いて行こうと靴を履く。が、恵は外に立つ平片に驚いた。鈴も息を呑む。
「あ、わりぃ。此処まで来ちまった」
平片が笑う。鈴が米神を押さえた。
「え? え? 何?」
恵は二人を交互に見、ハッとする。
「もしかして?」
恵は玄関のドアを閉めて、鈴の手を握る。
「鈴っ想いが通じたんだね!」
恵の言葉に鈴が驚く。
「だって。俺、鈴をずっと見てきたんだもん。ずっと平片を想ってたんだって」
鈴は真っ赤になって平片を見、恵を見た。そして…。
ぱーん。
気付けば、鈴は恵の頬を叩いていたのだ。
「鈴っ!」
平片の声で我に返る。恵は叩かれた左頬を押さえ、双眸を見開いている。
「あっ!」
鈴は後退り、平片が立っている方向とは別の方へ駆け出した。
「鈴っ!?」
「平片待って!」
平片が立ち止まって振り返る。
「鈴を怒らないで? 俺が深く考えないで、鈴の想いが平片に通じたって、俺嬉しくて」
「解ってるよ恵。変わりに謝っとく。叩いてごめん」
恵は苦笑して、頬を撫でながら頷いた。
「大丈夫だから、行って」
平片は手を振って鈴を追い掛けた。
「鈴…大丈夫かな。ごめんね鈴」
恵は頬を擦った。
「恵、伊吹を向こうへ連れてって。あなた達に怒られて、拗ねて伊吹がケーキを全部食べるって云うから、棚の上に隠したんだけど。この通りなのよ」
恵と鈴は棚の上を見上げ、伊吹を見る。
「この性格はどっち似だ?」
恵が呆れる。一時間もこうしてたのか。
「そりゃ兄弟の恵だろ?」
「え~鈴だろ?」
十和子が二人の会話に、眉間に皺を寄せた。
「太一よ、あの子も昔同じ事して、お爺ちゃんに怒られてたわっ」
鈴が笑い出した。恵は耳まで紅くなる。
「マジ!?」
「面白い、伯父さんそうだったの!?」
「俺がどうしたって?」
先に風呂を済ませた太一が、首にタオルを引っ掛けてやって来た。
「うわ~~~ん」
伊吹が完全に無視されたと思って、とうとう泣き出してしまった。
「なんなんだ?」
太一だけが解らんと首を傾げる。その後恵の分のケーキを伊吹にあげると、伊吹は機嫌が直ったらしい。伊吹は満足げに食べている。
「僕はひとりっ子だから、なんだか兄弟喧嘩って解んないや」
鈴が伊吹を見詰めながら云う。
「鈴の家の叔父さん達ラブラブなのにね?」
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「いてっ」
「それはプライバシーの物だから、黙りなさい」
「はーい。ごめんなさい」
鈴はクスクス笑うと、携帯のバイブで鞄から取り出す。
「僕そろそろ帰ります」
鈴が鞄に荷物を纏めて中にしまう。
「俺玄関先まで送るよ」
鈴が立ち上がったので、恵も立ち上がった。
「鈴、気を付けて帰りなさいね?」
「はい、お祖母ちゃん。伯父さん、ケーキご馳走様でした」
「ああ。気を付けてな」
「伊吹、またあしたね」
伊吹はベビーベッドの横で、双子に絵本を読んであげている。昔、恵が伊吹にしてあげた様に。
「うん。バイバイ」
鈴が伊吹へ手を振り玄関へ向かう。
「ありがとう鈴。また明日お願いね?」
「ああ」
鈴が玄関のドアを開け、恵は外までは連いて行こうと靴を履く。が、恵は外に立つ平片に驚いた。鈴も息を呑む。
「あ、わりぃ。此処まで来ちまった」
平片が笑う。鈴が米神を押さえた。
「え? え? 何?」
恵は二人を交互に見、ハッとする。
「もしかして?」
恵は玄関のドアを閉めて、鈴の手を握る。
「鈴っ想いが通じたんだね!」
恵の言葉に鈴が驚く。
「だって。俺、鈴をずっと見てきたんだもん。ずっと平片を想ってたんだって」
鈴は真っ赤になって平片を見、恵を見た。そして…。
ぱーん。
気付けば、鈴は恵の頬を叩いていたのだ。
「鈴っ!」
平片の声で我に返る。恵は叩かれた左頬を押さえ、双眸を見開いている。
「あっ!」
鈴は後退り、平片が立っている方向とは別の方へ駆け出した。
「鈴っ!?」
「平片待って!」
平片が立ち止まって振り返る。
「鈴を怒らないで? 俺が深く考えないで、鈴の想いが平片に通じたって、俺嬉しくて」
「解ってるよ恵。変わりに謝っとく。叩いてごめん」
恵は苦笑して、頬を撫でながら頷いた。
「大丈夫だから、行って」
平片は手を振って鈴を追い掛けた。
「鈴…大丈夫かな。ごめんね鈴」
恵は頬を擦った。
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