59 / 98
天使は甘いキスが好き
しおりを挟む
「恵、悪いが俺は買い物をしてくるから、ひとりで勉強しててくれないか?」
「解った。気を付けてね? 腹ペコ熊が出るかもよ?」
龍之介は恵の涙の跡が残った頬にキスをする。
「俊彦も出掛けてるし…大丈夫だろう」
「? 俊彦さんなら多分平気だよ。心配し過ぎ。だって、まだ…美加さんの事好きなんだろうし…寄りが戻ると良いね? あの二人」
何も知らない恵は微笑んで、行ってらっしゃいと手を振った。龍之介は車のエンジンキーを回して買い物に出掛ける。恵は椅子に座ってテキストを開くと、そういえばと吹き抜けの二階を見上げた。
「二階の客間の他に、書斎が在ったよな? 龍之介さんの勉強に使った辞典とかあるかも」
恵は立ち上がって、階段を上がり、書斎へ向かった。
「良かった。鍵が開いてる。…凄い」
壁一面に作られた書棚には、本がぎっしりと入っている。
恵はその中の一冊を手に取った。赤ペンで勉強した跡がある。
「龍之介さんの字だ」
「恵君」
「っ!」
これを借りようと、恵は踵を返し、びくりとした。俊彦が壁に凭れて、腕を組んでいる。恵は思わず後退った。恐怖を感じたのだ。
「忘れ物をしてね」
「…忘れ物?」
「恵君だよ」
この人は何を云ってるのだろうと、恵は緊張した。警告音が頭の中で響く。
「食料足りなくて出掛けたろ? あれ、俺が残飯処理機で処分したんだ」
恵は双眸を見開いた。そんな事をする理由が解らない。
「俺はあいつの持ってる者が欲しいんでね。昔からさぁ、周りから比べられていけ好かなかったんだよ。龍之介には」
恵は逃げようとしたが、直ぐに腕を掴まれて床に引き倒された。
「痛っ!」
「あぁ。ごめんよ? 大人しくしてたら、痛い事しないからさ」
恵は床に頭を打ったらしい。クラクラとしながらも、俊彦の腕から逃げようと暴れる。
「大人しくしろっ!」
パンと頬を叩かれ、恵は双眸を見開いた。
シャツのボタンを引きちぎられ、コロコロと部屋の隅に転がって行くのを、恵は信じられない思いで、呆然とした。
「そうそう。大人しくしてなよね? 龍之介がこんな所を見たら、なんて思うかな?」
恵は肩をびくりと震わせた。
「あの時もそうだったよ? 美加がベッドの中で俺に抱かれてたのを見て、翌日には別れたんだ。恵君はそんなの嫌だろ?」
ーーー俺、龍之介さんに嫌われる?
こんな所を見られたら。きっと恵が違うと云っても信じて貰えるか解らない。恵は涙を零して、米神を濡らした。
「へぇ、腫れてんじゃん。それに身体中キスマークだらけかよ? 龍之介は激しいんだね」
俊彦の手が恵の身体を撫で回す。
ーーー気持ちが悪い。嫌だ。助けて。たすけて。 タスケテ……。
身体の中に突然異物を感じて、恵は背を捩らせた。乾いた秘孔に、無理やり俊彦が陰茎を押し込んだのだ。身を引き裂かれる痛みに恵は悲鳴をあげた。
「痛いっいやだっ嫌っ! 誰かっ! 助けて! 龍之介さん!! いやーっ」
恵の腰骨を、俊彦が穿つ度にパンパンと音が鳴る。血で滑りが良くなった行為に、俊彦は官能にのめり込んだ。
「すげぇ、なんて身体だお前、女よか好いじゃないか」
「は、いやぁっ!」
恵は感じたくないと泣いた。そして、熱い飛沫が恵の身体の奥深くに放たれて、恵は自分が汚れたのだと知った。
ひんやりとした書斎の床の上。シャツ一枚になっていた恵は、激痛に耐え切れず気を失っていた。
「男は初めてだが、良い思いさせて貰ったよ」
俊彦は鼻歌を歌う。
「…」
恵はぶるっと寒さに眼が覚めると、腰の激痛に呻いた。
「恵君、解ってるよね? 龍之介に知られたら、どうなるか」
恵は龍之介の名に身体を震わせて、床の上にポタリと涙を零す。
「…どうしてこんな事したの? そんなに龍之介さんが嫌い?」
恵は俊彦に訊きながら、窓の向こうで再び降り出した雪を見詰めた。
「あぁ、嫌いだね。それよりさ、恵君の身体凄く良かったよ? またやらせてよ」
残酷な言葉。
ーーーあぁ。俺、汚れちゃったんだ。
恵は腰の痛みに耐えて、よろよろと窓辺に歩み寄る。
「解った。気を付けてね? 腹ペコ熊が出るかもよ?」
龍之介は恵の涙の跡が残った頬にキスをする。
「俊彦も出掛けてるし…大丈夫だろう」
「? 俊彦さんなら多分平気だよ。心配し過ぎ。だって、まだ…美加さんの事好きなんだろうし…寄りが戻ると良いね? あの二人」
何も知らない恵は微笑んで、行ってらっしゃいと手を振った。龍之介は車のエンジンキーを回して買い物に出掛ける。恵は椅子に座ってテキストを開くと、そういえばと吹き抜けの二階を見上げた。
「二階の客間の他に、書斎が在ったよな? 龍之介さんの勉強に使った辞典とかあるかも」
恵は立ち上がって、階段を上がり、書斎へ向かった。
「良かった。鍵が開いてる。…凄い」
壁一面に作られた書棚には、本がぎっしりと入っている。
恵はその中の一冊を手に取った。赤ペンで勉強した跡がある。
「龍之介さんの字だ」
「恵君」
「っ!」
これを借りようと、恵は踵を返し、びくりとした。俊彦が壁に凭れて、腕を組んでいる。恵は思わず後退った。恐怖を感じたのだ。
「忘れ物をしてね」
「…忘れ物?」
「恵君だよ」
この人は何を云ってるのだろうと、恵は緊張した。警告音が頭の中で響く。
「食料足りなくて出掛けたろ? あれ、俺が残飯処理機で処分したんだ」
恵は双眸を見開いた。そんな事をする理由が解らない。
「俺はあいつの持ってる者が欲しいんでね。昔からさぁ、周りから比べられていけ好かなかったんだよ。龍之介には」
恵は逃げようとしたが、直ぐに腕を掴まれて床に引き倒された。
「痛っ!」
「あぁ。ごめんよ? 大人しくしてたら、痛い事しないからさ」
恵は床に頭を打ったらしい。クラクラとしながらも、俊彦の腕から逃げようと暴れる。
「大人しくしろっ!」
パンと頬を叩かれ、恵は双眸を見開いた。
シャツのボタンを引きちぎられ、コロコロと部屋の隅に転がって行くのを、恵は信じられない思いで、呆然とした。
「そうそう。大人しくしてなよね? 龍之介がこんな所を見たら、なんて思うかな?」
恵は肩をびくりと震わせた。
「あの時もそうだったよ? 美加がベッドの中で俺に抱かれてたのを見て、翌日には別れたんだ。恵君はそんなの嫌だろ?」
ーーー俺、龍之介さんに嫌われる?
こんな所を見られたら。きっと恵が違うと云っても信じて貰えるか解らない。恵は涙を零して、米神を濡らした。
「へぇ、腫れてんじゃん。それに身体中キスマークだらけかよ? 龍之介は激しいんだね」
俊彦の手が恵の身体を撫で回す。
ーーー気持ちが悪い。嫌だ。助けて。たすけて。 タスケテ……。
身体の中に突然異物を感じて、恵は背を捩らせた。乾いた秘孔に、無理やり俊彦が陰茎を押し込んだのだ。身を引き裂かれる痛みに恵は悲鳴をあげた。
「痛いっいやだっ嫌っ! 誰かっ! 助けて! 龍之介さん!! いやーっ」
恵の腰骨を、俊彦が穿つ度にパンパンと音が鳴る。血で滑りが良くなった行為に、俊彦は官能にのめり込んだ。
「すげぇ、なんて身体だお前、女よか好いじゃないか」
「は、いやぁっ!」
恵は感じたくないと泣いた。そして、熱い飛沫が恵の身体の奥深くに放たれて、恵は自分が汚れたのだと知った。
ひんやりとした書斎の床の上。シャツ一枚になっていた恵は、激痛に耐え切れず気を失っていた。
「男は初めてだが、良い思いさせて貰ったよ」
俊彦は鼻歌を歌う。
「…」
恵はぶるっと寒さに眼が覚めると、腰の激痛に呻いた。
「恵君、解ってるよね? 龍之介に知られたら、どうなるか」
恵は龍之介の名に身体を震わせて、床の上にポタリと涙を零す。
「…どうしてこんな事したの? そんなに龍之介さんが嫌い?」
恵は俊彦に訊きながら、窓の向こうで再び降り出した雪を見詰めた。
「あぁ、嫌いだね。それよりさ、恵君の身体凄く良かったよ? またやらせてよ」
残酷な言葉。
ーーーあぁ。俺、汚れちゃったんだ。
恵は腰の痛みに耐えて、よろよろと窓辺に歩み寄る。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。
キミと2回目の恋をしよう
なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。
彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。
彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。
「どこかに旅行だったの?」
傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。
彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。
彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが…
彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?
食事届いたけど配達員のほうを食べました
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか?
そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。
【完結】遍く、歪んだ花たちに。
古都まとい
BL
職場の部下 和泉周(いずみしゅう)は、はっきり言って根暗でオタクっぽい。目にかかる長い前髪に、覇気のない視線を隠す黒縁眼鏡。仕事ぶりは可もなく不可もなく。そう、凡人の中の凡人である。
和泉の直属の上司である村谷(むらや)はある日、ひょんなことから繁華街のホストクラブへと連れて行かれてしまう。そこで出会ったNo.1ホスト天音(あまね)には、どこか和泉の面影があって――。
「先輩、僕のこと何も知っちゃいないくせに」
No.1ホスト部下×堅物上司の現代BL。
壁穴奴隷No.19 麻袋の男
猫丸
BL
壁穴奴隷シリーズ・第二弾、壁穴奴隷No.19の男の話。
麻袋で顔を隠して働いていた壁穴奴隷19番、レオが誘拐されてしまった。彼の正体は、実は新王国の第二王子。変態的な性癖を持つ王子を連れ去った犯人の目的は?
シンプルにドS(攻)✕ドM(受※ちょっとビッチ気味)の組合せ。
前編・後編+後日談の全3話
SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。
※壁穴奴隷シリーズのNo.18で使えなかった特殊性癖を含む内容です。地雷のある方はキーワードを確認してからお読みください。
※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
九年セフレ
三雲久遠
BL
在宅でウェブデザインの仕事をしているゲイの緒方は、大学のサークル仲間だった新堂と、もう九年セフレの関係を続けていた。
元々ノンケの新堂。男同士で、いつかは必ず終わりがくる。
分かっているから、別れの言葉は言わないでほしい。
また来ると、その一言を最後にしてくれたらいい。
そしてついに、新堂が結婚すると言い出す。
(ムーンライトノベルズにて完結済み。
こちらで再掲載に当たり改稿しております。
13話から途中の展開を変えています。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる