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天使は甘いキスが好き
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「まったく。美加には会えなくて俺には会えるのかよ」
嫌味たっぷりに云ったつもりだが、俊彦には通用しない。
「暖炉で暖まらせろよ。この荷物冷蔵庫な」
勝手に土産を押し付けて、俊彦はジャケットを脱ぎ傍に在った椅子に掛ける。龍之介は溜息を吐いて、キッチンへ向かった。俊彦は少しだけ開いていた主寝室のドアに気付き、女でも連れ込んだのかと、除きに入る。
「お~い、お前も隅に置けないなぁ。何処の女連れ込んだんだよ?」
俊彦がキッチンの方へ声を掛ける。
「ちょ~っと失礼しますよ?」
その時。寝返りを打った恵は、龍之介がせっかく掛けてくれた上掛けを、肌蹴けさせた。裸の恵は寝言で何やら口にする。
「え? まさか男の子!?」
俊彦が驚いて、中へ入る。恵の白い裸身は、所狭しとキスマークが付けられていた。呼吸をする度に、ピンク色の胸が上下する。脚の付け根は跡がこれでもかという位に、紅い跡が残る。
「…女より色っぽいな」
「おい! 何をしている!?」
龍之介は、キッチンで土産を冷蔵庫にしまい、リビングへ向かえば俊彦の姿が見えないので慌てた。案の定、主寝室のドアが全開だ。俊彦は肩を竦めてニヤ付く。
「趣旨替えしたのか? どう見ても小学生だ」
「それを恵に云うなよ怒り出す。来年高校生だ」
「へぇ、恵君っていうんだ。可愛いな…っておい。どっちにしても犯罪者じゃんか。未成年相手に」
「とにかく此処から出ろ!」
龍之介は恵に歩み寄り、恵の上掛けを直そうとした。
「う…ん」
恵は龍之介のコロンの香りに眼が覚めると、首を傾げた。
「あれぇ? 伊吹は?」
「寝ぼけているのか? 伊吹君は今頃自宅でクリスマスパーティだ」
恵は眼をパチクリさせて、龍之介の背後の見知らぬ男性を見た刹那、正気に戻った。
「え? え?」
「やあ。こんばんわ。可愛い恵君。魅力的な肌を見せてくれてありがとう。眼の保養になったよ」
恵はなんの事だと、自分の姿を見て全身真っ赤になった。恵は口をプルプル震わせて、龍之介に抱き付く。龍之介は恵に上掛けを巻きつけると、横抱きにしてバスルームへ運んだ。
「二人っきりって云った…」
恵は唇を尖らせて、涙を浮かべる。何せ全身キスマークだらけなのだ。
「それにあんなに、アザ付けちゃ嫌だって云ったのに…」
「キスマークは、俺のだって証拠を付けたんだ。後、あの男は俺の爺さんの妹の孫。俺もあいつが此処へ来るとは計算外だ」
恵はタイルの上に下ろされて、龍之介が上掛けを畳む。
「新婚生活みたいで嬉しかったのにぃっ」
ぼそりと云った言葉が、龍之介の耳に届く。
「俺もだよ。邪魔が入ったな」
唇を重ねて恵は真っ赤になる。
「のぼせないように入っておいで。本当は二人で入りたかったが…仕方ない。着替えは持ってくるから。俺はパーティの料理の支度をするよ」
「あっ俺も何か手伝いたい」
「それはあの邪魔者に押し付ける。夜は勉強があるからな」
家庭教師の顔で云う龍之介に、恵は溜息を吐く。
「今夜ぐらい夜更かししたかった」
龍之介は微笑んで恵の頬にキスをした。龍之介が出て行くと、恵は浴槽いっぱいのラベンダー色の湯に入る。強張った身体がゆっくりと解れていく。
「ん~。龍之介さんの遠縁の人だったんだぁ。そういえば背格好が似てたな。お祖父さん似って事? う~ん、どっちにしても二人きりの時間…楽しみにしていたのになぁ。ちぇ」
恵は龍之介との時間を大事にしたい。出窓になったガラス越しには、雪が積もっていた。
ホカホカになって、恵がリビングにやって来ると、豪華な料理が三人分揃っていた。高そうな牛ステーキ、五合サイズのショートケーキ。生野菜の上にワカメとプチトマト。グラスが三人分。ケーキは此処へ来る途中二人で買った物だ。
「やあ。さっきは失礼。俺崎山俊彦っていうの。宜しく」
テーブルセットを終えた俊彦が、恵に気付いて挨拶する。恵は耳まで紅くなって、龍之介の腕に縋った。
「俺、細川恵です」
「そんなに怯えなくても取って食いやしないって」
俊彦の苦笑に、恵は眉根を寄せる。
「恵に構うな。恵、席に着こう。お腹空いただろう?」
「うん」
云った途端にお腹が鳴る。龍之介と俊彦が笑う。
「恵はリンゴジュースな」
龍之介は俊彦の土産のワインとシャンパンを開ける。
嫌味たっぷりに云ったつもりだが、俊彦には通用しない。
「暖炉で暖まらせろよ。この荷物冷蔵庫な」
勝手に土産を押し付けて、俊彦はジャケットを脱ぎ傍に在った椅子に掛ける。龍之介は溜息を吐いて、キッチンへ向かった。俊彦は少しだけ開いていた主寝室のドアに気付き、女でも連れ込んだのかと、除きに入る。
「お~い、お前も隅に置けないなぁ。何処の女連れ込んだんだよ?」
俊彦がキッチンの方へ声を掛ける。
「ちょ~っと失礼しますよ?」
その時。寝返りを打った恵は、龍之介がせっかく掛けてくれた上掛けを、肌蹴けさせた。裸の恵は寝言で何やら口にする。
「え? まさか男の子!?」
俊彦が驚いて、中へ入る。恵の白い裸身は、所狭しとキスマークが付けられていた。呼吸をする度に、ピンク色の胸が上下する。脚の付け根は跡がこれでもかという位に、紅い跡が残る。
「…女より色っぽいな」
「おい! 何をしている!?」
龍之介は、キッチンで土産を冷蔵庫にしまい、リビングへ向かえば俊彦の姿が見えないので慌てた。案の定、主寝室のドアが全開だ。俊彦は肩を竦めてニヤ付く。
「趣旨替えしたのか? どう見ても小学生だ」
「それを恵に云うなよ怒り出す。来年高校生だ」
「へぇ、恵君っていうんだ。可愛いな…っておい。どっちにしても犯罪者じゃんか。未成年相手に」
「とにかく此処から出ろ!」
龍之介は恵に歩み寄り、恵の上掛けを直そうとした。
「う…ん」
恵は龍之介のコロンの香りに眼が覚めると、首を傾げた。
「あれぇ? 伊吹は?」
「寝ぼけているのか? 伊吹君は今頃自宅でクリスマスパーティだ」
恵は眼をパチクリさせて、龍之介の背後の見知らぬ男性を見た刹那、正気に戻った。
「え? え?」
「やあ。こんばんわ。可愛い恵君。魅力的な肌を見せてくれてありがとう。眼の保養になったよ」
恵はなんの事だと、自分の姿を見て全身真っ赤になった。恵は口をプルプル震わせて、龍之介に抱き付く。龍之介は恵に上掛けを巻きつけると、横抱きにしてバスルームへ運んだ。
「二人っきりって云った…」
恵は唇を尖らせて、涙を浮かべる。何せ全身キスマークだらけなのだ。
「それにあんなに、アザ付けちゃ嫌だって云ったのに…」
「キスマークは、俺のだって証拠を付けたんだ。後、あの男は俺の爺さんの妹の孫。俺もあいつが此処へ来るとは計算外だ」
恵はタイルの上に下ろされて、龍之介が上掛けを畳む。
「新婚生活みたいで嬉しかったのにぃっ」
ぼそりと云った言葉が、龍之介の耳に届く。
「俺もだよ。邪魔が入ったな」
唇を重ねて恵は真っ赤になる。
「のぼせないように入っておいで。本当は二人で入りたかったが…仕方ない。着替えは持ってくるから。俺はパーティの料理の支度をするよ」
「あっ俺も何か手伝いたい」
「それはあの邪魔者に押し付ける。夜は勉強があるからな」
家庭教師の顔で云う龍之介に、恵は溜息を吐く。
「今夜ぐらい夜更かししたかった」
龍之介は微笑んで恵の頬にキスをした。龍之介が出て行くと、恵は浴槽いっぱいのラベンダー色の湯に入る。強張った身体がゆっくりと解れていく。
「ん~。龍之介さんの遠縁の人だったんだぁ。そういえば背格好が似てたな。お祖父さん似って事? う~ん、どっちにしても二人きりの時間…楽しみにしていたのになぁ。ちぇ」
恵は龍之介との時間を大事にしたい。出窓になったガラス越しには、雪が積もっていた。
ホカホカになって、恵がリビングにやって来ると、豪華な料理が三人分揃っていた。高そうな牛ステーキ、五合サイズのショートケーキ。生野菜の上にワカメとプチトマト。グラスが三人分。ケーキは此処へ来る途中二人で買った物だ。
「やあ。さっきは失礼。俺崎山俊彦っていうの。宜しく」
テーブルセットを終えた俊彦が、恵に気付いて挨拶する。恵は耳まで紅くなって、龍之介の腕に縋った。
「俺、細川恵です」
「そんなに怯えなくても取って食いやしないって」
俊彦の苦笑に、恵は眉根を寄せる。
「恵に構うな。恵、席に着こう。お腹空いただろう?」
「うん」
云った途端にお腹が鳴る。龍之介と俊彦が笑う。
「恵はリンゴジュースな」
龍之介は俊彦の土産のワインとシャンパンを開ける。
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