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6.コオの悩み
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それから数日後、二人はクスコスの群生地をようやく見つけた。かなりの数が生えていたがコオはまだ採取しなかったため、ワスカはクスコスのためにココット村に来て、それが目の前にあるのに何故採取しないのか理解ができない。
「まだ他にも見つけたいのがあるんだ。鈍痛に効くヤハに、火傷に効くユキ。ダリアルは頭痛に抜群。一か月くらい滞在するつもりだから、クスコスを採取するのはそのときでいい。こいつだって生きてるんだしな」
しゃがんでクスコスの葉を指で突きながらコオが言っているのをワスカは立ったまま見下す。
「コオは何故薬草師に?」
「祖父の代から薬草師なんだ。みんなが喜んでくれるからいい点を取ろうって頑張ってたら二級薬草師の資格が取れたって訳」
「まだ若いのにすごい」
「ありがと。でも、一級を目指してるうちはいいけど、その後自分は何をしたいのか分からないんだ」
父の後は兄が継ぐ。それならば自分はどうするのか。独立してまで一級薬草師を続ける熱意がいまのコオにはなかったのだ。
「それでも、コオはすごいよ」
ワスカの言葉にコオはなんだかくすぐったくなる。口うるさくて真面目なワスカに褒められたことなどなかったからだ。
「はは。だからさ、この先もガイド頼むよ」
照れ臭さを払拭しようとコオは頭を掻きながら、ワスカに握手を求めた。するとワスカはその手を取ってコオの体を引っ張り上げる。
「無茶しないなら付き合う」
「……だから、俺は雇い主だっていうのに」
ワスカの憎たらしい言葉にコオは苦笑いした。
そんな日が続いたある夜。村人たちが寝静まった頃に、コオは部屋で小さく声を漏らしていた。
「ん……っ、く……」
ベッドの上で自慰をしているコオは、ものたらないと思いながらせっせと高みを目指す。あのツルに襲われた翌日の夜から毎晩それを続けている。
もともとコオは性欲があるほうだ。しかし、毎晩自慰をするほどではない。なのに、何故か毎晩、体が疼いて仕方ないのだ。
(もっと気持ちよくなりたい)
毎晩、達するけれど満たされない。あのときツルがコオの体に与えた快楽を思い出すと、たまらなくなる。
(またあの時のツルが欲しい)
ぼんやりする頭でそんなことを考える。もう一度、あと一回だけでいいから。
「んんッ!」
ビクッと体を弓形にしてそのままベッドに突っ伏した。荒い息を整えながらコオはもう我慢ができないと呟いた。ツルのある場所は分かっているんだ。ワスカに止められている、あの禁足地にもう一度行けば……。
「まだ他にも見つけたいのがあるんだ。鈍痛に効くヤハに、火傷に効くユキ。ダリアルは頭痛に抜群。一か月くらい滞在するつもりだから、クスコスを採取するのはそのときでいい。こいつだって生きてるんだしな」
しゃがんでクスコスの葉を指で突きながらコオが言っているのをワスカは立ったまま見下す。
「コオは何故薬草師に?」
「祖父の代から薬草師なんだ。みんなが喜んでくれるからいい点を取ろうって頑張ってたら二級薬草師の資格が取れたって訳」
「まだ若いのにすごい」
「ありがと。でも、一級を目指してるうちはいいけど、その後自分は何をしたいのか分からないんだ」
父の後は兄が継ぐ。それならば自分はどうするのか。独立してまで一級薬草師を続ける熱意がいまのコオにはなかったのだ。
「それでも、コオはすごいよ」
ワスカの言葉にコオはなんだかくすぐったくなる。口うるさくて真面目なワスカに褒められたことなどなかったからだ。
「はは。だからさ、この先もガイド頼むよ」
照れ臭さを払拭しようとコオは頭を掻きながら、ワスカに握手を求めた。するとワスカはその手を取ってコオの体を引っ張り上げる。
「無茶しないなら付き合う」
「……だから、俺は雇い主だっていうのに」
ワスカの憎たらしい言葉にコオは苦笑いした。
そんな日が続いたある夜。村人たちが寝静まった頃に、コオは部屋で小さく声を漏らしていた。
「ん……っ、く……」
ベッドの上で自慰をしているコオは、ものたらないと思いながらせっせと高みを目指す。あのツルに襲われた翌日の夜から毎晩それを続けている。
もともとコオは性欲があるほうだ。しかし、毎晩自慰をするほどではない。なのに、何故か毎晩、体が疼いて仕方ないのだ。
(もっと気持ちよくなりたい)
毎晩、達するけれど満たされない。あのときツルがコオの体に与えた快楽を思い出すと、たまらなくなる。
(またあの時のツルが欲しい)
ぼんやりする頭でそんなことを考える。もう一度、あと一回だけでいいから。
「んんッ!」
ビクッと体を弓形にしてそのままベッドに突っ伏した。荒い息を整えながらコオはもう我慢ができないと呟いた。ツルのある場所は分かっているんだ。ワスカに止められている、あの禁足地にもう一度行けば……。
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