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第九話 心の闇
9-2.真逆のタイプ
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「そういう性癖?」
うわあと眉をしかめる和美の隣で今日子も深く息をつく。
「世の中いろいろな人がいるものです」
「付きまとわれるのが嫌なら須藤ちゃんも小暮っちみたいに、勝負だーってやればいいじゃない」
「あ、それは別にいいんです。拓己クンにその気がないのははっきりしてるし、少し我慢してれば次のターゲットに行くでしょうから」
また話の流れがわからなくなってきて和美と今日子は顔を見合わす。
相談があるとやって来たわりには彼女の悩みの核心が一向に見えてこない。
「わたしが心配なのは拓己クンのことです」
肩をすぼめて恵は先輩たちに訴える。
「二学期はいってから、ものすごく苛々してて、その、拓己クンて二面性あるじゃないですか」
「そうだねえ」
「それを隠しもしないで、ブラックモード全開といいますか」
「ほほう、それは見てみたい」
「拓己クンらしくないです。彼って計算計算の人じゃないですか」
「そうですねえ」
「あんな素をさらけ出して、なんの得にもならないのに。それだけ苛々してるんですよね、その、池崎くんに」
さっきから話に入ってこないで隣のテーブルで調べ物をしている中川美登利を気遣いながら恵は言う。
「真逆のタイプですからね、森村くんが一方的に敵愾心むきだしというのも、それぞれの性格を考えればわかりやすいです」
「拓己クンには心の闇があるんです」
深刻そうに恵がつぶやいたので、和美は吹き出しそうになって慌ててそれを堪えた。
「ココロのやみね」
「それが吹き出しちゃってるんです。私はどうしてあげればいいのですかね?」
やっと答えを出すべきポイントがわかって和美と今日子は目配せしあう。
先を譲ってもらってまずは和美が話し始めた。
「がっかりだよ。あたしは須藤ちゃんはもっとカシコイ人だと思ってたのに」
「え……」
「まずはさ、拓己っちが苛々してるってのは当然じゃない、受験生だもん。夏期講習で自分の問題点が見えてきて、対処しなきゃならないのに学校が始まって、時間配分がうまくできなくて戸惑う時期だよ。みんなそうだよ、拓己っちだけじゃないよ。そこへ遅れてスタートしたはずの池崎くんが猛追してきたわけでしょ? そりゃムカつくよ。その上わけわかんない女子にうるさくされて、怒りの矛先がそのふたりに向いちゃってる訳でしょ」
うわあと眉をしかめる和美の隣で今日子も深く息をつく。
「世の中いろいろな人がいるものです」
「付きまとわれるのが嫌なら須藤ちゃんも小暮っちみたいに、勝負だーってやればいいじゃない」
「あ、それは別にいいんです。拓己クンにその気がないのははっきりしてるし、少し我慢してれば次のターゲットに行くでしょうから」
また話の流れがわからなくなってきて和美と今日子は顔を見合わす。
相談があるとやって来たわりには彼女の悩みの核心が一向に見えてこない。
「わたしが心配なのは拓己クンのことです」
肩をすぼめて恵は先輩たちに訴える。
「二学期はいってから、ものすごく苛々してて、その、拓己クンて二面性あるじゃないですか」
「そうだねえ」
「それを隠しもしないで、ブラックモード全開といいますか」
「ほほう、それは見てみたい」
「拓己クンらしくないです。彼って計算計算の人じゃないですか」
「そうですねえ」
「あんな素をさらけ出して、なんの得にもならないのに。それだけ苛々してるんですよね、その、池崎くんに」
さっきから話に入ってこないで隣のテーブルで調べ物をしている中川美登利を気遣いながら恵は言う。
「真逆のタイプですからね、森村くんが一方的に敵愾心むきだしというのも、それぞれの性格を考えればわかりやすいです」
「拓己クンには心の闇があるんです」
深刻そうに恵がつぶやいたので、和美は吹き出しそうになって慌ててそれを堪えた。
「ココロのやみね」
「それが吹き出しちゃってるんです。私はどうしてあげればいいのですかね?」
やっと答えを出すべきポイントがわかって和美と今日子は目配せしあう。
先を譲ってもらってまずは和美が話し始めた。
「がっかりだよ。あたしは須藤ちゃんはもっとカシコイ人だと思ってたのに」
「え……」
「まずはさ、拓己っちが苛々してるってのは当然じゃない、受験生だもん。夏期講習で自分の問題点が見えてきて、対処しなきゃならないのに学校が始まって、時間配分がうまくできなくて戸惑う時期だよ。みんなそうだよ、拓己っちだけじゃないよ。そこへ遅れてスタートしたはずの池崎くんが猛追してきたわけでしょ? そりゃムカつくよ。その上わけわかんない女子にうるさくされて、怒りの矛先がそのふたりに向いちゃってる訳でしょ」
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