41 / 110
第10話 見せたがる男たち
10-1.トラウマ
しおりを挟む
うちらが卒業した高校は女子高だった。中にいる本人たちは思いもよらないことだが、女子高という響きだけで男性たちは心をざわめかせるらしい。
内部では、思春期の少女たちがスカートめくりし合っていたり、ブラを見せ合ったり、夏にはスカートの裾をたくし上げて授業を受けたり、冬にはその下にジャージ着用でのし歩いている姿なんてのは、想像しないんだろうな、きっと。
幻想を拗らせ頭のねじを緩めすぎてしまった方々が、学校の周辺には数多く出没していた。
コートの前をはだけてぶらぶらさせたお兄さんとか、海パンいっちょのおじさんとか、クルマの中から「これ、これ」と振って見せるサラリーマンとか。
いわゆる露出狂の方々だ。
三年間に一体何本目撃させられたか知れたものではない。あの人たちは、少女たちが「きゃー」と頬を赤らめて走り去る姿を予想していたのだろうか。
馬鹿を言ったらいけない。大抵の生徒たちは慣れたもので、しらっと冷たい目で何事もなかったように通りすぎる。中には、じとーっと観察したうえで「ふん」と鼻を鳴らす強者までいた。
にもかかわらず犯行を繰り返すということは、それが快感だったのだろうか? 変態の考えることはワカラナイ。
そうは言っても、やはり中にはショックで心に傷を負ってしまった少女もいた訳で。
許すまじ、変態。大したモノでもないくせに、粗末なもん見せて喜んでんじゃねえよ馬鹿野郎。
当時のことを思い出し、私は軽く嘆息する。
「気持ちはわかるよ」
「先輩……」
待ち合わせた喫茶店で、高校の後輩の樹里が涙ぐむ。
悩みを聞いてほしいと連絡をもらい久々に会った樹里は相変わらず可憐で可愛らしかった。
その悩みも可愛らしいといえば可愛らしいものだ。
「あれがトラウマなんです、わたし。どうしても、気持ち悪いんです」
「でも一度はしたんでしょう?」
「真っ暗でわけもわからなくて、夢中だったし……」
初体験はみんなそうだよなあ。好きな人と結ばれたことが嬉しくて、しあわせで、翌日まで熱に浮かされたようにぼーっとなってしまう。
これが二度目となってくると、知ってしまったことが怖くて足枷になってしまう。二回目のエッチが難しいと言われる所以だ。
内部では、思春期の少女たちがスカートめくりし合っていたり、ブラを見せ合ったり、夏にはスカートの裾をたくし上げて授業を受けたり、冬にはその下にジャージ着用でのし歩いている姿なんてのは、想像しないんだろうな、きっと。
幻想を拗らせ頭のねじを緩めすぎてしまった方々が、学校の周辺には数多く出没していた。
コートの前をはだけてぶらぶらさせたお兄さんとか、海パンいっちょのおじさんとか、クルマの中から「これ、これ」と振って見せるサラリーマンとか。
いわゆる露出狂の方々だ。
三年間に一体何本目撃させられたか知れたものではない。あの人たちは、少女たちが「きゃー」と頬を赤らめて走り去る姿を予想していたのだろうか。
馬鹿を言ったらいけない。大抵の生徒たちは慣れたもので、しらっと冷たい目で何事もなかったように通りすぎる。中には、じとーっと観察したうえで「ふん」と鼻を鳴らす強者までいた。
にもかかわらず犯行を繰り返すということは、それが快感だったのだろうか? 変態の考えることはワカラナイ。
そうは言っても、やはり中にはショックで心に傷を負ってしまった少女もいた訳で。
許すまじ、変態。大したモノでもないくせに、粗末なもん見せて喜んでんじゃねえよ馬鹿野郎。
当時のことを思い出し、私は軽く嘆息する。
「気持ちはわかるよ」
「先輩……」
待ち合わせた喫茶店で、高校の後輩の樹里が涙ぐむ。
悩みを聞いてほしいと連絡をもらい久々に会った樹里は相変わらず可憐で可愛らしかった。
その悩みも可愛らしいといえば可愛らしいものだ。
「あれがトラウマなんです、わたし。どうしても、気持ち悪いんです」
「でも一度はしたんでしょう?」
「真っ暗でわけもわからなくて、夢中だったし……」
初体験はみんなそうだよなあ。好きな人と結ばれたことが嬉しくて、しあわせで、翌日まで熱に浮かされたようにぼーっとなってしまう。
これが二度目となってくると、知ってしまったことが怖くて足枷になってしまう。二回目のエッチが難しいと言われる所以だ。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
氷萌
恋愛
彼との未来を本気で考えていた―――
ブライダルプランナーとして日々仕事に追われていた“棗 瑠歌”は、2年という年月を共に過ごしてきた相手“鷹松 凪”から、ある日突然フラれてしまう。
それは同棲の話が出ていた矢先だった。
凪が傍にいて当たり前の生活になっていた結果、結婚の機を完全に逃してしまい更に彼は、同じ職場の年下と付き合った事を知りショックと動揺が大きくなった。
ヤケ酒に1人酔い潰れていたところ、偶然居合わせた上司で支配人“桐葉李月”に介抱されるのだが。
実は彼、厄介な事に大の女嫌いで――
元彼を忘れたいアラサー女と、女嫌いを克服したい35歳の拗らせ男が織りなす、恋か戦いの物語―――――――
ヤクザと私と。~養子じゃなく嫁でした
瀬名。
恋愛
大学1年生の冬。母子家庭の私は、母に逃げられました。
家も取り押さえられ、帰る場所もない。
まず、借金返済をしてないから、私も逃げないとやばい。
…そんな時、借金取りにきた私を買ってくれたのは。
ヤクザの若頭でした。
*この話はフィクションです
現実ではあり得ませんが、物語の過程としてむちゃくちゃしてます
ツッコミたくてイラつく人はお帰りください
またこの話を鵜呑みにする読者がいたとしても私は一切の責任を負いませんのでご了承ください*
ドSな上司は私の本命
水天使かくと
恋愛
ある会社の面接に遅刻しそうな時1人の男性が助けてくれた!面接に受かりやっと探しあてた男性は…ドSな部長でした!
叱られても怒鳴られても彼が好き…そんな女子社員にピンチが…!
ドS上司と天然一途女子のちょっと不器用だけど思いやりハートフルオフィスラブ!ちょっとHな社長の動向にもご注目!外部サイトでは見れないここだけのドS上司とのHシーンが含まれるのでR-15作品です!
【完結】maybe 恋の予感~イジワル上司の甘いご褒美~
蓮美ちま
恋愛
会社のなんでも屋さん。それが私の仕事。
なのに突然、企画部エースの補佐につくことになって……?!
アイドル顔負けのルックス
庶務課 蜂谷あすか(24)
×
社内人気NO.1のイケメンエリート
企画部エース 天野翔(31)
「会社のなんでも屋さんから、天野さん専属のなんでも屋さんってこと…?」
女子社員から妬まれるのは面倒。
イケメンには関わりたくないのに。
「お前は俺専属のなんでも屋だろ?」
イジワルで横柄な天野さんだけど、仕事は抜群に出来て人望もあって
人を思いやれる優しい人。
そんな彼に認められたいと思う反面、なかなか素直になれなくて…。
「私、…役に立ちました?」
それなら…もっと……。
「褒めて下さい」
もっともっと、彼に認められたい。
「もっと、褒めて下さ…っん!」
首の後ろを掬いあげられるように掴まれて
重ねた唇は煙草の匂いがした。
「なぁ。褒めて欲しい?」
それは甘いキスの誘惑…。
猫と笑顔とミルクティー~あの雨の日に~
咲良緋芽
恋愛
あの雨の日に、失恋しました。
あの雨の日に、恋をしました。
捨てられた猫と一緒に。
だけど、この恋は切な過ぎて……。
――いつか、想いが届くと願ってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる