今宵、あの藤の下にて君を待つ。

唐棣(はねず)家の庭に植えられた一本の藤が「鬼憑き」と呼ばれているわけは、枯れることなく年中花を咲かせることと、藤の下に緋色の目をした鬼がいると噂されているからだ。
けれども一人娘の薄紅(うすべに)が藤に癒やされ病を克服した為、当主の蘇芳(すおう)も藤を無下に扱うことは出来ないでいた。

薄紅の前にだけ現れる鬼。藤の香に誘われてよみがえる、薄紅の知らない記憶の断片。薄紅に持ち上がった縁談話と、鬼に対する確かな恋慕。
やがて記憶は藤の香に引き戻され、薄紅は鬼が誰なのかを知る。

1ページ1300~1500文字で綴った短編です。
少しだけ暴力的な表現があるエピソードには(*)マークを付けています。

表紙絵は青造花様より。
24h.ポイント 0pt
0
小説 190,641 位 / 190,641件 恋愛 57,554 位 / 57,554件

あなたにおすすめの小説

アダムとイヴ

桃井すもも
恋愛
私には、婚約者がおります。 その名をアダム様と仰います。 私の名がイヴですから、アダムとイヴで「創世記」の例のお騒がせカップルと同じ名ですね。 けれども、彼等と私達は違います。 だって、アダム様には心を寄せる女性(ひと)がいらっしゃるのですから。 「偶然なんてそんなもの」のお二人も登場します。 からの 「ままならないのが恋心」へ連なります。 ❇例の如く、100%妄想の産物です。 ❇妄想遠泳の果てに波打ち際に打ち上げられた、妄想スイマーによる寝物語です。 疲れたお心とお身体を妄想で癒やして頂けますと泳ぎ甲斐があります。

決めたのはあなたでしょう?

みおな
恋愛
 ずっと好きだった人がいた。 だけど、その人は私の気持ちに応えてくれなかった。  どれだけ求めても手に入らないなら、とやっと全てを捨てる決心がつきました。  なのに、今さら好きなのは私だと? 捨てたのはあなたでしょう。

【完結】忘れてください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。 貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。 夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。 貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。 もういいの。 私は貴方を解放する覚悟を決めた。 貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。 私の事は忘れてください。 ※6月26日初回完結  7月12日2回目完結しました。 お読みいただきありがとうございます。

ままならないのが恋心

桃井すもも
恋愛
ままならないのが恋心。 自分の意志では変えられない。 こんな機会でもなければ。 ある日ミレーユは高熱に見舞われた。 意識が混濁するミレーユに、記憶の喪失と誤解した周囲。 見舞いに訪れた婚約者の表情にミレーユは決意する。 「偶然なんてそんなもの」 「アダムとイヴ」に連なります。 いつまでこの流れ、繋がるのでしょう。 昭和のネタが入るのはご勘弁。 ❇相変わらずの100%妄想の産物です。 ❇妄想遠泳の果てに波打ち際に打ち上げられた、妄想スイマーによる寝物語です。 疲れたお心とお身体を妄想で癒やして頂けますと泳ぎ甲斐があります。 ❇例の如く、鬼の誤字脱字を修復すべく激しい微修正が入ります。 「間を置いて二度美味しい」とご笑覧下さい。

不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました

入海月子
恋愛
有本瑞希 仕事に燃える設計士 27歳 × 黒瀬諒 飄々として軽い一級建築士 35歳 女たらしと嫌厭していた黒瀬と一緒に働くことになった瑞希。 彼の言動は軽いけど、腕は確かで、真摯な仕事ぶりに惹かれていく。 ある日、同僚のミスが発覚して――。

花嫁は忘れたい

基本二度寝
恋愛
術師のもとに訪れたレイアは愛する人を忘れたいと願った。 結婚を控えた身。 だから、結婚式までに愛した相手を忘れたいのだ。 政略結婚なので夫となる人に愛情はない。 結婚後に愛人を家に入れるといった男に愛情が湧こうはずがない。 絶望しか見えない結婚生活だ。 愛した男を思えば逃げ出したくなる。 だから、家のために嫁ぐレイアに希望はいらない。 愛した彼を忘れさせてほしい。 レイアはそう願った。 完結済。 番外アップ済。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

【完結】愛しいあなたに、夢でもう一度逢いましょう

冬馬亮
恋愛
ふたりの出会いは森の奥深く。 怪我もしていないのに、なぜか瀕死の状態だった天才魔法使い、アユールをある女の子が助けたのがきっかけで。 アユールに一目惚れした少女サーヤは、かいがいしく世話を始める。声を出せないけれど、明るく元気なサーヤが気になるアユールだったが・・・。 実は、サーヤの声には呪いがかけられていたことを知り、王国一の(自称)魔法使いとしての誇りにかけて、・・・というより、サーヤへの恋心にかけて、その呪いを解くことを誓う。 どこか訳アリの魔法使いと、どこか訳アリの女の子の出会いから始まる、あったかラブストーリー。