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42:防衛戦Ⅳ
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無精髭を生やしたどこか気の良さそうなおじさんに窮地を救ってもらったキーラ。一人で倒す事は出来なかったのが今後の課題として持ち上がり「むぅ~」と少し不機嫌になりながらも今は戦いの最中だと気持ちを切り替え再び戦闘に身を置く。そうして数十分たった頃に突然変化が訪れた。
「ぐあぁぁぁ~」
「きゃあぁぁ~」
複数の場所からほぼ同時に上がる悲鳴。それもかなりの数が上がり何事だとそちらに注意が集まる。そうしてその原因でもあるものの正体を視界に収める冒険者たち。
「ライジングバングだとっ!?」
悲鳴を巻き起こした原因の正体の名を知っていた冒険者が叫び声にも似た声をあげる。が、それは複数箇所から悲鳴が上がっていることからも分かるように複数体存在していた。
「おいおい、あっちにはシェルアーマードだ」
「あっちにもいるぞ」
「ふざけんなよ、どれもこれもAランクモンスターじゃねーか」
ライジングバングを含め出現したモンスターは神獣と呼ばれる部類では無いもののAランクに属するモンスターだったのだ。
ライジングバングとは全身に雷を帯電させているゴリラ型のモンスターであり、強力な膂力に加え雷を纏った攻撃で麻痺を引き起こす厄介なモンスターだ。そしてシェルアーマードとは硬い甲殻の鎧に身を包んだカニやエビのようなモンスターである。
「今回の侵攻はどうにもきな臭いにゃ~。まさかAランクまで出てくるとはにゃ」
今回の防衛戦に参加しているAランク冒険者は複数いるが、そのうちの一人クロックは今回の侵攻がどうにも怪しいと言う思いが確信に変わりつつあった。
ただでさえ他種族の入り混じったものだと言うのにAランク、しかも生息地域から外れているのも出てくるなど誰かが裏で糸を引いているとしか思えなかった。だがそんな緊急事態が起ころうとも街を護ると言う目的は変わらない。戦うという選択肢しかないのだが…
(ここからはどうやらAランク冒険者を軸にして戦わないとにゃ)
今回の戦闘指示役の任を授かっているクロックことクロ。手早く考えをまとめ久々の任を果たす。
「Aランク冒険者を筆頭にBは援護、C~Eは周りのモンスター倒すにゃ、後衛は雑魚の掃討を続けてほしにゃっ」
対して大きな声でないにも関わらず戦闘に参加している全ての冒険者に響き渡る。というのも防衛線に参加する前にレイニーから拡散石と呼ばれる特殊鉱石を渡されていた。これにより音が拡散されるのだ。
そうして指示を聞いた者たちは指示通りに行動を開始した。だがその中で一人だけ従っていない者がいた…セリムである。
雑魚ーーセリムにとってはーーを殴り殺しながら進んでいた。するとAランクモンスターが出現しクロが指示を出し始める。状況確認をし新たなモンスターが出現したのを確認するが、関係ねぇと割り切り指示には従わずに戦闘を続行することに決定していた。
(Aランク冒険者がどんだけいるかしんねぇが、こいつらも強化されているだろーし厳しいだろうな…)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・ライジングバング
レベル:67
体力 :9800
魔力 :7000
筋力 :12000
敏捷 :8000
耐性 :6000
スキル
筋力強化 LV8
体力強化 Lv6
敏捷強化 Lv4
雷魔法 Lv6
雷獣変化 Lv5
大咆哮 Lv4
光魔法 Lv3
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
鑑定を使いステータスを確認すると想像以上に高いステータスを持っていたことが判明する。
「万越えか。中々面白いじゃねーの」
普通なら恐怖などの負の感情を持ってもおかしくないレベルの相手なのだが、セリムは逆の感情を持ち口角を吊り上げ笑う。
「君、何してんの! Aランクじゃないでしょ。下がらないと怪我だけじゃ済まないわよ」
セリムと同じくライジングバングの周囲にいた冒険者の一人が出すぎだとセリムに注意を促してくる。がそれに従う程可愛気がある性格をしていない…否、させられたと言うべきか。ともかく従う気がないセリムは注意喚起を促してきた女冒険者を一瞥するとすぐに視線を戻しそのままバングに向かって進んでいった。
「ちょ、君!」
ビッシャーン、その効果音とともにライジングバングから放たれた雷がものすごいい速さで地面を抉り飛ばしながら周囲の冒険者を吹き飛ばしていく。
(纏ってる雷を飛ばすことが出来んのか、それに放った直後に直ぐにまた纏い直してやがるな)
雷を飛ばす攻撃を回避しながら敵を観察する。いかにセリムが人間の枠からはみ出していようともまだ完全に出た訳じゃない。その為万越えのステータスを持つ者を相手に戦うには多少慎重にならざる得ない。
「とは言え、もたもたしてっとAランク冒険者がきちまうなっと」
その言葉の直後にセリムは纏衣を使い身体強化を計る。さらに服に仕込まれている魔法陣に魔力を流ささらなる強化を計る。あまりもたもたしていると増援と言う名の邪魔が入ってしまう為、短期決着をす心がける。周囲の冒険者がまだに何か言っているようだったが全てを無視しバングに殴り掛かった。
ドカンと言う音とともに衝撃波が発生し地面が隆起する。だがそこにはセリムの拳を真っ向から受け止めているライジングバングの姿があった。
「何で止められんだ、よっ」
よく見ると掌に雷を集め雷の盾のようなものを形成していた。
左の手を地面につけ飛び上がり、右足を上段から下段に蹴り落とすがバングはそれをバックステップで回避しながら雷のブレスを放ってくる。それをスキル"受け流し"を使い右手で払いのける事でブレスの軌道を変えてどこか違う方向へと飛んばす。受け流しを使った方とは逆の手を突き出し指先に魔力を集中させると魔法を発動する。一条の線がライジングバングに向かい奔る。
以前キーラとの戦いのときに使った技である。以前ならば発動までに時間がかかり戦闘で使うには難しかったが今ならば何の問題もなく発動可能だ。
セリムの指先から収束された熱線が放たれライジングバングに直撃する。が、これも雷を一点に集める事により防いでいる。雷と炎が激突するし火花を散らしながら徐々に雷は押され始め空に放電される始める。
「ウホォォォ――」
押され始めたことでライジングバングは気合の咆哮とでも言うべきものを上げた。そうすることにより何とか熱線を防ぎきる事には成功するが、受けきった直後の隙だらけの状態を逃すはずもなくセリムは一気に攻めにでる。引き上げられた身体能力により一瞬にしてバングの背後に移動し脳天に向け手刀を叩き落す。
周囲から歓声とも感嘆とも取れる声が上がるが次の瞬間にそれは驚愕の声に変わった。獣の察知能力とでも言うのだろうか、ライジングバングが雷獣変化を使用しステータスを跳ね上げたのだ。そうすることで腕一本を切り落とされるだけという最小の被害に留める事に成功した。
「ウオォォォ」と腕を斬られたことに対する叫び声をあげるバング。雷獣変化を使用している為、先程よりも迫力がある。、吠えた様は体毛の背中部分が変化により金色に染まったこともあり金獅子にも見える強者の風格を纏った獣だった。
(何かモ○スター○ンターのラー○ャンみたいだな)
そんな某ゲームのモンスターをイメージしているとバングは雷のブレスを連続で吐き出してくる。その全てを"受け流し"で軌道を変え逸らしていくセリム。他の冒険者もこの機にセリムの相手だけに集中しているバングに攻撃をしようとしているが帯電する雷により近づけずにいた。
(これが、Aランクか…中々だが)
そこまで言った直後セリムの姿が消え再びバングの後ろに出現する。今度は先程一瞬にして背後に移動した方法とは違い、スキル"瞬滅"を使い移動したのだ。
瞬滅とは一瞬にして相手の懐に飛び込むことが出来る暗殺者の職業スキルである。縮地法などに近いものだろうか。特徴としては身体能力を使い移動するよりも敵に気づかれにくくなると言うのが利点だ。まったく気付かれない訳ではないが。
瞬滅で移動し、背後から"硬化"、"乱魔の一撃"を乗せた蹴りを脇腹に叩き込む。メキメキと言う嫌な音が響きバングは吹っ飛んでいくが直後地面から炎の壁が出現しバングを受け止めると燃やそうとした。バングは回避しようと雷の衣を纏おうとするが乱魔により魔力が乱れ纏う事が出来ずに炎に呑み込まれた。シュウゥゥーと言う肉の焼ける音を響かせながらセリムが炎の壁を爆発させたことにより息絶えたのだった。
セリムが単独でAランクを倒すことに成功した頃、防衛戦が行われている平原から500m程離れた距離の森に二人の人物がいた。
「ぐあぁぁぁ~」
「きゃあぁぁ~」
複数の場所からほぼ同時に上がる悲鳴。それもかなりの数が上がり何事だとそちらに注意が集まる。そうしてその原因でもあるものの正体を視界に収める冒険者たち。
「ライジングバングだとっ!?」
悲鳴を巻き起こした原因の正体の名を知っていた冒険者が叫び声にも似た声をあげる。が、それは複数箇所から悲鳴が上がっていることからも分かるように複数体存在していた。
「おいおい、あっちにはシェルアーマードだ」
「あっちにもいるぞ」
「ふざけんなよ、どれもこれもAランクモンスターじゃねーか」
ライジングバングを含め出現したモンスターは神獣と呼ばれる部類では無いもののAランクに属するモンスターだったのだ。
ライジングバングとは全身に雷を帯電させているゴリラ型のモンスターであり、強力な膂力に加え雷を纏った攻撃で麻痺を引き起こす厄介なモンスターだ。そしてシェルアーマードとは硬い甲殻の鎧に身を包んだカニやエビのようなモンスターである。
「今回の侵攻はどうにもきな臭いにゃ~。まさかAランクまで出てくるとはにゃ」
今回の防衛戦に参加しているAランク冒険者は複数いるが、そのうちの一人クロックは今回の侵攻がどうにも怪しいと言う思いが確信に変わりつつあった。
ただでさえ他種族の入り混じったものだと言うのにAランク、しかも生息地域から外れているのも出てくるなど誰かが裏で糸を引いているとしか思えなかった。だがそんな緊急事態が起ころうとも街を護ると言う目的は変わらない。戦うという選択肢しかないのだが…
(ここからはどうやらAランク冒険者を軸にして戦わないとにゃ)
今回の戦闘指示役の任を授かっているクロックことクロ。手早く考えをまとめ久々の任を果たす。
「Aランク冒険者を筆頭にBは援護、C~Eは周りのモンスター倒すにゃ、後衛は雑魚の掃討を続けてほしにゃっ」
対して大きな声でないにも関わらず戦闘に参加している全ての冒険者に響き渡る。というのも防衛線に参加する前にレイニーから拡散石と呼ばれる特殊鉱石を渡されていた。これにより音が拡散されるのだ。
そうして指示を聞いた者たちは指示通りに行動を開始した。だがその中で一人だけ従っていない者がいた…セリムである。
雑魚ーーセリムにとってはーーを殴り殺しながら進んでいた。するとAランクモンスターが出現しクロが指示を出し始める。状況確認をし新たなモンスターが出現したのを確認するが、関係ねぇと割り切り指示には従わずに戦闘を続行することに決定していた。
(Aランク冒険者がどんだけいるかしんねぇが、こいつらも強化されているだろーし厳しいだろうな…)
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・ライジングバング
レベル:67
体力 :9800
魔力 :7000
筋力 :12000
敏捷 :8000
耐性 :6000
スキル
筋力強化 LV8
体力強化 Lv6
敏捷強化 Lv4
雷魔法 Lv6
雷獣変化 Lv5
大咆哮 Lv4
光魔法 Lv3
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鑑定を使いステータスを確認すると想像以上に高いステータスを持っていたことが判明する。
「万越えか。中々面白いじゃねーの」
普通なら恐怖などの負の感情を持ってもおかしくないレベルの相手なのだが、セリムは逆の感情を持ち口角を吊り上げ笑う。
「君、何してんの! Aランクじゃないでしょ。下がらないと怪我だけじゃ済まないわよ」
セリムと同じくライジングバングの周囲にいた冒険者の一人が出すぎだとセリムに注意を促してくる。がそれに従う程可愛気がある性格をしていない…否、させられたと言うべきか。ともかく従う気がないセリムは注意喚起を促してきた女冒険者を一瞥するとすぐに視線を戻しそのままバングに向かって進んでいった。
「ちょ、君!」
ビッシャーン、その効果音とともにライジングバングから放たれた雷がものすごいい速さで地面を抉り飛ばしながら周囲の冒険者を吹き飛ばしていく。
(纏ってる雷を飛ばすことが出来んのか、それに放った直後に直ぐにまた纏い直してやがるな)
雷を飛ばす攻撃を回避しながら敵を観察する。いかにセリムが人間の枠からはみ出していようともまだ完全に出た訳じゃない。その為万越えのステータスを持つ者を相手に戦うには多少慎重にならざる得ない。
「とは言え、もたもたしてっとAランク冒険者がきちまうなっと」
その言葉の直後にセリムは纏衣を使い身体強化を計る。さらに服に仕込まれている魔法陣に魔力を流ささらなる強化を計る。あまりもたもたしていると増援と言う名の邪魔が入ってしまう為、短期決着をす心がける。周囲の冒険者がまだに何か言っているようだったが全てを無視しバングに殴り掛かった。
ドカンと言う音とともに衝撃波が発生し地面が隆起する。だがそこにはセリムの拳を真っ向から受け止めているライジングバングの姿があった。
「何で止められんだ、よっ」
よく見ると掌に雷を集め雷の盾のようなものを形成していた。
左の手を地面につけ飛び上がり、右足を上段から下段に蹴り落とすがバングはそれをバックステップで回避しながら雷のブレスを放ってくる。それをスキル"受け流し"を使い右手で払いのける事でブレスの軌道を変えてどこか違う方向へと飛んばす。受け流しを使った方とは逆の手を突き出し指先に魔力を集中させると魔法を発動する。一条の線がライジングバングに向かい奔る。
以前キーラとの戦いのときに使った技である。以前ならば発動までに時間がかかり戦闘で使うには難しかったが今ならば何の問題もなく発動可能だ。
セリムの指先から収束された熱線が放たれライジングバングに直撃する。が、これも雷を一点に集める事により防いでいる。雷と炎が激突するし火花を散らしながら徐々に雷は押され始め空に放電される始める。
「ウホォォォ――」
押され始めたことでライジングバングは気合の咆哮とでも言うべきものを上げた。そうすることにより何とか熱線を防ぎきる事には成功するが、受けきった直後の隙だらけの状態を逃すはずもなくセリムは一気に攻めにでる。引き上げられた身体能力により一瞬にしてバングの背後に移動し脳天に向け手刀を叩き落す。
周囲から歓声とも感嘆とも取れる声が上がるが次の瞬間にそれは驚愕の声に変わった。獣の察知能力とでも言うのだろうか、ライジングバングが雷獣変化を使用しステータスを跳ね上げたのだ。そうすることで腕一本を切り落とされるだけという最小の被害に留める事に成功した。
「ウオォォォ」と腕を斬られたことに対する叫び声をあげるバング。雷獣変化を使用している為、先程よりも迫力がある。、吠えた様は体毛の背中部分が変化により金色に染まったこともあり金獅子にも見える強者の風格を纏った獣だった。
(何かモ○スター○ンターのラー○ャンみたいだな)
そんな某ゲームのモンスターをイメージしているとバングは雷のブレスを連続で吐き出してくる。その全てを"受け流し"で軌道を変え逸らしていくセリム。他の冒険者もこの機にセリムの相手だけに集中しているバングに攻撃をしようとしているが帯電する雷により近づけずにいた。
(これが、Aランクか…中々だが)
そこまで言った直後セリムの姿が消え再びバングの後ろに出現する。今度は先程一瞬にして背後に移動した方法とは違い、スキル"瞬滅"を使い移動したのだ。
瞬滅とは一瞬にして相手の懐に飛び込むことが出来る暗殺者の職業スキルである。縮地法などに近いものだろうか。特徴としては身体能力を使い移動するよりも敵に気づかれにくくなると言うのが利点だ。まったく気付かれない訳ではないが。
瞬滅で移動し、背後から"硬化"、"乱魔の一撃"を乗せた蹴りを脇腹に叩き込む。メキメキと言う嫌な音が響きバングは吹っ飛んでいくが直後地面から炎の壁が出現しバングを受け止めると燃やそうとした。バングは回避しようと雷の衣を纏おうとするが乱魔により魔力が乱れ纏う事が出来ずに炎に呑み込まれた。シュウゥゥーと言う肉の焼ける音を響かせながらセリムが炎の壁を爆発させたことにより息絶えたのだった。
セリムが単独でAランクを倒すことに成功した頃、防衛戦が行われている平原から500m程離れた距離の森に二人の人物がいた。
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