上 下
32 / 137

第30話 「風と共に去りぬ」

しおりを挟む
 前回のあらすじ

 最初から最後までクライマックスだった。


「それで、話を聞きたいんだけど、良いかな?」
 俺たちが黙りこくっていると、勇者を名乗った彼女は改めてそう聞いてきた。
 どうやら黙ってやり過ごすということは出来ないようだった。
 仕方なく俺は言葉を返した。
「……勇者なんですか?」
 馬鹿みたいな質問だが、確認しなくてはならなかった。
 そして彼女は当たり前のように、勇者だと認めた。
 ……念のため、こっそりと横のナイアにも確認するが、ナイアは死んだ魚の様な目で、同意を返してきた。
 こんなに元気がないナイアを見たのは初めてだな。
 ナイアはまるで斬首を待つ罪人のように、死んだ表情で沈黙を貫いている。
 ……まぁ、魔王だし、三百年前にも殺されてるもんな。
 そのときは勇者パーティ四人がかりでフルボッコだったらしいけど……今のナイアでは勇者一人でも余裕だろう。
「実は人を探していまして……」
 勇者はそう言葉をつづけた。彼女の瞳はハッキリとこちらを見ていて、俺たちがその探し人であるということが伝わってきた。
 これは逃げられないだろう。
 ……だが、まだだ。
 まだ、諦める時間じゃない。
 十中八九、王女の依頼で俺たちを殺しに来たんだと思うが……もしかしたら、何かの間違いと言うこともあるかもしれない。
 俺は神にすがり、理由を聞いた。
「それは何のために……」
「ええ。ある女の子からのお願いで、その子の代わりにお世話になったお礼を届けに来ました。」
 神は死んだ。
 ツァラトゥストラはそう語っていた。
 ……王女によって刺客が送られてくる可能性は危惧していたけど、まさか勇者様が来るなんて。
 あの王女あまり頭は良くなさそうだったけど、心は真のライオンのようだった。
 ポンデとは違うのだよ! ポンデとは!!
「……いえ、お気持ちだけ受け取っておきます。お礼の方は謹んで辞退させて下さい」
「いえいえ。そんな。お礼を受け取ってもらえなければ、首にするしかないと言ってましたので」
 俺の精一杯の懇願に、笑顔で応える勇者。
 いや、勇者様?
 なんでそう言うことを笑顔で言えるんでしょうか?
 なんだよ、首にするって。
 玄関にでも、はく製にして飾るのか?
 一応言っておくけど、ゆっくりしていけないぞ、そんな玄関。
「……」
「胸を張ってください。ほらっもっとキリッとして! このままじゃ彼女に合わせる顔が無いですよ」
 俺が勇者様の返しにドン引きして言葉を失っていると、彼女は自分の両手を俺の顔に添えて、自分の方を向かせた。
 首を刎ねる前に、表情を指定するとか、この勇者様はマジでヤバい。
 横の魔王が天使に見えるレベル。
「あの……どうしてあなたがそこまでするんですか?」
 だが、なぜ勇者である彼女がそこまでするんだろうか?
 俺が知っている限り、勇者様は人格者で国民の味方だと聞いた。
 そんな彼女がここまで、王女の味方をする理由とはなんだろうか?
 もしかして、弱みでも握られているんだろうか。
 そう思いながら、口に出した俺の質問は――
「私がしたいからです」
 ――綺麗な笑顔で返された。
 勇者はそんなこと言わない。
 ……ああ、分かった。この人は勇者なんかじゃない。
 例えるなら、どす黒く燃える太陽だ。
「……俺は勇者様を舐めてました。貴方は怖い人ですね」
「へ?」
 俺は理解した。
 この状況はどうあがいても絶望だということを。
 相手は勇者。
 四人がかりとはいえ、全盛期のナイアを殺した存在だ。
 ステータスの差なんて考えるまでもないだろう。
「こんなにもまっすぐ、こちらを追いつめてくるなんて……正直予想外でした」
「へ? へ?」
「あなたに見つかった時点でこちらの逃げ道はなかったのでしょうね。――ですが、やられっぱなしは好きじゃない。……こちらからも抵抗はさせて貰いますよ」
 だが、絶対にただではやられない。すでに理不尽で一度死んでいる身だ。二度目もそうやって死ぬなんてごめんだった。
「勇者。エル・アルレイン・ノート。アンタは他の人とは違う。勇者として遥かな高みに居る。だが、俺はそういうところが隙だと思っている」
「なななっ!! 何を言っているんですか!! あなたは!?」
 圧倒的な強者の地位に甘んじ、上から恐怖を煽り、俺の反応を楽しんでいる彼女。
 だがそれこそ、そんな彼女の驕りこそ、俺たちに残された可能性だ。
「俺は本気だ。勇者様からしたら、遥か下の存在かもしれないが、それでもこっちにも意地がある」
「そ。そんな私はそんなつもりは」

 ――さぁ、足掻いてやるぜ。歴史を変えてやる。

「例えどれほど可能性が低くても、俺は絶対に諦めない」
「私はっ……」
 そこで、沈黙を選ぶ勇者。だが、それは許さない。
 俺に可能性があるとすれば、勇者が侮って動く、一番最初の一瞬だけ。
 その瞬間に、全力を注ぐっ!! 
 俺は剣に手を伸ばした。
「さぁ、どうした勇者!! ここまで言われて何も返さないのか!!」
 動け勇者!! そう念じながら、俺がそう言葉を紡いだ瞬間――

「考えさせてくださいーっ!!」

 ――勇者は風のようにこの場を去った。
 全く反応出来ない速度だった。
 その勢いは、脱兎のごとかった。


 ~勇者視点~

 私は勇者。エル・アルレイン・ノートというものだ。
 まぁ、勇者であり、約三百年この国を守っていることを除けば、普通の女の子だ。
 ……魔王とか倒したことあるけど、女の子なのだ。一応。
 普段は国内を適当に旅して、モンスターを減らしたりしてるんだけど、今回は少し違う。
 久しぶりに昔の仲間の顔が見たくなった私は、とりあえず一番近い賢者の国に向かって移動をしている所だった。
 あとついでに、道すがらお世話になった居酒屋の娘さんのお願いで、ある男の子を探している。
 なんでも小さな女の子と見たこともない生き物を連れているらしいから、会ったらすぐに分かるとのことだった。
 その子も賢者の国を目指しているらしく、私は快くそのお願いを引き受けた。
 その男の子は今日の午前中に町を出たようだったので、私の足なら今からでも追いつける可能性が高いだろう。
 そう思って、道中それらしい人たちを探していると、焚火を囲んで騒いでいる人たちを発見した。
 もしかしたらと思って話を聞くことにする。
「私は勇者。エル・アルレイン・ノートというものだが、少し話を聞いても良いだろうか?」
 堅苦しい言葉は少し苦手だが、勇者としての振舞もある。
 私がそう言うと、その人たちはピタリと動きを止め、無言でこちらを見てきた。
 ……うわぁ。さっきまで凄い楽しそうだったのに、今はなんだろう。御通夜のような空気が漂っている。
 私はそんなにお邪魔だったんだろうか。
 だが、こちらを向いたことで、この人たちが探していた人たちだろうと確信できた。
 女の子連れのパーティが他に居るとも思えないし。
 やがて、無言に耐えられなくなった私は、改めて聞くことにする。
「それで、話を聞きたいんだが、良いかな?」
 その言葉で、男の方が口を開いた。
「……勇者なんですか?」
 どうやら、私の顔を知らないらしい。
 ちょっとだけ驚いた。
 うん。やっぱり国境近くの町まで来ると、私のことを知らない人も結構いるのかな。
 気づかない内に勇者としての自分に己惚れていたのかもしれない。反省しないと。
「ええ。私は勇者です。実は人を探していまして……」
「それは何のために?」
「ええ。ある女の子からのお願いで、その子の代わりにお世話になったお礼を届けに来ました」
 女の子に渡されたのは金貨だ。
 どうやら、その男の子のお陰で居酒屋が助かったから、最後に少しでもお返ししたいということだった。
「……いえ、お気持ちだけ受け取っておきます。お礼の方は謹んで辞退させて下さい」
 でも、男の方は断った。
 うん。やっぱりこの人か。
 居酒屋の店長さんと娘さんから聞いてた通り、謙虚な人みたいだな。
 でもこちらも、どうしても渡してほしいと頼まれているし、諦めるわけにはいかない。
「いえいえ。そんな。お礼を受け取ってもらえなければ、クビにするしかない嫁にやると言ってましたので」
 店長さんが笑いながら言っていた言葉を伝える。
 そう言えば受け取るだろうと思ったからだ。
 実際は親子三人でやっている店だし、娘さんをクビになんて出来ないだろうけど。
「……」
 そういうと彼は押し黙った。
 おや、もしかして冗談を本気にしたんだろうか。
 それとも、まだ受け取るか悩んでいるのだろうか。
 居酒屋の二人は本当に喜んでいたし、もっと自分のしたことに自信を持って良いと思うんだけど。
 ……多分だけど、娘さんの方はこの人に惚れてるみたいだったし。
「胸を張ってください。ほらっもっとキリッとして! このままじゃ彼女に合わせる顔が無いですよ」
 私はそう言って、両手で彼の両頬に手を添え、彼の顔を上げさせる。
 彼は揺れる瞳でこちらを見て言った。
「あの……どうしてあなたがそこまでするんですか?」
「私がしたいからです」
 私は胸を張って答える。
 勇者はみんなの味方なのだ。
 ……特に恋する女の子の。
「……俺は勇者様を舐めてました。貴方は怖い人ですね」
「へ?」
 私の返事を聞いて、彼は呆然とした後で、呟いた。
「こんなにもまっすぐ、こちらを追いつめてくるなんて。正直予想外でした」
「へ? へ?」
「あなたに見つかった時点でこちらの逃げ道はなかったのでしょうね。ですが、やられっぱなしは好きじゃない。……こちらからも抵抗はさせて貰いますよ」
 初めは何かを諦めたような瞳だったが、途中から一転、覚悟を決めたような瞳で私を見返してきた。
 真っ直ぐにこちらを見つめ返してくる目。
 そこには強い意志が感じられる。
 勇者である私に物怖じせず、こんなに力強く見つめてくる人は初めてだった。
 私が少しドキッとしていると――

「勇者。エル・アルレイン・ノート。アンタは他の人とは違う。勇者として遥かな高みに居る。だが、俺はそういうところが好きだと思っている」
「なななっ!! 何を言っているんですか!! あなたは!?」

 ――彼はいきなりそんな爆弾発言をした。
 好き? 私を? 何で?
 私は一気にパニックになった。
 勇者と言えば一個大隊以上の戦力を有する存在。
 いわば人間兵器とでも言える存在だ。
 みんなそれなりに優しくはしてくれるが、その力を知れば畏怖を覚えるモノである。
 人間扱いされないことすらあった。
 私に対して、女の子として対等に接してくれる人なんて、それこそ昔の仲間しかいない。
 ――なのに、この人は。
「俺は本気だ。勇者様からしたら、遥か下の存在かもしれないが、それでもこっちにも意地がある。」
「そ。そんな私はそんなつもりは」
 彼は混乱する私に畳みかけてきた。
 勇者である自分に対して、真っすぐに言葉をぶつけてくる。
 そんな男の子は初めてだった。
「例えどれほど可能性が低くても、俺は絶対に諦めない。」
「私はっ……」
 何と言えば良いんだろうか?
 この男の子に対して。
 真っすぐに自分を見つめてくる彼の瞳から目が逸らせない。
 恋愛などしたこともない私はこんな時どうすれば良いのか分からない。
「さぁ、どうした勇者!! ここまで言われて何も返さないのか!!」
 ついに彼は返事を要求してきた。パニックが頂点に達した私は――

「考えさせてくださいーっ!!」

 ――全力でその場から逃げ出した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?

みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。 なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。 身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。 一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。 ……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ? ※他サイトでも掲載しています。 ※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。

Sランクパーティから追放された俺、勇者の力に目覚めて最強になる。

石八
ファンタジー
 主人公のレンは、冒険者ギルドの中で最高ランクであるSランクパーティのメンバーであった。しかしある日突然、パーティリーダーであるギリュウという男に「いきなりで悪いが、レンにはこのパーティから抜けてもらう」と告げられ、パーティを脱退させられてしまう。怒りを覚えたレンはそのギルドを脱退し、別のギルドでまた1から冒険者稼業を始める。そしてそこで最強の《勇者》というスキルが開花し、ギリュウ達を見返すため、己を鍛えるため、レンの冒険譚が始まるのであった。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!

夕凪五月雨影法師
ファンタジー
AIイラストあり! 追放された世界最強の勇者が、ハーレムの女の子たちと自由気ままなスローライフを送る、ちょっとエッチでハートフルな異世界ラブコメディ!! 国内最強の勇者パーティを率いる勇者ユーリが、突然の引退を宣言した。 幼い頃に神託を受けて勇者に選ばれて以来、寝る間も惜しんで人々を助け続けてきたユーリ。 彼はもう限界だったのだ。 「これからは好きな時に寝て、好きな時に食べて、好きな時に好きな子とエッチしてやる!! ハーレム作ってやるーーーー!!」 そんな発言に愛想を尽かし、パーティメンバーは彼の元から去っていくが……。 その引退の裏には、世界をも巻き込む大規模な陰謀が隠されていた。 その陰謀によって、ユーリは勇者引退を余儀なくされ、全てを失った……。 かのように思われた。 「はい、じゃあ僕もう勇者じゃないから、こっからは好きにやらせて貰うね」 勇者としての条約や規約に縛られていた彼は、力をセーブしたまま活動を強いられていたのだ。 本来の力を取り戻した彼は、その強大な魔力と、金貨1,000万枚にものを言わせ、好き勝手に人々を救い、気ままに高難度ダンジョンを攻略し、そして自身をざまぁした巨大な陰謀に立ち向かっていく!! 基本的には、金持ちで最強の勇者が、ハーレムの女の子たちとまったりするだけのスローライフコメディです。 異世界版の光源氏のようなストーリーです! ……やっぱりちょっと違います笑 また、AIイラストは初心者ですので、あくまでも小説のおまけ程度に考えていただければ……(震え声)

彼女をイケメンに取られた俺が異世界帰り

あおアンドあお
ファンタジー
俺...光野朔夜(こうのさくや)には、大好きな彼女がいた。 しかし親の都合で遠くへと転校してしまった。 だが今は遠くの人と通信が出来る手段は多々ある。 その通信手段を使い、彼女と毎日連絡を取り合っていた。 ―――そんな恋愛関係が続くこと、数ヶ月。 いつものように朝食を食べていると、母が母友から聞いたという話を 俺に教えてきた。 ―――それは俺の彼女...海川恵美(うみかわめぐみ)の浮気情報だった。 「――――は!?」 俺は思わず、嘘だろうという声が口から洩れてしまう。 あいつが浮気してをいたなんて信じたくなかった。 だが残念ながら、母友の集まりで流れる情報はガセがない事で 有名だった。 恵美の浮気にショックを受けた俺は、未練が残らないようにと、 あいつとの連絡手段の全て絶ち切った。 恵美の浮気を聞かされ、一体どれだけの月日が流れただろうか? 時が経てば、少しずつあいつの事を忘れていくものだと思っていた。 ―――だが、現実は厳しかった。 幾ら時が過ぎろうとも、未だに恵美の裏切りを忘れる事なんて 出来ずにいた。 ......そんな日々が幾ばくか過ぎ去った、とある日。 ―――――俺はトラックに跳ねられてしまった。 今度こそ良い人生を願いつつ、薄れゆく意識と共にまぶたを閉じていく。 ......が、その瞬間、 突如と聞こえてくる大きな声にて、俺の消え入った意識は無理やり 引き戻されてしまう。 俺は目を開け、声の聞こえた方向を見ると、そこには美しい女性が 立っていた。 その女性にここはどこだと訊ねてみると、ニコッとした微笑みで こう告げてくる。 ―――ここは天国に近い場所、天界です。 そしてその女性は俺の顔を見て、続け様にこう言った。 ―――ようこそ、天界に勇者様。 ...と。 どうやら俺は、この女性...女神メリアーナの管轄する異世界に蔓延る 魔族の王、魔王を打ち倒す勇者として選ばれたらしい。 んなもん、無理無理と最初は断った。 だが、俺はふと考える。 「勇者となって使命に没頭すれば、恵美の事を忘れられるのでは!?」 そう思った俺は、女神様の嘆願を快く受諾する。 こうして俺は魔王の討伐の為、異世界へと旅立って行く。 ―――それから、五年と数ヶ月後が流れた。 幾度の艱難辛苦を乗り越えた俺は、女神様の願いであった魔王の討伐に 見事成功し、女神様からの恩恵...『勇者』の力を保持したまま元の世界へと 帰還するのだった。 ※小説家になろう様とツギクル様でも掲載中です。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

はずれスキル「ゴミ強化」で、ゴミ扱いされて追放された俺が鬼強化された。実家から帰ってきてほしいと言われたけどもう遅い。

アメカワ・リーチ
ファンタジー
「――あなたのスキルは、“ゴミ強化”です」  レノックス公爵家の跡取りとして、大勇者になるため育てられてきたレイ・レノックスだったが、  18歳の神託で授かったのは、ゴミのステータスを10倍にする“ゴミ強化”と言う外れスキルだった。  ――お前のような<ゴミ>は我がレノックス家にはいらん。  レイは父親からそう言われて実家を追放される。  しかし、レイとそのスキルが“ゴミ扱い”されたことで、スキルの力そのものが“ゴミ強化”で10倍になり、  10倍×10倍で100倍の強化スキルになる。  これによりレイのステータスは100倍に。  しかも<ゴミ>扱いされたものに“ゴミ強化”を使うと、全てのステータスが100倍になりとんでもない魔法具になってしまう。  そしてレイは、クワガタと人間のキメラの奴隷少女、淫乱すぎてゴミ扱いされた聖女とパーティーを組み、  気がつけば大勇者への道を駆け上がっていた。  一方、レノックス家を継いだのは、“神聖剣”のレアスキルを手に入れた異母弟のグラッブだったが、  努力もせず才能もない彼が後継者になったことで、レノックス家は没落していくことになる。

処理中です...