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第五話 レティシアの幸せ
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「み、ミシェル殿下……どうして私を?」
「うん?さっき話しただろう?それに、私は五年前のあの日からずっと、レティシアに恋焦がれて来たんだ」
「ええっ!?」
五年前というと、レティシアがミシェル殿下に淡い恋心を寄せるきっかけとなったあの日のことだろうか。
ドキドキ高鳴る胸を押さえながら、ミシェル殿下の様子を窺っていると、その視線に気付いた殿下がにこりと微笑んだ。
(あ……あの時と変わっていない。優しい笑顔……)
「覚えてる?私がこっそり城を抜け出して怪我をした日、神殿で治療を受ければ抜け出したことも怪我をしたことも父上と母上にバレてしまうと頭を悩ませていた時――あなたが現れた」
「あ……覚えて、おります」
忘れしない五年前のあの日――
十五歳だったレティシアは、まだ神託によるスキルの啓示を受けておらず、下働きとして奔走していた。今思えば神殿に身を寄せてからのレティシアはいつもあちこち駆け回っていた。
あの日、少し休息をしようと神殿の裏庭に逃げ隠れていた時のこと――
いつもレティシアが隠れ蓑にしていた生垣の影に先客がいた。ボロボロの外套を羽織り、フードを目深に被った一人の青年が足に怪我をしていたのだ。
レティシアは慌てて駆け寄ると、有無を言わさず彼を治療した。両手を翳して懸命に神聖力を注ぎ込み、始めから傷などなかったかのように綺麗に治癒をした。
レティシアは気は弱いものの、怪我人を放っておける気質ではなく、気が付けば身体が動いてしまうため、見ず知らずの青年であれ慈悲の手を差し伸べることは当然であった。
青年は驚いたようにすっかり完治した足をマジマジと見つめると、レティシアの手を握って感謝の言葉を贈ってくれた。
『ありがとう。本当にどうしたものかと困っていたのだ。あなたの治癒能力は素晴らしいんだな。思わず見惚れるほどに美しかったし、温かかった』
『えっ、あ、その、そのような褒められたものでは……』
褒められ慣れていないレティシアが肩を縮ませて恐縮していると、青年は僅かにフードをあげて顔を覗かせた。
さすがのレティシアもミシェル殿下の顔はよく知っていたため、思わず息を呑んだ。なぜここに、と目を回しかけたが、ミシェル殿下はシーっと人差し指を立てるといたずらっ子のような笑みを浮かべた。
『ふふ、私がここに居たことも、怪我をしたことも、誰にも言わないでおくれ。二人だけの秘密だよ』
『はっ、はい……!』
『せっかくだし、少しだけ話さないか?ほんの五分だけでいいから』
『え、と……ご、五分だけなら、大丈夫です』
レティシアはドキドキ高鳴る胸に戸惑いながらも、ミシェル殿下とほんのひと時の交流を重ねた。人と話すのが苦手なレティシアであるが、ミシェル殿下は急かすことなく優しい笑顔でレティシアの言葉を待ってくれた。
神殿では下っ端扱いで立場も低いレティシアは、こうして誰かとゆっくり話すことも随分と久しぶりであった。
この日のささやかな出会いと、ミシェル殿下の言葉が、今日までずっとレティシアの心を支えてきたのだ。いつか再会できた時には、お礼を言いたいと思い続けてきた。
「あ、の……殿下」
「うん?諸々の手続きはまだだが、あなたはもう私の婚約者も同然。ミシェルと呼んではくれないか?」
「えっ!み、ミシェル…様?」
「ああ、なんだいレティシア」
恐る恐る名前を呼ぶと、花が綻ぶような可憐な笑みを浮かべるミシェル殿下。その笑顔が眩しくて、思わず目を眇めるが、レティシアは深呼吸をして一息に感謝の気持ちをぶつけた。
「あのっ!私、五年前のあの日、ミシェル殿下にお褒めいただいたことが、ずっと心の支えでした。どんなに酷い扱いを受けても、《外れ》だと蔑まれても…殿下を癒すことができた経験が私の全てでした。お慕いしております。五年前のあの日から、ずっと――きゃ」
「ああ、レティシアは変わらないな。素直で清純で、それでいて可愛い」
「?!?!?」
再びミシェル殿下の腕に閉じ込められたレティシアは、目を白黒させながら状況の理解に苦しんだ。
「これからは私がレティシアをたくさん愛そう。愛ある家庭を築き、共にこの国を導いていこう」
「は、はい……ミシェル様」
――数年後、晴れて即位したミシェルによって神殿の体制は一新された。
神聖力を持つものは本人の希望に関わらず神殿入りが定められていたが、神殿に入るか、生家でこれまで通り生きていくかの選択が許された。
そして神殿内において、聖女の優劣をつけることが禁じられ、聖女は等しく大切に扱われるようになった。
聖女たちが好き勝手に動くことを助長していた神官長はその職を追われ、辺境の地の小さな神殿に左遷された。
ライラを始めとしたレティシアを冷遇してきた聖女たちもその称号を剥奪され、地方へ飛ばされた。
表向きはそれだけの処分であったが実際は――ミシェル陛下とその当人だけが知るところである。
レティシアはというと、ミシェルに日々愛を囁かれ、みるみるうちにその美しさに磨きがかかっていった。自信がない故に気弱だった性格も次第に明るくなり、今では国民に愛される国母となっている。
酷い怪我をした兵隊が、王城に運び込まれたあと、気持ちがいいほどの張り手の音が響き渡ることも、今ではすっかりこの国の名物となっていた。
ーーーーー
最後まで読んでくださりありがとうございます!
ふと思いついて書き殴ったお久しぶりの短編です笑
作者は『ビンタ聖女』の略称で呼んでいます(`・ω・´)笑
『ビンタで怪我人を癒す聖女』から話を考えたらこうなりました。
少しでも楽しんでいただけましたら嬉しいです~
新作長編も8万字ほど書き進めております…!
10万字ちょいで終わりそうな気がしている(気がしてるだけ)
無事に書ききり、推敲してから公開開始予定なので今しばらくお待ちください( ˘ω˘ )GWまでには…と思っています。
また、近況ボードでもお伝えしましたが、拙作の「魔力が強すぎる死にかけ公爵は、魔力ゼロの出来損ない王女をご所望です」の電子書籍化が決まりました!やった!
続報は情報解禁後にお知らせに参りますのでこちらもお待ちいただけると嬉しい!です!
引き続きよろしくお願いします(*´꒳`*)ノシ
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「ええっ!?」
五年前というと、レティシアがミシェル殿下に淡い恋心を寄せるきっかけとなったあの日のことだろうか。
ドキドキ高鳴る胸を押さえながら、ミシェル殿下の様子を窺っていると、その視線に気付いた殿下がにこりと微笑んだ。
(あ……あの時と変わっていない。優しい笑顔……)
「覚えてる?私がこっそり城を抜け出して怪我をした日、神殿で治療を受ければ抜け出したことも怪我をしたことも父上と母上にバレてしまうと頭を悩ませていた時――あなたが現れた」
「あ……覚えて、おります」
忘れしない五年前のあの日――
十五歳だったレティシアは、まだ神託によるスキルの啓示を受けておらず、下働きとして奔走していた。今思えば神殿に身を寄せてからのレティシアはいつもあちこち駆け回っていた。
あの日、少し休息をしようと神殿の裏庭に逃げ隠れていた時のこと――
いつもレティシアが隠れ蓑にしていた生垣の影に先客がいた。ボロボロの外套を羽織り、フードを目深に被った一人の青年が足に怪我をしていたのだ。
レティシアは慌てて駆け寄ると、有無を言わさず彼を治療した。両手を翳して懸命に神聖力を注ぎ込み、始めから傷などなかったかのように綺麗に治癒をした。
レティシアは気は弱いものの、怪我人を放っておける気質ではなく、気が付けば身体が動いてしまうため、見ず知らずの青年であれ慈悲の手を差し伸べることは当然であった。
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