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第2章エクスプレス サイドB①魔窟の養生楼閣都市/死闘編
Part 40 死闘・武人タウゼント/拷鬼の金棒
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タウゼントは権田が右利きであると判断した。人間の神経系が差配している限り左右の神経系の優劣は必ずついて回る問題なのだ。権田の右手から後方へと回り左背後に位置を取る。そして、タウゼントはその手にしていた槍を勢いよく後方へと引き絞った。
「ここだ!」
狙いすまして攻めるは左背面後方、肩甲骨のやや下側である。命中すれば貫通せずとも大ダメージは与えられるはずだ。引き絞った電磁ランスを勢い良く突き出し撃ち放とうとする。
だが敵である権田とて素人ではない。
「うらぁああああっ! 舐めんなぁ! ガラクタぁ!!」
権田は両脚の中のシステムに仕込まれた機構をフル稼働させる。右の脚と左の脚、その進行方向のベクトルを前後逆に発動させると、重戦車の超信地旋回の如くにその巨躯を反転させたのである。
【 抗地磁気反発加速システム『韋駄天』 】
【 両脚各部抗地磁気エフェクトユニット 】
【 左右逆位相モード 】
【 >右:後進加速 】
【 >左:前進加速 】
【 ≫超信地旋回モード作動 】
【 】
【 上肢下肢及び背面部装着型 】
【 エグゾスケルトンサブフレーム 】
【 >協調連動モード作動 】
【 >腕部サブフレーム 】
【 ハイパワーラピッドブーストモード 】
彼の肉体の下半身と上半身、さらには両手両足の構造体を連立連動させ、全身での剛性を強化させる。さらに反応速度を強制加速させ、全身レベルでの〝攻撃速度〟を驚異的なまでに引き上げた。その手に握りしめているのは凶悪なまでの打撃破壊力を有する巨大電磁波破砕ハンマー『拷鬼』、すでに二人の命をすり潰した血糊がこびりついているのだ。
権田はハンマーを自分の左肩上方へと振り上げていた。その視界には放浪騎士のタウゼントの姿が捉えられている。さらにハンマーを握りしめる両腕に満身の力を込め急速反転の勢いを加えると、紫電を迸らせる破砕ハンマーを一気に振り抜いたのである。
「潰れろぃ」
権田が放ったのその言葉には、まるで奥歯に挟まった異物を除去して吐き捨てるかのように、不快な物に対するいらだちがニュアンスとして入り混じっている。権田の視界の中でタウゼントは彼の心理を波立たさせる存在であった。
まるでゴキブリでも潰すかのように、まるで銀蝿でもはたき落とすかのように、畏敬も礼儀もない荒々しさで権田はその手にしていた破砕ハンマーを振り抜くと、そのハンマーヘッドを彼が意図していた〝敵〟へと一気呵成に叩き付けたのである。
――ガァアアン!!――
鳴り響いたのは、中空の金属塊をメタルヘッドのハンマーで叩き付けたかのような金属打撃音だ。鈍い残響を響かせながらも権田が振るった電磁ハンマーは予想外の動きによる不意打ちの効果もあり、タウゼントのボディーを横薙ぎに殴りつけた。ハンマーヘッドのインパクトの瞬間、電磁ハンマーはその内部に蓄積していた高圧マイクロ波を一気に開放すると単なる物理的打撃にはとどまらない暴力的なまでの電磁破砕効果を発揮する。
打撃した目標物がそこいらの自動車のボディであるなら一発にしてドアをまとめてぶち抜き、シャシとフレームを一気に捻じ曲げて即刻スクラップ送りにしてしまうだろう。それほどの威力を感じさせる様なリアクションでタウゼントのボディは弾き飛ばされた。ダメージも決してゼロでは無いはずだ。
互いの行動の裏をかき合い、一撃必殺を狙いあったこの勝負は残念なるかな、黒い盤古の権田の方が上であった。
僅か1mほどのその鈍銀色のボディは突如彼を襲う横ベクトルの打撃インパクトにより真横へとすっ飛ばされることとなる。そしてタウゼントのボディが飛ばされたその先にあったのは、誰であろう静かなる男たちの副長ボリスが佇んでいたところだったのだ。
そして、それは数奇なる運命による再開劇の幕を開けさせたのである。
「ここだ!」
狙いすまして攻めるは左背面後方、肩甲骨のやや下側である。命中すれば貫通せずとも大ダメージは与えられるはずだ。引き絞った電磁ランスを勢い良く突き出し撃ち放とうとする。
だが敵である権田とて素人ではない。
「うらぁああああっ! 舐めんなぁ! ガラクタぁ!!」
権田は両脚の中のシステムに仕込まれた機構をフル稼働させる。右の脚と左の脚、その進行方向のベクトルを前後逆に発動させると、重戦車の超信地旋回の如くにその巨躯を反転させたのである。
【 抗地磁気反発加速システム『韋駄天』 】
【 両脚各部抗地磁気エフェクトユニット 】
【 左右逆位相モード 】
【 >右:後進加速 】
【 >左:前進加速 】
【 ≫超信地旋回モード作動 】
【 】
【 上肢下肢及び背面部装着型 】
【 エグゾスケルトンサブフレーム 】
【 >協調連動モード作動 】
【 >腕部サブフレーム 】
【 ハイパワーラピッドブーストモード 】
彼の肉体の下半身と上半身、さらには両手両足の構造体を連立連動させ、全身での剛性を強化させる。さらに反応速度を強制加速させ、全身レベルでの〝攻撃速度〟を驚異的なまでに引き上げた。その手に握りしめているのは凶悪なまでの打撃破壊力を有する巨大電磁波破砕ハンマー『拷鬼』、すでに二人の命をすり潰した血糊がこびりついているのだ。
権田はハンマーを自分の左肩上方へと振り上げていた。その視界には放浪騎士のタウゼントの姿が捉えられている。さらにハンマーを握りしめる両腕に満身の力を込め急速反転の勢いを加えると、紫電を迸らせる破砕ハンマーを一気に振り抜いたのである。
「潰れろぃ」
権田が放ったのその言葉には、まるで奥歯に挟まった異物を除去して吐き捨てるかのように、不快な物に対するいらだちがニュアンスとして入り混じっている。権田の視界の中でタウゼントは彼の心理を波立たさせる存在であった。
まるでゴキブリでも潰すかのように、まるで銀蝿でもはたき落とすかのように、畏敬も礼儀もない荒々しさで権田はその手にしていた破砕ハンマーを振り抜くと、そのハンマーヘッドを彼が意図していた〝敵〟へと一気呵成に叩き付けたのである。
――ガァアアン!!――
鳴り響いたのは、中空の金属塊をメタルヘッドのハンマーで叩き付けたかのような金属打撃音だ。鈍い残響を響かせながらも権田が振るった電磁ハンマーは予想外の動きによる不意打ちの効果もあり、タウゼントのボディーを横薙ぎに殴りつけた。ハンマーヘッドのインパクトの瞬間、電磁ハンマーはその内部に蓄積していた高圧マイクロ波を一気に開放すると単なる物理的打撃にはとどまらない暴力的なまでの電磁破砕効果を発揮する。
打撃した目標物がそこいらの自動車のボディであるなら一発にしてドアをまとめてぶち抜き、シャシとフレームを一気に捻じ曲げて即刻スクラップ送りにしてしまうだろう。それほどの威力を感じさせる様なリアクションでタウゼントのボディは弾き飛ばされた。ダメージも決してゼロでは無いはずだ。
互いの行動の裏をかき合い、一撃必殺を狙いあったこの勝負は残念なるかな、黒い盤古の権田の方が上であった。
僅か1mほどのその鈍銀色のボディは突如彼を襲う横ベクトルの打撃インパクトにより真横へとすっ飛ばされることとなる。そしてタウゼントのボディが飛ばされたその先にあったのは、誰であろう静かなる男たちの副長ボリスが佇んでいたところだったのだ。
そして、それは数奇なる運命による再開劇の幕を開けさせたのである。
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