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第2章エクスプレス サイドB①魔窟の養生楼閣都市/集結編
Part21 天使と希望と/そして、東京アバディーンにて――
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■そして、東京アバディーンにて――
単分子ワイヤーに絡め取られて、壊れたマリオネットのように吊るされているのはあのベルトコーネであった。呆然と放心して一切の精気もない。残る手筈は、ベルトコーネを無力化してこの埋立地の外へと運び出すのみである。
だがその手はずのために通信をしようと試みていたグラウザーだったが困惑の中にあった。とまどいを隠さずに彼は言う。
「どうしたんだ? ディアリオ兄さん! 返答してください!」
慌てたような語り口に、己の右腕の残骸を集め終えたセンチュリーが語りかけてくる。
「どうした? グラウザー」
「兄さん、先程からディアリオ兄さんと連絡が取れません」
「連絡が? それは仕方ないだろう。このスラムは有能すぎる違法ハッカーの巣窟みたいな場所だ。また違法セキュリティに遮断されたんだろう。すでに大久保さんを通じて、新谷のオヤジや本庁へと連絡してくれるように頼んである。順当に物事が運んでいるならもうじき第一陣が飛んで来るはずだ。朝には悪いが俺はここで退散する。状況が落ち着いたら朝を向かえに行ってやれ。もちろん、その格好を解除してな」
センチュリーは一切の不安なく、現場を収拾する手はずへと向かっていた。
危機は去った。ベルトコーネは無力化された。あとは脱出するだけ――そう確信していたのだ。そしてその事をグラウザーは一抹の疑念すらも抱いていなかった。
「えぇ。回収が済んだらそうします。朝さんも僕達のことを待っているでしょうから」
「あぁ、あの子が無事助かっていると良いんだがな」
「はい、僕もそう思います」
2人は言葉をかわしながらカチュアの身を案じていた。これ以上の危険はもうないと信じるが如くに。だが――
【 インターナルフレーム独立制御システム 】
【 >外部状況感知 】
【 〔意識レベル最低値〕 】
【 〔重要器官制御プログラム消失〕 】
【 〔機体構造大規模破損〕 】
【 >最終判断 】
【 〔外部総体システム行動続行不能〕 】
【 〔破局的緊急事態と判断〕 】
【 〔ブラックボックス作動開始準備〕 】
ソレは人知れず淡々と動き出していた。悪夢の夜はいまだ続いていた。
単分子ワイヤーに絡め取られて、壊れたマリオネットのように吊るされているのはあのベルトコーネであった。呆然と放心して一切の精気もない。残る手筈は、ベルトコーネを無力化してこの埋立地の外へと運び出すのみである。
だがその手はずのために通信をしようと試みていたグラウザーだったが困惑の中にあった。とまどいを隠さずに彼は言う。
「どうしたんだ? ディアリオ兄さん! 返答してください!」
慌てたような語り口に、己の右腕の残骸を集め終えたセンチュリーが語りかけてくる。
「どうした? グラウザー」
「兄さん、先程からディアリオ兄さんと連絡が取れません」
「連絡が? それは仕方ないだろう。このスラムは有能すぎる違法ハッカーの巣窟みたいな場所だ。また違法セキュリティに遮断されたんだろう。すでに大久保さんを通じて、新谷のオヤジや本庁へと連絡してくれるように頼んである。順当に物事が運んでいるならもうじき第一陣が飛んで来るはずだ。朝には悪いが俺はここで退散する。状況が落ち着いたら朝を向かえに行ってやれ。もちろん、その格好を解除してな」
センチュリーは一切の不安なく、現場を収拾する手はずへと向かっていた。
危機は去った。ベルトコーネは無力化された。あとは脱出するだけ――そう確信していたのだ。そしてその事をグラウザーは一抹の疑念すらも抱いていなかった。
「えぇ。回収が済んだらそうします。朝さんも僕達のことを待っているでしょうから」
「あぁ、あの子が無事助かっていると良いんだがな」
「はい、僕もそう思います」
2人は言葉をかわしながらカチュアの身を案じていた。これ以上の危険はもうないと信じるが如くに。だが――
【 インターナルフレーム独立制御システム 】
【 >外部状況感知 】
【 〔意識レベル最低値〕 】
【 〔重要器官制御プログラム消失〕 】
【 〔機体構造大規模破損〕 】
【 >最終判断 】
【 〔外部総体システム行動続行不能〕 】
【 〔破局的緊急事態と判断〕 】
【 〔ブラックボックス作動開始準備〕 】
ソレは人知れず淡々と動き出していた。悪夢の夜はいまだ続いていた。
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