178 / 462
第1章ルーキーPartⅢ『天空のコロッセオ』
クリミナルファイル at 2039,11,3
しおりを挟む
クリミナルファイル at 2039,11,3
警視庁・事件事例総括報告報告書
《CRIMINAL FILE:#441○○○○○》
【事件名称】
南本牧南本牧ディンキー・アンカーソン一派逃走、及び、有明1000mビル国際未来世界構想サミット武装襲撃事件
【発生年月日】
1:南本牧ディンキー・アンカーソン一派逃走事件
西暦2039年10月3日
2:有明1000mビル襲撃事件
西暦2039年11月3日
【発生時刻】
1:南本牧ディンキー・アンカーソン一派逃走事件
午前0時丁度
2:有明1000mビル襲撃事件
午後0時丁度
【発生場所】
1:南本牧ディンキー・アンカーソン一派逃走事件
神奈川県南本牧埠頭
2:有明1000mビル襲撃事件
江東区有明2丁目、有明1000mビル第4ブロック
【発生犯罪分類】
殺人
傷害
殺人未遂
建築物破壊・器物損壊
建築物違法侵入
公務執行妨害
重窃盗
武器準備集合罪
銃刀法違反
爆発物管理法違反(違法所持及び使用)
出入国管理法違反
威力業務妨害
情報通信倫理基本法違反
・法人所有コンピューター通信ネットワーク網の管理権限の強奪
・法人所有コンピューター設備への不当干渉
(不当改造・不当情報操作・コンピューターウィルスの作製使用)
ロボット・アンドロイド保安要綱違反
・性能限界基準違反
・保安基準違反
・未登録機体の無断運用
・違法武装
サイボーグ技術倫理法違反
・性能限界基準違反
・保安基準違反
・医療目的以外でのサイボーグ改造手術処置
・違法武装
カルト集団規制法違反
【被疑者詳細】
*主犯 ⇒ 不明
・補足:事件現場において犯罪行為の指揮をとっていたと思われたディンキー・アンカーソン本人(以後ディンキーとする)はすでに死亡していたことが判明した。事件現場にて確認された人物はディンキーを模倣して記憶と性格を再現したダミーアンドロイドであることが判明している。このため、何者かが背後にて遠隔で指揮を採っていた可能性が考えられている。
*共犯(人間)
1:武装暴走族組織スネイルドラゴン、メンバー
・本名:不明、通称名:黒竜[ハイロン]
スネイルドラゴン主要幹部、中枢組織構成員の疑いあり、事件中にディンキー配下の個体名コナンに殺害され死亡
・本名:葛城 遊馬 通称名:バジリスク
スネイルドラゴン主要幹部、実働戦闘部隊構成員との確認あり 傷害・傷害致死で前科あり、現在東京拘置所に収容中
・本名:不明、通称名:ジズ
スネイルドラゴン主要幹部、女性、実動戦闘部隊構成員、殺人事件5件で関与、重要参考人として手配中、現在東京拘置所に収容中
補足:ディンキー一派の日本国内上陸に協力加担。しかし、協力関係は事前により破綻しておりディンキー一派の暴走により上陸作戦支援そのものは実効果をあげていない。
2:ディンキー・アンカーソン一派
・氏名:ディンキー=アンカーソン(事件当時すでに死亡)
年齢………没年不明により不明
国籍………イギリス
出身地……北アイルランド北部
経歴概略…元IRA下部組織メンバー
特A級国際指名手配犯
逮捕歴有り
注意事項…アンドロイドに関する特殊技能有り
武装アンドロイドを数体所有
補足:事件当時、ディンキーはすでに3年前に死亡していたと推測されている。事件現場に参加していたのは“ネクロイド”と呼称される死者再生型のダミーアンドロイドである。
(ディンキーについての情報はICPOの国際データバンクより提供)
*共犯(人間以外)
1:ディンキー・アンカーソン一派
・個体名:ジュリア
ハーグ軍事条約により禁止され廃棄処分されたはずのモデル・ノスフェラトスと呼ばれる大量殺戮モデルの残存体、極めて頑強であり生存性が異常に高い。
南本牧からの逃走案件にて目撃証言あり。
第4階層にて英国科学アカデミー来賓メンバー(以後英国アカデミーメンバーとする)を襲撃、警護役のSP数名を殺害後、第6号機フィール(以後フィールとする)を破壊し、ビル屋外へと投棄している。
さらに、避難した英国アカデミーメンバーを追跡するも、武装警官部隊(以下、盤古)・盤古東京大隊の妻木小隊の隊員により一部損壊させられ、さらに英国アカデミーメンバーの一人のマーク・カレル博士の犠牲的行為によりさらに破壊。フィールにより完全破壊されて機能停止している。
・個体名:アンジェ
超精密な金属系マイクロマシンによる特殊毛髪を保有、
マイクロ波を操作可能、超高速機動型。
南本牧からの逃走案件では目撃はされていないが、当該機体の有する機能と同じ、電磁波兵器の使用が確認されている。
第4ブロック階層にて盤古隊員への襲撃殺害事件を引き起こした後、フィールと戦闘状態に突入し、フィールにより破壊される。その際、個体名ローラの逃走を幇助している。
・個体名:マリー
軍用のハイパーヒートポンプを内臓。高熱を操作できる。ステルス偽装能力あり。
南本牧からの逃走案件では未確認。第4ブロック階層にて盤古隊員への襲撃殺害事件を引き起こした後、第1号機アトラス(以後、アトラスとする)により破壊される。
・個体名:ローラ
光を操作し攻撃したとの証言あり原理等不明。高速機動型
南本牧からの逃走案件では未確認。第4ブロック階層にて盤古隊員への襲撃殺害事件を引き起こした後、フィールと交戦し敗北。その後個体名アンジェの幇助により逃走、現在追跡中
・個体名:ガルディノ
電脳処理特化型、極めて優秀なハッキング機能を持つ。
遠隔装型のボディを有し、本体はコンピュータネット上に分散して存在する電子生命体〔分散意識体と呼称される〕
南本牧からの逃走案件では、埠頭設備のハッキングや不法使用、さらには逃走車両の無人操縦などが行われているが、当該期待によるものと推測される。
テロ案件発生以前から有明1000mビルの管理システム全体に分散された形で潜伏していたとと思われ、警察やビル管理会社による綿密な管理やメンテナンスを掻い潜り、今回のテロ案件の端緒となる大規模ハッキング案件を発生させている。
その後、遠隔操作ボディ、電子生命体本体、ともに第4号機ディアリオ(以後、ディアリオとする)により破壊される。
・個体名:コナン
和風の剣術家の意匠を有し、日本刀に酷似する刀剣を使用する近接戦闘型。極めて高い殺害能力を有する。
第3号機センチュリー(以後、センチュリーとする)と2度に渡り交戦し、南本牧埠頭における初回の交戦はセンチュリー側が負傷し逮捕失敗、第4ブロック階層における襲撃行為ののち2回目の交戦においてセンチュリー側がコナンの破壊に成功している。
・個体名:ベルトコーネ
徒手格闘による白兵格闘戦闘特化型の男性型戦闘アンドロイド。
本案件における最大の障害となる。
海外の犯罪事案記録には、暴走して大規模な人的被害を生み出したとの記録が確認されている。
南本牧の事案においてアトラスと交戦となり相打ちとなり逃亡、有明1000mビルの第4ブロック階層への突入を試みたアトラスとセンチュリーを妨害、さらに第4ブロック階層内部でアトラスと交戦となり一度はアトラスにより拘束されるも、暴走を引き起こし、アトラス以下センチュリー、フィールを撃破し、第5号機エリオット(以後、エリオットとする)の攻撃を振り切り再度逃走、ディンキー・アンカーソン他1名の潜伏していた第5ブロック階層において再度、アトラス、センチュリー、エリオットと交戦し、アトラスとセンチュリーを破壊、エリオットを心理的ショックにより行動不能にまで追い込む。
その後、現場研修中、独断行動をとっていた第7号機グラウザー(以後、グラウザーとする)と交戦となり、これにディアリオが遠隔で支援して、これを撃破し、行動不能な状態にまで破壊された。これにより現在厳重な拘束状態を施されたうえで東京拘置所付属施設の犯罪性アンドロイド拘置施設にて厳重管理されている。
・個体名:メリッサ
事前情報ではメイド風の意匠を施された介護用アンドロイドであり、ディンキーの身辺介護役をしている存在だと想定されていた。
しかし、有明の案件でのベルトコーネなどのディンキー配下のアンドロイドの言動や目撃情報から、ディンキーの介護役ではない疑いが浮上し、さらにディアリオのネット調査により判明した情報より、メリッサが『ネクロイド・テクノロジー』と呼ばれる死亡者の記憶情報の再生技術を保有していると判明し、さらにディンキー本人が3年前に死亡していたとの未確認情報が提供された。
これらの事実から、メリッサはディンキーの介護役ではなく、ディンキー本人を偽装したダミーアンドロイドの管理役である可能性が浮上してきた。
その後、第5ブロック階層にて遭遇しグラウザーとベルトコーネの戦闘中に逃走し、第5ブロック階層から最上階屋上へと抜ける作業用通路にてフィールにより拘束され身柄を確保された。しかしながら、メリッサの機体には証拠隠滅用の自燃機能が施されており、中枢部も含めて解析困難な状態にまで破壊されている。
なお、ディアリオによる尋問から本人からの証言を引き出しており幾つかの重要情報が得られている。
メリッサは本来は、ロシアの人体生理学者であるユーリ・カザロフ博士の介護用のメイドアンドロイドであり、ロシア国内のアンドロイドの機体登録リストにも登録情報が確認されている。しかし、詳細不明の第三者によりユーリ・カザロフ博士と共に拉致され、メリッサのその頭脳内にカザロフ博士の記憶が移植され、ネクロイド・テクノロジーを取り扱う役割を与えられていた事が判明した。
さらに、死亡寸前であったディンキーがその第三者により保護された事で、メリッサにはディンキーのネクロイド化とその後のメンテナンスの役割が与えられていた事が本人証言から判明している。
メリッサ本人の証言から推測であるが、今回の有明1000mビルでの英国来賓襲撃計画は、メリッサ本人が計画したものであり、有明1000mビルのブロック構造を逆利用し、上層階にディンキーとディンキー配下の武装アンドロイドを閉じ込め、日本の警察勢力により掃討させ、自滅を狙ったものであると考えられている。
なお、ディンキーを保護し、メリッサとカザロフ博士を拉致し、メリッサを改造した、詳細不明の第三者であるが、ディンキーが生前協力関係にあった、中近東からアフリカ全域、中南米などで活動しているイスラム極右系組織の『ガサク』では無いかと推測されるが、これについては証拠となる情報が少なく推測の域を出ないため捜査情報として公開することは差し控えるべきと考える。
現在、メリッサの残骸は回収され、警視庁科捜研にて解析処理が行われているが、中枢頭脳部まで焼損しているため解析と情報の再生は困難と見られている。
2:正体不明
・個体名:クラウン
第4ブロック階層から第5ブロック階層へと移動中のディアリオが、その途中のメンテナンス通路において遭遇した機体であり、生身の人間なのかアンドロイドなのか一切が不明である。逃走していた個体名ローラの身柄を所有しており、詳細不明の手段にてステルス化偽装を行い、ディアリオの追跡から逃走している。
現在、東京都下の警視庁管轄内で捜査対象として手配中である。
【案件の推移詳細】
1:南本牧ディンキー・アンカーソン一派逃走事件
西暦2039年10月3日、午前0時**分
神奈川県南本牧埠頭先進化コンテナヤード区画内にて、警視庁指定広域武装暴走族スネイルドラゴン構成員(以下、スネイルドラゴンとする)による、内部粛清事件が発生、特攻装警アトラスとセンチュリーが、ディアリオの支援を受けて現行犯による静圧を目的として突入する。
その後スネイルドラゴン構成員数十名と交戦となり、アトラスの高空からの突入による武装支援を加えて、一般戦闘要員と幹部2名を撃破し拘束に成功。
しかしながら、事件首謀者の黒竜の逃走をアトラスとセンチュリーが追跡するも、国際線貨物コンテナに潜伏していたディンキー一派により妨害され、黒竜はコナンにより殺害される。
ディンキー一派の逃走支援のためコナンとベルトコーネが残留し、コナンはセンチュリーと、ベルトコーネはアトラスと交戦状態となる。
さらに、逃走に成功したディンキー一派を、フィールとディアリオが追跡を行い、逃走を妨害するも、東京湾内の海中にコンテナごと突入すると言う手段で逃走に成功する。
ほぼ同時刻、コナンはセンチュリーを撃破し逃走、ベルトコーネはアトラスと相打ちになり逃走には成功する。
2:有明1000mビル襲撃事件
西暦2039年11月3日、午後0時丁度。
有明1000mビル第4ブロックにおいて事件発生。
同時刻、同地点において、国際未来世界構想サミット開催中。
同サミット関係者に多数の被害・多数の被害者が発生した。
同時刻、N60フラーレン系爆薬により同ビル第4ブロック附近大型エレベータ破壊。
同時刻、同ビルにおいてビル施設管理システムに異常発生。外部より混入されたコンピューターウィルスによってビル内の全機能が停止する。(後にディンキー一派のガルディノの意識構成体がビル全域に分散する形でビルシステムを掌握していたことが判明)
これにより、同ビル第4ブロックが物理的に孤立した。
事件発生直後、サミット警備本部長・近衛仁一警備一課長以下、警備本部関係者により、事件解決に向けて対策本部が設置されサミット警備要員は全てこれに編入され、警視庁情報機動隊、全特攻装警もこれに合流。
その後、武装警官部隊盤古・神奈川方面より2小隊編成で突入救援部隊到着。救援活動開始するもビル内より放たれた大型雷球によりヘリ2基が撃墜され突入は断念される。
代替処置として、情報機動隊隊長鏡石警部補の発案により、アトラス、センチュリーを、1000mビルの外部構造物を利用して、ビル内へ突入させる事に成功、同2名の特攻装警による救援活動が開始される。
これ以後、警備本部では、ビル内からの連絡を待ちつつ第3ブロック以下の事件被害者の救助と現場警備に専念する。
同ビル第4ブロックにおいては、大規模な破壊活動・テロ行為が発生。同ビル内においてサミット警備にあたっていた武装警官部隊盤古・東京方面大隊に多数の死傷者が発生した。
また、同ビル第4ブロック内には、ディアリオ、フィールが、サミット関連の任務により行動中であったため、両名とも本事件に巻き込まれる。
なお、第6号機フィールは本事件の初期段階において、ディンキー一派のジュリアにより攻撃を加えられ著しく破壊されビル外へと投棄されている。これにより第2科学警察研究所に臨時の救援を要請し、これを受けた。
同ビル第4ブロックでは、ディンキー一派のジュリア以下、アンジェ、マリー、ローラが、サミット来賓への危害行為や、盤古隊員への攻撃行為を行う。
同じ頃、第1ブロック階層内にて、グラウザーが行方不明となる案件がグラウザーの引率役である朝研一巡査部長より報告される。
ビル外からの突入を試みたアトラスとセンチュリーは、ベルトコーネによる妨害を受けつつも、突入に成功し、まずはアトラスがディアリオと合流し、アトラスはアンジェを破壊、ディアリオはビルシステムを掌握していたガルディノの遠隔操作機体を破壊しビルシステムの一部の奪回に成功している。
さらに現場到着した第2科警研の技術者によりフィールが修復され現場任務に復帰、第4ブロック階層へと突入する。そののち、マリーとローラと交戦となりマリーを撃破するも、ローラの逃走を許している。
この後、ビルシステム内に残留していたガルディノの構成意識体は盤古隊員の標準武装タイプと重武装タイプの装甲スーツの動力システムをハッキングし掌握、特攻装警に向け攻撃を強要させる案件が発生する。
同じ頃、エリオットが上空からの投下による突入に成功し、ガルディノに掌握された盤古隊員と交戦状態に突入しこれの無効化に成功する。さらにディアリオが鏡石隊長の許可を得て国内ネットワークへの大規模介入を行い情報ネットワーク上からのガルディノの構成要素である意識体の捕捉と削除に成功する。
さらに、センチュリーがコナンと交戦しこれを撃破。アトラスがベルトコーネと交戦し逮捕拘束に成功する。しかし、心理的理由から暴走をしたベルトコーネが拘束を破壊し、盤古隊員と特攻装警に反撃、アトラスとセンチュリーとフィールを撃破し、エリオットの攻撃を振り切り再度の逃走に成功している。
同じ頃、地上の警備本部に特定の市民からディンキー・アンカーソンに関してディンキー本人がすでに死亡している可能性があるとの情報提供がなされる。後にグラウザーとエリオットにより、ディンキーがダミーアンドロイドであった事が確認され、この情報は事実であった可能性が高い。
同じ頃、英国アカデミーメンバーのチャールズ・ガドニック教授がディンキー一派により拉致される案件が発生する。これの救出とディンキー本人の逮捕を目的として、特攻装警が第5ブロック階層へと移動する。特攻装警3体が第5ブロック階層へと移動中、行方不明となっていたグラウザーが第5ブロック階層に到達、ガドニック教授の保護に成功し、さらに朝巡査部長がグラウザーを捕捉、ガドニック教授の救助に成功している。
その後、再度ベルトコーネと遭遇、アトラスとセンチュリーとエリオットがこれと交戦するも、エリオットの攻撃を逆利用されアトラスとセンチュリーが破壊され、エリオットも心理的ショックから一時行動不能となる。
グラウザーのみが行動可能な状態でベルトコーネと交戦となり当初苦戦するも、ディアリオが遠隔で支援し戦闘を補助、これによりベルトコーネを撃破し機能停止させることに成功し再度拘束を行う。
ベルトコーネが機能停止したことでディンキーのダミーアンドロイドは人格機能が機能不全に陥る。このためエリオットの指導のもとグラウザーの射撃により機能停止処置が施される。
残るメリッサは逃亡を試み有明1000mビルの最上階屋上へと逃走するが、その途上のメンテナンス通路にてフィールとディアリオの挟撃を受けフィールにより拘束される。その後ディアリオにより尋問を受け幾つかの重要情報の証言を受けるも、何らかの理由により自燃機能により証拠隠滅が図られメリッサの機体は炎上消失している。
これにより事件は、主犯の詳細が不明のままローラを除く犯罪に使用されたアンドロイドの破壊と排除と言う形で発生より2時間と14分を経過して終息した。
事件後、サミット来賓は全員が生存が確認されており一部軽症者も確認されたが生命に異常は見られてない。ただし、英国アカデミーのマーク・カレル博士はジュリアとの戦闘行為により重症をおっており事件後、東京都内の医療施設に収容されている。
また、ディンキー一派の内、逃走したローラと、身柄を拘束されたベルトコーネを除く残り7体のアンドロイドの残骸は現在、警視庁科捜研にて解析作業が進められている。
本事案における問題点であるディンキー一派の被疑者集団の侵入経路だが、同ビルの第5ブロックの建築用資材の運搬コンテナに紛れて侵入したものと判明した。また、サミット警備を優先させ建築工事を一ヶ月間中断させたことが、逆にディンキー一派の潜伏を容易にさせていたことが判明した。
本事案において、ディンキー本人が未だ生存しており生身の人間であるという前提条件の元に警備体制が施行されており、実際にはすでに死亡しており擬装用のダミーアンドロイドが〝搬入〟されると言う形で事実が推移している。本事案はその隙を突かれた形で被疑者集団のサミット会場への潜入を許す結果となった。
昨今のアンドロイド技術は日進月歩を続けており、さらには世界各国の軍事情勢の不安定化と共に重要な極秘軍事技術が地下流出しているケースも本案件の他にも散見されている。そのため、今後の犯罪事案への対応においては、既存の犯罪案件情報のデータにとらわれるこなく、あらゆる技術的可能性を想定して対策にあたることを強く求めるものである。
附則事項として、かねてより懸案であった特攻装警第7号機グラウザーの成長状態が未発達であった件であるが、今回の事案へのグラウザー独自の行動と対応により、急速な成長が見られたことで、今後、正規の警察職員として任務にあたらせることが可能となった事を記録しておく。
報告者私見:
今回の事件には、武装警官部隊・盤古の多大な犠牲と、特攻装警の献身的行為により解決した。今後、彼らの活動においてはさらなる活躍を期待すると共に、警察他機関においても、よりよい協力応援体勢の充実を望むものである。また、今回の事件現場である有明1000mビルの様に、大規模建築物が容易に犯罪者によって不当占拠され物理的に侵入困難になる事は、同種の事件の再発を防ぐ意味でも極めて望ましくない。施設内のコンピュータシステムのセキュリティー機能の向上や各種災害時における避難経路・連絡手段の充実などを各方面に求めるものである。
なお、本事件において殉職された武装警官部隊・盤古の隊員及び警察官の方々のご冥福を心より祈念する物である。
以上
文責・報告:警備1課課長・近衛 仁一
警視庁・事件事例総括報告報告書
《CRIMINAL FILE:#441○○○○○》
【事件名称】
南本牧南本牧ディンキー・アンカーソン一派逃走、及び、有明1000mビル国際未来世界構想サミット武装襲撃事件
【発生年月日】
1:南本牧ディンキー・アンカーソン一派逃走事件
西暦2039年10月3日
2:有明1000mビル襲撃事件
西暦2039年11月3日
【発生時刻】
1:南本牧ディンキー・アンカーソン一派逃走事件
午前0時丁度
2:有明1000mビル襲撃事件
午後0時丁度
【発生場所】
1:南本牧ディンキー・アンカーソン一派逃走事件
神奈川県南本牧埠頭
2:有明1000mビル襲撃事件
江東区有明2丁目、有明1000mビル第4ブロック
【発生犯罪分類】
殺人
傷害
殺人未遂
建築物破壊・器物損壊
建築物違法侵入
公務執行妨害
重窃盗
武器準備集合罪
銃刀法違反
爆発物管理法違反(違法所持及び使用)
出入国管理法違反
威力業務妨害
情報通信倫理基本法違反
・法人所有コンピューター通信ネットワーク網の管理権限の強奪
・法人所有コンピューター設備への不当干渉
(不当改造・不当情報操作・コンピューターウィルスの作製使用)
ロボット・アンドロイド保安要綱違反
・性能限界基準違反
・保安基準違反
・未登録機体の無断運用
・違法武装
サイボーグ技術倫理法違反
・性能限界基準違反
・保安基準違反
・医療目的以外でのサイボーグ改造手術処置
・違法武装
カルト集団規制法違反
【被疑者詳細】
*主犯 ⇒ 不明
・補足:事件現場において犯罪行為の指揮をとっていたと思われたディンキー・アンカーソン本人(以後ディンキーとする)はすでに死亡していたことが判明した。事件現場にて確認された人物はディンキーを模倣して記憶と性格を再現したダミーアンドロイドであることが判明している。このため、何者かが背後にて遠隔で指揮を採っていた可能性が考えられている。
*共犯(人間)
1:武装暴走族組織スネイルドラゴン、メンバー
・本名:不明、通称名:黒竜[ハイロン]
スネイルドラゴン主要幹部、中枢組織構成員の疑いあり、事件中にディンキー配下の個体名コナンに殺害され死亡
・本名:葛城 遊馬 通称名:バジリスク
スネイルドラゴン主要幹部、実働戦闘部隊構成員との確認あり 傷害・傷害致死で前科あり、現在東京拘置所に収容中
・本名:不明、通称名:ジズ
スネイルドラゴン主要幹部、女性、実動戦闘部隊構成員、殺人事件5件で関与、重要参考人として手配中、現在東京拘置所に収容中
補足:ディンキー一派の日本国内上陸に協力加担。しかし、協力関係は事前により破綻しておりディンキー一派の暴走により上陸作戦支援そのものは実効果をあげていない。
2:ディンキー・アンカーソン一派
・氏名:ディンキー=アンカーソン(事件当時すでに死亡)
年齢………没年不明により不明
国籍………イギリス
出身地……北アイルランド北部
経歴概略…元IRA下部組織メンバー
特A級国際指名手配犯
逮捕歴有り
注意事項…アンドロイドに関する特殊技能有り
武装アンドロイドを数体所有
補足:事件当時、ディンキーはすでに3年前に死亡していたと推測されている。事件現場に参加していたのは“ネクロイド”と呼称される死者再生型のダミーアンドロイドである。
(ディンキーについての情報はICPOの国際データバンクより提供)
*共犯(人間以外)
1:ディンキー・アンカーソン一派
・個体名:ジュリア
ハーグ軍事条約により禁止され廃棄処分されたはずのモデル・ノスフェラトスと呼ばれる大量殺戮モデルの残存体、極めて頑強であり生存性が異常に高い。
南本牧からの逃走案件にて目撃証言あり。
第4階層にて英国科学アカデミー来賓メンバー(以後英国アカデミーメンバーとする)を襲撃、警護役のSP数名を殺害後、第6号機フィール(以後フィールとする)を破壊し、ビル屋外へと投棄している。
さらに、避難した英国アカデミーメンバーを追跡するも、武装警官部隊(以下、盤古)・盤古東京大隊の妻木小隊の隊員により一部損壊させられ、さらに英国アカデミーメンバーの一人のマーク・カレル博士の犠牲的行為によりさらに破壊。フィールにより完全破壊されて機能停止している。
・個体名:アンジェ
超精密な金属系マイクロマシンによる特殊毛髪を保有、
マイクロ波を操作可能、超高速機動型。
南本牧からの逃走案件では目撃はされていないが、当該機体の有する機能と同じ、電磁波兵器の使用が確認されている。
第4ブロック階層にて盤古隊員への襲撃殺害事件を引き起こした後、フィールと戦闘状態に突入し、フィールにより破壊される。その際、個体名ローラの逃走を幇助している。
・個体名:マリー
軍用のハイパーヒートポンプを内臓。高熱を操作できる。ステルス偽装能力あり。
南本牧からの逃走案件では未確認。第4ブロック階層にて盤古隊員への襲撃殺害事件を引き起こした後、第1号機アトラス(以後、アトラスとする)により破壊される。
・個体名:ローラ
光を操作し攻撃したとの証言あり原理等不明。高速機動型
南本牧からの逃走案件では未確認。第4ブロック階層にて盤古隊員への襲撃殺害事件を引き起こした後、フィールと交戦し敗北。その後個体名アンジェの幇助により逃走、現在追跡中
・個体名:ガルディノ
電脳処理特化型、極めて優秀なハッキング機能を持つ。
遠隔装型のボディを有し、本体はコンピュータネット上に分散して存在する電子生命体〔分散意識体と呼称される〕
南本牧からの逃走案件では、埠頭設備のハッキングや不法使用、さらには逃走車両の無人操縦などが行われているが、当該期待によるものと推測される。
テロ案件発生以前から有明1000mビルの管理システム全体に分散された形で潜伏していたとと思われ、警察やビル管理会社による綿密な管理やメンテナンスを掻い潜り、今回のテロ案件の端緒となる大規模ハッキング案件を発生させている。
その後、遠隔操作ボディ、電子生命体本体、ともに第4号機ディアリオ(以後、ディアリオとする)により破壊される。
・個体名:コナン
和風の剣術家の意匠を有し、日本刀に酷似する刀剣を使用する近接戦闘型。極めて高い殺害能力を有する。
第3号機センチュリー(以後、センチュリーとする)と2度に渡り交戦し、南本牧埠頭における初回の交戦はセンチュリー側が負傷し逮捕失敗、第4ブロック階層における襲撃行為ののち2回目の交戦においてセンチュリー側がコナンの破壊に成功している。
・個体名:ベルトコーネ
徒手格闘による白兵格闘戦闘特化型の男性型戦闘アンドロイド。
本案件における最大の障害となる。
海外の犯罪事案記録には、暴走して大規模な人的被害を生み出したとの記録が確認されている。
南本牧の事案においてアトラスと交戦となり相打ちとなり逃亡、有明1000mビルの第4ブロック階層への突入を試みたアトラスとセンチュリーを妨害、さらに第4ブロック階層内部でアトラスと交戦となり一度はアトラスにより拘束されるも、暴走を引き起こし、アトラス以下センチュリー、フィールを撃破し、第5号機エリオット(以後、エリオットとする)の攻撃を振り切り再度逃走、ディンキー・アンカーソン他1名の潜伏していた第5ブロック階層において再度、アトラス、センチュリー、エリオットと交戦し、アトラスとセンチュリーを破壊、エリオットを心理的ショックにより行動不能にまで追い込む。
その後、現場研修中、独断行動をとっていた第7号機グラウザー(以後、グラウザーとする)と交戦となり、これにディアリオが遠隔で支援して、これを撃破し、行動不能な状態にまで破壊された。これにより現在厳重な拘束状態を施されたうえで東京拘置所付属施設の犯罪性アンドロイド拘置施設にて厳重管理されている。
・個体名:メリッサ
事前情報ではメイド風の意匠を施された介護用アンドロイドであり、ディンキーの身辺介護役をしている存在だと想定されていた。
しかし、有明の案件でのベルトコーネなどのディンキー配下のアンドロイドの言動や目撃情報から、ディンキーの介護役ではない疑いが浮上し、さらにディアリオのネット調査により判明した情報より、メリッサが『ネクロイド・テクノロジー』と呼ばれる死亡者の記憶情報の再生技術を保有していると判明し、さらにディンキー本人が3年前に死亡していたとの未確認情報が提供された。
これらの事実から、メリッサはディンキーの介護役ではなく、ディンキー本人を偽装したダミーアンドロイドの管理役である可能性が浮上してきた。
その後、第5ブロック階層にて遭遇しグラウザーとベルトコーネの戦闘中に逃走し、第5ブロック階層から最上階屋上へと抜ける作業用通路にてフィールにより拘束され身柄を確保された。しかしながら、メリッサの機体には証拠隠滅用の自燃機能が施されており、中枢部も含めて解析困難な状態にまで破壊されている。
なお、ディアリオによる尋問から本人からの証言を引き出しており幾つかの重要情報が得られている。
メリッサは本来は、ロシアの人体生理学者であるユーリ・カザロフ博士の介護用のメイドアンドロイドであり、ロシア国内のアンドロイドの機体登録リストにも登録情報が確認されている。しかし、詳細不明の第三者によりユーリ・カザロフ博士と共に拉致され、メリッサのその頭脳内にカザロフ博士の記憶が移植され、ネクロイド・テクノロジーを取り扱う役割を与えられていた事が判明した。
さらに、死亡寸前であったディンキーがその第三者により保護された事で、メリッサにはディンキーのネクロイド化とその後のメンテナンスの役割が与えられていた事が本人証言から判明している。
メリッサ本人の証言から推測であるが、今回の有明1000mビルでの英国来賓襲撃計画は、メリッサ本人が計画したものであり、有明1000mビルのブロック構造を逆利用し、上層階にディンキーとディンキー配下の武装アンドロイドを閉じ込め、日本の警察勢力により掃討させ、自滅を狙ったものであると考えられている。
なお、ディンキーを保護し、メリッサとカザロフ博士を拉致し、メリッサを改造した、詳細不明の第三者であるが、ディンキーが生前協力関係にあった、中近東からアフリカ全域、中南米などで活動しているイスラム極右系組織の『ガサク』では無いかと推測されるが、これについては証拠となる情報が少なく推測の域を出ないため捜査情報として公開することは差し控えるべきと考える。
現在、メリッサの残骸は回収され、警視庁科捜研にて解析処理が行われているが、中枢頭脳部まで焼損しているため解析と情報の再生は困難と見られている。
2:正体不明
・個体名:クラウン
第4ブロック階層から第5ブロック階層へと移動中のディアリオが、その途中のメンテナンス通路において遭遇した機体であり、生身の人間なのかアンドロイドなのか一切が不明である。逃走していた個体名ローラの身柄を所有しており、詳細不明の手段にてステルス化偽装を行い、ディアリオの追跡から逃走している。
現在、東京都下の警視庁管轄内で捜査対象として手配中である。
【案件の推移詳細】
1:南本牧ディンキー・アンカーソン一派逃走事件
西暦2039年10月3日、午前0時**分
神奈川県南本牧埠頭先進化コンテナヤード区画内にて、警視庁指定広域武装暴走族スネイルドラゴン構成員(以下、スネイルドラゴンとする)による、内部粛清事件が発生、特攻装警アトラスとセンチュリーが、ディアリオの支援を受けて現行犯による静圧を目的として突入する。
その後スネイルドラゴン構成員数十名と交戦となり、アトラスの高空からの突入による武装支援を加えて、一般戦闘要員と幹部2名を撃破し拘束に成功。
しかしながら、事件首謀者の黒竜の逃走をアトラスとセンチュリーが追跡するも、国際線貨物コンテナに潜伏していたディンキー一派により妨害され、黒竜はコナンにより殺害される。
ディンキー一派の逃走支援のためコナンとベルトコーネが残留し、コナンはセンチュリーと、ベルトコーネはアトラスと交戦状態となる。
さらに、逃走に成功したディンキー一派を、フィールとディアリオが追跡を行い、逃走を妨害するも、東京湾内の海中にコンテナごと突入すると言う手段で逃走に成功する。
ほぼ同時刻、コナンはセンチュリーを撃破し逃走、ベルトコーネはアトラスと相打ちになり逃走には成功する。
2:有明1000mビル襲撃事件
西暦2039年11月3日、午後0時丁度。
有明1000mビル第4ブロックにおいて事件発生。
同時刻、同地点において、国際未来世界構想サミット開催中。
同サミット関係者に多数の被害・多数の被害者が発生した。
同時刻、N60フラーレン系爆薬により同ビル第4ブロック附近大型エレベータ破壊。
同時刻、同ビルにおいてビル施設管理システムに異常発生。外部より混入されたコンピューターウィルスによってビル内の全機能が停止する。(後にディンキー一派のガルディノの意識構成体がビル全域に分散する形でビルシステムを掌握していたことが判明)
これにより、同ビル第4ブロックが物理的に孤立した。
事件発生直後、サミット警備本部長・近衛仁一警備一課長以下、警備本部関係者により、事件解決に向けて対策本部が設置されサミット警備要員は全てこれに編入され、警視庁情報機動隊、全特攻装警もこれに合流。
その後、武装警官部隊盤古・神奈川方面より2小隊編成で突入救援部隊到着。救援活動開始するもビル内より放たれた大型雷球によりヘリ2基が撃墜され突入は断念される。
代替処置として、情報機動隊隊長鏡石警部補の発案により、アトラス、センチュリーを、1000mビルの外部構造物を利用して、ビル内へ突入させる事に成功、同2名の特攻装警による救援活動が開始される。
これ以後、警備本部では、ビル内からの連絡を待ちつつ第3ブロック以下の事件被害者の救助と現場警備に専念する。
同ビル第4ブロックにおいては、大規模な破壊活動・テロ行為が発生。同ビル内においてサミット警備にあたっていた武装警官部隊盤古・東京方面大隊に多数の死傷者が発生した。
また、同ビル第4ブロック内には、ディアリオ、フィールが、サミット関連の任務により行動中であったため、両名とも本事件に巻き込まれる。
なお、第6号機フィールは本事件の初期段階において、ディンキー一派のジュリアにより攻撃を加えられ著しく破壊されビル外へと投棄されている。これにより第2科学警察研究所に臨時の救援を要請し、これを受けた。
同ビル第4ブロックでは、ディンキー一派のジュリア以下、アンジェ、マリー、ローラが、サミット来賓への危害行為や、盤古隊員への攻撃行為を行う。
同じ頃、第1ブロック階層内にて、グラウザーが行方不明となる案件がグラウザーの引率役である朝研一巡査部長より報告される。
ビル外からの突入を試みたアトラスとセンチュリーは、ベルトコーネによる妨害を受けつつも、突入に成功し、まずはアトラスがディアリオと合流し、アトラスはアンジェを破壊、ディアリオはビルシステムを掌握していたガルディノの遠隔操作機体を破壊しビルシステムの一部の奪回に成功している。
さらに現場到着した第2科警研の技術者によりフィールが修復され現場任務に復帰、第4ブロック階層へと突入する。そののち、マリーとローラと交戦となりマリーを撃破するも、ローラの逃走を許している。
この後、ビルシステム内に残留していたガルディノの構成意識体は盤古隊員の標準武装タイプと重武装タイプの装甲スーツの動力システムをハッキングし掌握、特攻装警に向け攻撃を強要させる案件が発生する。
同じ頃、エリオットが上空からの投下による突入に成功し、ガルディノに掌握された盤古隊員と交戦状態に突入しこれの無効化に成功する。さらにディアリオが鏡石隊長の許可を得て国内ネットワークへの大規模介入を行い情報ネットワーク上からのガルディノの構成要素である意識体の捕捉と削除に成功する。
さらに、センチュリーがコナンと交戦しこれを撃破。アトラスがベルトコーネと交戦し逮捕拘束に成功する。しかし、心理的理由から暴走をしたベルトコーネが拘束を破壊し、盤古隊員と特攻装警に反撃、アトラスとセンチュリーとフィールを撃破し、エリオットの攻撃を振り切り再度の逃走に成功している。
同じ頃、地上の警備本部に特定の市民からディンキー・アンカーソンに関してディンキー本人がすでに死亡している可能性があるとの情報提供がなされる。後にグラウザーとエリオットにより、ディンキーがダミーアンドロイドであった事が確認され、この情報は事実であった可能性が高い。
同じ頃、英国アカデミーメンバーのチャールズ・ガドニック教授がディンキー一派により拉致される案件が発生する。これの救出とディンキー本人の逮捕を目的として、特攻装警が第5ブロック階層へと移動する。特攻装警3体が第5ブロック階層へと移動中、行方不明となっていたグラウザーが第5ブロック階層に到達、ガドニック教授の保護に成功し、さらに朝巡査部長がグラウザーを捕捉、ガドニック教授の救助に成功している。
その後、再度ベルトコーネと遭遇、アトラスとセンチュリーとエリオットがこれと交戦するも、エリオットの攻撃を逆利用されアトラスとセンチュリーが破壊され、エリオットも心理的ショックから一時行動不能となる。
グラウザーのみが行動可能な状態でベルトコーネと交戦となり当初苦戦するも、ディアリオが遠隔で支援し戦闘を補助、これによりベルトコーネを撃破し機能停止させることに成功し再度拘束を行う。
ベルトコーネが機能停止したことでディンキーのダミーアンドロイドは人格機能が機能不全に陥る。このためエリオットの指導のもとグラウザーの射撃により機能停止処置が施される。
残るメリッサは逃亡を試み有明1000mビルの最上階屋上へと逃走するが、その途上のメンテナンス通路にてフィールとディアリオの挟撃を受けフィールにより拘束される。その後ディアリオにより尋問を受け幾つかの重要情報の証言を受けるも、何らかの理由により自燃機能により証拠隠滅が図られメリッサの機体は炎上消失している。
これにより事件は、主犯の詳細が不明のままローラを除く犯罪に使用されたアンドロイドの破壊と排除と言う形で発生より2時間と14分を経過して終息した。
事件後、サミット来賓は全員が生存が確認されており一部軽症者も確認されたが生命に異常は見られてない。ただし、英国アカデミーのマーク・カレル博士はジュリアとの戦闘行為により重症をおっており事件後、東京都内の医療施設に収容されている。
また、ディンキー一派の内、逃走したローラと、身柄を拘束されたベルトコーネを除く残り7体のアンドロイドの残骸は現在、警視庁科捜研にて解析作業が進められている。
本事案における問題点であるディンキー一派の被疑者集団の侵入経路だが、同ビルの第5ブロックの建築用資材の運搬コンテナに紛れて侵入したものと判明した。また、サミット警備を優先させ建築工事を一ヶ月間中断させたことが、逆にディンキー一派の潜伏を容易にさせていたことが判明した。
本事案において、ディンキー本人が未だ生存しており生身の人間であるという前提条件の元に警備体制が施行されており、実際にはすでに死亡しており擬装用のダミーアンドロイドが〝搬入〟されると言う形で事実が推移している。本事案はその隙を突かれた形で被疑者集団のサミット会場への潜入を許す結果となった。
昨今のアンドロイド技術は日進月歩を続けており、さらには世界各国の軍事情勢の不安定化と共に重要な極秘軍事技術が地下流出しているケースも本案件の他にも散見されている。そのため、今後の犯罪事案への対応においては、既存の犯罪案件情報のデータにとらわれるこなく、あらゆる技術的可能性を想定して対策にあたることを強く求めるものである。
附則事項として、かねてより懸案であった特攻装警第7号機グラウザーの成長状態が未発達であった件であるが、今回の事案へのグラウザー独自の行動と対応により、急速な成長が見られたことで、今後、正規の警察職員として任務にあたらせることが可能となった事を記録しておく。
報告者私見:
今回の事件には、武装警官部隊・盤古の多大な犠牲と、特攻装警の献身的行為により解決した。今後、彼らの活動においてはさらなる活躍を期待すると共に、警察他機関においても、よりよい協力応援体勢の充実を望むものである。また、今回の事件現場である有明1000mビルの様に、大規模建築物が容易に犯罪者によって不当占拠され物理的に侵入困難になる事は、同種の事件の再発を防ぐ意味でも極めて望ましくない。施設内のコンピュータシステムのセキュリティー機能の向上や各種災害時における避難経路・連絡手段の充実などを各方面に求めるものである。
なお、本事件において殉職された武装警官部隊・盤古の隊員及び警察官の方々のご冥福を心より祈念する物である。
以上
文責・報告:警備1課課長・近衛 仁一
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
聖女戦士ピュアレディー
ピュア
大衆娯楽
近未来の日本!
汚染物質が突然変異でモンスター化し、人類に襲いかかる事件が多発していた。
そんな敵に立ち向かう為に開発されたピュアスーツ(スリングショット水着とほぼ同じ)を身にまとい、聖水(オシッコ)で戦う美女達がいた!
その名を聖女戦士 ピュアレディー‼︎
出て行けと言って、本当に私が出ていくなんて思ってもいなかった??
新野乃花(大舟)
恋愛
ガランとセシリアは婚約関係にあったものの、ガランはセシリアに対して最初から冷遇的な態度をとり続けていた。ある日の事、ガランは自身の機嫌を損ねたからか、セシリアに対していなくなっても困らないといった言葉を発する。…それをきっかけにしてセシリアはガランの前から失踪してしまうこととなるのだが、ガランはその事をあまり気にしてはいなかった。しかし後に貴族会はセシリアの味方をすると表明、じわじわとガランの立場は苦しいものとなっていくこととなり…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる