どうやら婚約者が私と婚約したくなかったようなので婚約解消させて頂きます。後、うちを金蔓にしようとした事はゆるしません

しげむろ ゆうき

文字の大きさ
上 下
6 / 20

6

しおりを挟む

アルバン・ダナトフside.

 リーシュとは子供の頃からの付き合いだったが、彼女はいつも僕の味方だった。彼女は僕が失敗して逃げ出しても、アルバンは悪くないといつも励ましてくれたのだ。
 だから僕も彼女が失敗したり逃げ出しても同じように励ました。おかげで僕達の仲はどんどん深まっていき、自然と愛し合うようになった。
 しかし、学院に入るとそんな僕達の行動を注意する者が現れたのだ。勉強や常識を学べと。別に僕達は食べるものだって住む場所だって着るものだってある。全て揃っているのに、なんで勉強や習い事をしなければならないのか疑問だった。
 だから、二人してさぼったり逃げたりしたのだが、ある日、親の経営が上手くいかなくなり物を買う事すら大変になったのだ。もちろんリーシュに強請ることはできなかった。
 なにせ、リーシュの家も経営が傾いているからだ。そんな時に追い討ちかけるように言われたのだ。このままだと平民か修道院行きだぞと……
 流石に僕達だって両方がどういう暮らしか知ってるので焦った。しかも、両親が弟の方を優遇するようになった。リーシュの家もだ。
 このままだと本当に平民か修道院行きになってしまうと思ったから、おとなしく僕達は勉強をする事にした。
 すると生徒会の手伝いまでさせられるようになったのだ。だが、手伝いをさせられているうちにいつの間にか勉強も生徒会の仕事も楽しくなっていた。
 しかも、友人もでき始めた。
 だが、リーシュは違っていつも一人だった。だから、僕達は誰にもバレないよう隠れながら会うようにした。だってリーシュには僕しかいないから。

 そんな時、本格的に領地経営が回らなくなった。だが、両親には秘策があったらしい。しかも僕にしかできないこと、あるパーティーで一人の令嬢フィーネと仲を深めることだった。まあ、乗り気じゃなかったが平民になりたくない僕は両親に言われた通り頑張った。おかげでフィーネは僕に惚れて両親の狙い通り婚約者になった。
 すると両親は今度はフィーネを通して融資をしてもらえと言ってきたのだ。さすがにこれは断られるだろうと思ったがフィーネに聞いたら簡単に融資をしてもらえたのだ。
 僕は驚いてしまったがそれ以上に良い気分だった。両親からダナトフ子爵領はやっていける。平民に落ちる心配はない。お前は凄いと褒めちぎられたから。
 しかも、フィーネと会ううちに彼女の良さもわかってきて会うのが楽しくなってしまった。まあ、肌に触れる行為とかは許されなくてかなりストレスが溜まったが……
 そんな時はリーシュである。彼女は沢山触らせてくれるのだ。だからフィーネを触れない分触らせてもらおうと思ったのだが少し距離を置いていた所為でリーシュはかなり怒って大変だったのだ。
 まあ、そんなリーシュも堪らなかったが。だから、リーシュに言ったのだ。ダナトフ子爵領が上手くいけばリーシュにだってまた色々とものを買ってあげられるし、僕がダナトフ子爵かホイット子爵のどっちかになればフィーネを追い出してリーシュを妻にできるよと。
 すると僕の話を聞いたリーシュはとても喜んでくれた。もちろん、僕はフィーネも手放したくなかったので後で三人で仲良くやれる案を考えるつもりだった。
 正直、僕の未来は明る過ぎて最高の気分だった。そんなある日、僕は少し厄介な質問をされたのだ。それは第三王子にフィーネのことをどう思っているかだ。
 この人は僕が言ったことを歪めてリーシュに話して仲違いさせようとするから、それを見越してはっきり言ってやったのだ。

「地味ですね……。やっぱり女は華やかでないと。なんで僕がフィーネなんかと婚約しなきゃいけなかったんだろう……」

 ざまあみろ。
 これなら、リーシュには悪く言えないだろうと。すると、第三王子はニヤッと笑うと金蔓だからだろ?と、聞いてきたのだ。
 正直、心外である。だから、僕はこの質問には本当の事を答えるとにしたのだ。

「ふふ、確かに金蔓ですけど僕のじゃなくてうちの親のですよ。全く、うちの親は借金ばかり作って経営能力がないんですよ」

 これで、僕は悪くないってわかったろう。第三王子は満足したように頷いた。
 これで問題もなくなったと判断した僕はそろそろあることを実行しようとした。リーシュとフィーネの仲を取り持つことである。しかし、いざやろうとしたらフィーネが寝込んだと手紙が来たのだ。
 しかも、面会拒否である。確かにフィーネには結婚するまで肌に触れる事も部屋に入るのも許されていない。けど、少しぐらい会わせてくれたって良いじゃないか。
 おかげでリーシュに沢山愚痴ったらいっぱい慰めてくれたのだ。
 もちろん僕は紳士だから、お返しに服を買ってあげたけどね。だけど、ちょっと愚痴り過ぎたらしい。フィーネが学院に来た時、リーシュが僕の為にフィーネに注意したのだ。
 おかげで少しだけ険悪な感じになってしまったが、まあ、僕を取り合ってる感じだったから内心は気分良かったけどね。
 だから、今日は僕のために注意してくれたリーシュにたっぷりと時間を使って上げることにしたのだ。
 もちろん、次はフィーネである。
 この休憩所の近くに美味しい紅茶が飲める場所があるのだ。そこに連れて行ってあげよう。
 全く、二人に愛されるって大変だなあ。僕はリーシュを抱きしめながらつくづくそう思うのだった。
しおりを挟む
感想 53

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜

平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。 だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。 流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!? 魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。 そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…? 完結済全6話

恋人が聖女のものになりました

キムラましゅろう
恋愛
「どうして?あんなにお願いしたのに……」 聖騎士の叙任式で聖女の前に跪く恋人ライルの姿に愕然とする主人公ユラル。 それは彼が『聖女の騎士(もの)』になったという証でもあった。 聖女が持つその神聖力によって、徐々に聖女の虜となってゆくように定められた聖騎士たち。 多くの聖騎士達の妻が、恋人が、婚約者が自分を省みなくなった相手を想い、ハンカチを涙で濡らしてきたのだ。 ライルが聖女の騎士になってしまった以上、ユラルもその女性たちの仲間入りをする事となってしまうのか……? 慢性誤字脱字病患者が執筆するお話です。 従って誤字脱字が多く見られ、ご自身で脳内変換して頂く必要がございます。予めご了承下さいませ。 完全ご都合主義、ノーリアリティ、ノークオリティのお話となります。 菩薩の如き広いお心でお読みくださいませ。 小説家になろうさんでも投稿します。

あなたなんて大嫌い

みおな
恋愛
 私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。  そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。  そうですか。 私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。  私はあなたのお財布ではありません。 あなたなんて大嫌い。

旦那様、離縁の申し出承りますわ

ブラウン
恋愛
「すまない、私はクララと生涯を共に生きていきたい。離縁してくれ」 大富豪 伯爵令嬢のケイトリン。 領地が災害に遭い、若くして侯爵当主なったロイドを幼少の頃より思いを寄せていたケイトリン。ロイド様を助けるため、性急な結婚を敢行。その為、旦那様は平民の女性に癒しを求めてしまった。この国はルメニエール信仰。一夫一妻。婚姻前の男女の行為禁止、婚姻中の不貞行為禁止の厳しい規律がある。旦那様は平民の女性と結婚したいがため、ケイトリンンに離縁を申し出てきた。 旦那様を愛しているがため、旦那様の領地のために、身を粉にして働いてきたケイトリン。 その後、階段から足を踏み外し、前世の記憶を思い出した私。 離縁に応じましょう!未練なし!どうぞ愛する方と結婚し末永くお幸せに! *女性軽視の言葉が一部あります(すみません)

溺愛されていると信じておりました──が。もう、どうでもいいです。

ふまさ
恋愛
 いつものように屋敷まで迎えにきてくれた、幼馴染みであり、婚約者でもある伯爵令息──ミックに、フィオナが微笑む。 「おはよう、ミック。毎朝迎えに来なくても、学園ですぐに会えるのに」 「駄目だよ。もし学園に向かう途中できみに何かあったら、ぼくは悔やんでも悔やみきれない。傍にいれば、いつでも守ってあげられるからね」  ミックがフィオナを抱き締める。それはそれは、愛おしそうに。その様子に、フィオナの両親が見守るように穏やかに笑う。  ──対して。  傍に控える使用人たちに、笑顔はなかった。

私のことはお気になさらず

みおな
恋愛
 侯爵令嬢のティアは、婚約者である公爵家の嫡男ケレスが幼馴染である伯爵令嬢と今日も仲睦まじくしているのを見て決意した。  そんなに彼女が好きなのなら、お二人が婚約すればよろしいのよ。  私のことはお気になさらず。

もう、愛はいりませんから

さくたろう
恋愛
 ローザリア王国公爵令嬢ルクレティア・フォルセティに、ある日突然、未来の記憶が蘇った。  王子リーヴァイの愛する人を殺害しようとした罪により投獄され、兄に差し出された毒を煽り死んだ記憶だ。それが未来の出来事だと確信したルクレティアは、そんな未来に怯えるが、その記憶のおかしさに気がつき、謎を探ることにする。そうしてやがて、ある人のひたむきな愛を知ることになる。

さようなら、わたくしの騎士様

夜桜
恋愛
騎士様からの突然の『さようなら』(婚約破棄)に辺境伯令嬢クリスは微笑んだ。 その時を待っていたのだ。 クリスは知っていた。 騎士ローウェルは裏切ると。 だから逆に『さようなら』を言い渡した。倍返しで。

処理中です...