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艦隊決戦
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戦艦 大和艦橋
向かってくる敵艦に対して取舵をとり、迎撃姿勢をとる。
このままいけば日本海海戦のように丁字戦法で迎撃出来る。
しかし、やはり前の主砲のみしか使えない不利な状況を敵は放置しなかった。
敵も同様に舵をとってきた。
しかし、敵艦隊は射程内に入った。
我々の目標はキング・ジョージ5世。
マレー沖で沈めたプリンス・オブ・ウェールズの姉妹艦である。
・・・同じ運命を辿らせてやる。
「試射はじめ。」
砲術長の声で46cm砲から火が上がる。
爆風がここまで来ている。
爆音も恐ろしいほど大きい。
他の艦からも我々に続くように試射が開始される。
一撃で敵の位置を把握し、次では敵に当てる。
大きな水柱が上がる。
敵艦のかなり前方である。
その偏差が修正されて敵艦に砲が向く。
「撃ち方始め!」
再び46cmの砲弾が飛んで行く。
艦が大きく揺れる。
46cm砲9門の砲撃である。
ただ、それでも近くにいれば間違いなく砲弾と共に飛ばされるのは確実である。
そして我々に砲弾の雨が降り注ぐ。
少し艦が艦が揺れる。
「どうした?」
まだ第2射は撃っていないはずだ。
「中央、舷側に被弾。されど損害軽微。」
電話兵の知らせが来る。
「命中した・・・のか?」
先ほどの我々の砲撃ほどの衝撃ではない。
しかし、何回も撃たれればわからない。
第1射では命中しなかったが、散布界の中に敵戦艦を捉えた。
つまり挟叉の状態である。
このまま撃ち続ければ理論上いつか当たるはずだ。
そして、そんなことを考えていると直撃弾を食らったような衝撃に襲われる。
「さあ、当たれぇ!」
数秒後、紅い水柱と大きな焔が上がる。
「敵艦に命中。敵艦炎上」
そりゃ見ればわかる。
次の目標は・・・。
「目標 敵巡洋戦艦レナウン!」
そう言った時上からは砲弾の雨が降ってきた。
「おお、おお。」
先ほどより数倍強い衝撃とガキンという鈍い音に襲われる。
「被害を報告せよ。」
「艦橋に命中。跳弾した模様。」
流石500ミリの装甲だ。
理論上、この大和の主砲ですら貫通は不可能なのだ。
しかし、命中した衝撃で多くの者が怪我を負っているが、戦闘に支障をきたすほど
の怪我をした者は少ない。
恐らく、今敵の目標はほぼ我々に向いているだろう。
水雷戦隊への注意は最小限になっている。
そして敵の大量の補助艦は間もなく到着する艦攻隊がやってくれる。
大幅に減少するはずだ。
戦艦もそうだが、数の多い水雷戦隊に包囲されれば、一気に不利になるだろうし、
数に物を言わせて後方に襲撃をかける可能性がある。
まあ、その時には後方の機動部隊とイタリア艦隊が対応してくれるだろう。
からと言って火種を放っておく訳にはいかない。
戦艦への攻撃もしてほしいものだが、対空砲が大量にある戦艦に殴り込みをかける
のは危険な為、現在は厳禁されている。
ようするに間もなく到着する友軍航空隊が到着しても今相手にしている英国戦艦4
隻は我々がやらなければいけなくなった。
まあ、我々としても獲物は残してほしいのでありがたくもある。
数が劣る水雷戦隊からしたら助かるだろうが。
彼らは酸素魚雷で劣勢な状態でも善戦しているが被害は明らかに増えてきている。
航空隊は彼らにとって助け舟となるだろう。
そんなことを考えていると完全に我々の分担となった敵戦艦に向けての砲撃に心臓
が揺れる。
「おう・・・」
思考が中断してしまったが、それでいい。
とにかく遥か前にいる敵戦艦の攻撃に集中するだけでいい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
淵田攻撃総隊長機
また1機と連絡が切れる。
だが、何故だろう悲しさはない。
自分でもおかしいと感じるほど冷静だ。
しかしまだ飛んでいる機体は残っている。
攻撃差分は決まっており、詳しい命令は各小隊長に任せている
あとは彼らに任せるしかない。
そして、最初の攻撃隊から命中の報告があがる。
今頃、艦隊の一角から火が上がっているだろう。
間髪を容れず、次の攻撃隊の攻撃が開始される。
実際に自分の目で見てみたいが、指揮することに専念する為、彩雲に搭乗し、後方
から全体を指揮している。
前線で指揮をするよりも後方で指揮をした方が敵の攻撃が来る可能性が低いので、
効率が良いのだが。
そして、命中報告。
想像する。
そこにあるはずの駆逐艦、巡洋艦から火の手が上がる。
熱のこもった声が響くが、自分はそれに対して感情は抱かない。
奮龍ではなく、母機を狙われている為、被害は確実に増えている。
だが、今も急降下爆撃による攻撃を行っていれば被害は今よりも更に増えているだ
ろう。
開発が指示されたときには反対者も多かった。
敵に対して臆病に後方から攻撃してどうすると。
だが、開戦してからその声は消えつつある。
奮龍が実際に活躍し始め、その割に被弾機が少ないのだ。
99式艦爆は陸軍への譲渡が決まり、海軍での運用は終わる。
「一次攻撃隊の攻撃終了。二次攻撃隊の攻撃に移れ。」
この命令によって、魚雷を抱いた二次攻撃隊の攻撃が開始される。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
村田飛行隊長機
我々の攻撃目標は既にほとんどが炎上している。
速度が明らかに鈍り、中には停止している艦もある。
瀕死といったところだろう。
敵に不足ありといったところだが、しょうがない。
炎上している艦を完全に静める。
降下を始め、敵艦の予測進路に向かって、飛ぶ。
敵の対空砲火をくぐり抜ける。
ひと時も油断できない。
だが自慢の足を奪われ、対空攻撃能力も失いつつある艦艇の運命は決まっている。
「魚雷投下!」
ほぼ偏差を取らず、魚雷を投下する。
敵艦は回避することも出来ず、帝國海軍の誇る酸素魚雷により大きな水柱が上がる。
その後の様子を見たいが、撃沈は確実だろう。
1日も持つまい。
そんなことを思いながら母艦に一路帰艦する。
向かってくる敵艦に対して取舵をとり、迎撃姿勢をとる。
このままいけば日本海海戦のように丁字戦法で迎撃出来る。
しかし、やはり前の主砲のみしか使えない不利な状況を敵は放置しなかった。
敵も同様に舵をとってきた。
しかし、敵艦隊は射程内に入った。
我々の目標はキング・ジョージ5世。
マレー沖で沈めたプリンス・オブ・ウェールズの姉妹艦である。
・・・同じ運命を辿らせてやる。
「試射はじめ。」
砲術長の声で46cm砲から火が上がる。
爆風がここまで来ている。
爆音も恐ろしいほど大きい。
他の艦からも我々に続くように試射が開始される。
一撃で敵の位置を把握し、次では敵に当てる。
大きな水柱が上がる。
敵艦のかなり前方である。
その偏差が修正されて敵艦に砲が向く。
「撃ち方始め!」
再び46cmの砲弾が飛んで行く。
艦が大きく揺れる。
46cm砲9門の砲撃である。
ただ、それでも近くにいれば間違いなく砲弾と共に飛ばされるのは確実である。
そして我々に砲弾の雨が降り注ぐ。
少し艦が艦が揺れる。
「どうした?」
まだ第2射は撃っていないはずだ。
「中央、舷側に被弾。されど損害軽微。」
電話兵の知らせが来る。
「命中した・・・のか?」
先ほどの我々の砲撃ほどの衝撃ではない。
しかし、何回も撃たれればわからない。
第1射では命中しなかったが、散布界の中に敵戦艦を捉えた。
つまり挟叉の状態である。
このまま撃ち続ければ理論上いつか当たるはずだ。
そして、そんなことを考えていると直撃弾を食らったような衝撃に襲われる。
「さあ、当たれぇ!」
数秒後、紅い水柱と大きな焔が上がる。
「敵艦に命中。敵艦炎上」
そりゃ見ればわかる。
次の目標は・・・。
「目標 敵巡洋戦艦レナウン!」
そう言った時上からは砲弾の雨が降ってきた。
「おお、おお。」
先ほどより数倍強い衝撃とガキンという鈍い音に襲われる。
「被害を報告せよ。」
「艦橋に命中。跳弾した模様。」
流石500ミリの装甲だ。
理論上、この大和の主砲ですら貫通は不可能なのだ。
しかし、命中した衝撃で多くの者が怪我を負っているが、戦闘に支障をきたすほど
の怪我をした者は少ない。
恐らく、今敵の目標はほぼ我々に向いているだろう。
水雷戦隊への注意は最小限になっている。
そして敵の大量の補助艦は間もなく到着する艦攻隊がやってくれる。
大幅に減少するはずだ。
戦艦もそうだが、数の多い水雷戦隊に包囲されれば、一気に不利になるだろうし、
数に物を言わせて後方に襲撃をかける可能性がある。
まあ、その時には後方の機動部隊とイタリア艦隊が対応してくれるだろう。
からと言って火種を放っておく訳にはいかない。
戦艦への攻撃もしてほしいものだが、対空砲が大量にある戦艦に殴り込みをかける
のは危険な為、現在は厳禁されている。
ようするに間もなく到着する友軍航空隊が到着しても今相手にしている英国戦艦4
隻は我々がやらなければいけなくなった。
まあ、我々としても獲物は残してほしいのでありがたくもある。
数が劣る水雷戦隊からしたら助かるだろうが。
彼らは酸素魚雷で劣勢な状態でも善戦しているが被害は明らかに増えてきている。
航空隊は彼らにとって助け舟となるだろう。
そんなことを考えていると完全に我々の分担となった敵戦艦に向けての砲撃に心臓
が揺れる。
「おう・・・」
思考が中断してしまったが、それでいい。
とにかく遥か前にいる敵戦艦の攻撃に集中するだけでいい。
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淵田攻撃総隊長機
また1機と連絡が切れる。
だが、何故だろう悲しさはない。
自分でもおかしいと感じるほど冷静だ。
しかしまだ飛んでいる機体は残っている。
攻撃差分は決まっており、詳しい命令は各小隊長に任せている
あとは彼らに任せるしかない。
そして、最初の攻撃隊から命中の報告があがる。
今頃、艦隊の一角から火が上がっているだろう。
間髪を容れず、次の攻撃隊の攻撃が開始される。
実際に自分の目で見てみたいが、指揮することに専念する為、彩雲に搭乗し、後方
から全体を指揮している。
前線で指揮をするよりも後方で指揮をした方が敵の攻撃が来る可能性が低いので、
効率が良いのだが。
そして、命中報告。
想像する。
そこにあるはずの駆逐艦、巡洋艦から火の手が上がる。
熱のこもった声が響くが、自分はそれに対して感情は抱かない。
奮龍ではなく、母機を狙われている為、被害は確実に増えている。
だが、今も急降下爆撃による攻撃を行っていれば被害は今よりも更に増えているだ
ろう。
開発が指示されたときには反対者も多かった。
敵に対して臆病に後方から攻撃してどうすると。
だが、開戦してからその声は消えつつある。
奮龍が実際に活躍し始め、その割に被弾機が少ないのだ。
99式艦爆は陸軍への譲渡が決まり、海軍での運用は終わる。
「一次攻撃隊の攻撃終了。二次攻撃隊の攻撃に移れ。」
この命令によって、魚雷を抱いた二次攻撃隊の攻撃が開始される。
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村田飛行隊長機
我々の攻撃目標は既にほとんどが炎上している。
速度が明らかに鈍り、中には停止している艦もある。
瀕死といったところだろう。
敵に不足ありといったところだが、しょうがない。
炎上している艦を完全に静める。
降下を始め、敵艦の予測進路に向かって、飛ぶ。
敵の対空砲火をくぐり抜ける。
ひと時も油断できない。
だが自慢の足を奪われ、対空攻撃能力も失いつつある艦艇の運命は決まっている。
「魚雷投下!」
ほぼ偏差を取らず、魚雷を投下する。
敵艦は回避することも出来ず、帝國海軍の誇る酸素魚雷により大きな水柱が上がる。
その後の様子を見たいが、撃沈は確実だろう。
1日も持つまい。
そんなことを思いながら母艦に一路帰艦する。
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