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3 問いと答え
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四十九日も終わり、僕の周囲はひとまず落ち着いていた。ある日、突然刑事の吾川さんが訪ねてきて、玄関先で僕に頭を下げた時はびっくりした。
「すまん。許してくれ」
深々と身体を折り曲げて丁寧に謝る目の前の大人に向かって、僕は慌ててやめてくださいよ、言ったが吾川さんはなかなか顔を上げない。
「親父さんの捜査は打ち切られることになった。ちょっと大きなヤマができてな。俺もそっちに駆り出されるんだ」
「じゃあ、そのヤマっていうのが終われば……」
やっと顔を上げた吾川は、沈痛な面持ちを僕にまっすぐ向けた。
「おそらく捜査が再開されることはない。犯罪性ナシ、になっちまったんだ。あー、つまり親父さんと三浦正一郎は、今後自然死として扱われることになった」
「自然死って……」
「すまん! この通り! ホトケさんを解剖までしといて、このていたらく。まことに面目ない。許してくれ」
ここまで素直に謝罪されると、何も言えない。
「もういいですよ。それより、解剖した結果ってどうだったんですか?」
「解剖した結果、犯罪に繋がるようなものは何も出なかったんだ。おまけに病気もなし」
「いや、それはおかしいじゃないですか。実際死んでるのに」
「俺もそう思うよ。まあ、原因不明の突然死、ってのも世の中にないわけじゃないが、二人同時に同じ場所で、ってのはちょっと普通じゃない」
苦い顔つきで大きなため息を一つついた。吾川さんも納得しているわけではないらしい。
「悪いなあ。俺は飯豊志摩の捜索だけでも、続けるべきだっつったんだが……。犯罪性ナシになったもんでこっちも……」
志摩さんもまだ見つかっていない。僕のところにも連絡はきていなかった。犯罪であろうがなかろうが捜索は続けて欲しかったが、警察にも事情があるのだろう。
「……僕があまり疑われなかったのって、志摩さんが失踪したからですよね?」
事情聴取はされたが、犯人扱いはされなかった。どちらかというと、警察は僕に同情的だった気がする。
「ああ、確かにそれも理由の一つだよ。俺らはどっちかっていうと志摩を疑ってたからな」
吾川さんは、あっさり認めた。
「あの、自分で言うのも何なんですが、僕が犯人で親父と、三浦って人と、それから口封じのために志摩さんも殺した、って可能性もありますよね?」
「口封じなら、三人とも同時に殺せばいいじゃないか。どうして飯豊志摩を一旦家に返したんだ? あの日帰宅したのは、同居してる妹や近所の知り合いに確認は取れてるぞ。それに死体はどうしたんだ?」
「どこか、見つかりにくい場所に埋めた、とか」
「そんないい場所があるなら、宋宗と三浦もそこに埋めたらいいじゃないか」
確かにそうだ。自宅のガレージに、しかもシャッターを開けっぱなしにして放置しておくなんてマヌケすぎる。
「すまん。許してくれ」
深々と身体を折り曲げて丁寧に謝る目の前の大人に向かって、僕は慌ててやめてくださいよ、言ったが吾川さんはなかなか顔を上げない。
「親父さんの捜査は打ち切られることになった。ちょっと大きなヤマができてな。俺もそっちに駆り出されるんだ」
「じゃあ、そのヤマっていうのが終われば……」
やっと顔を上げた吾川は、沈痛な面持ちを僕にまっすぐ向けた。
「おそらく捜査が再開されることはない。犯罪性ナシ、になっちまったんだ。あー、つまり親父さんと三浦正一郎は、今後自然死として扱われることになった」
「自然死って……」
「すまん! この通り! ホトケさんを解剖までしといて、このていたらく。まことに面目ない。許してくれ」
ここまで素直に謝罪されると、何も言えない。
「もういいですよ。それより、解剖した結果ってどうだったんですか?」
「解剖した結果、犯罪に繋がるようなものは何も出なかったんだ。おまけに病気もなし」
「いや、それはおかしいじゃないですか。実際死んでるのに」
「俺もそう思うよ。まあ、原因不明の突然死、ってのも世の中にないわけじゃないが、二人同時に同じ場所で、ってのはちょっと普通じゃない」
苦い顔つきで大きなため息を一つついた。吾川さんも納得しているわけではないらしい。
「悪いなあ。俺は飯豊志摩の捜索だけでも、続けるべきだっつったんだが……。犯罪性ナシになったもんでこっちも……」
志摩さんもまだ見つかっていない。僕のところにも連絡はきていなかった。犯罪であろうがなかろうが捜索は続けて欲しかったが、警察にも事情があるのだろう。
「……僕があまり疑われなかったのって、志摩さんが失踪したからですよね?」
事情聴取はされたが、犯人扱いはされなかった。どちらかというと、警察は僕に同情的だった気がする。
「ああ、確かにそれも理由の一つだよ。俺らはどっちかっていうと志摩を疑ってたからな」
吾川さんは、あっさり認めた。
「あの、自分で言うのも何なんですが、僕が犯人で親父と、三浦って人と、それから口封じのために志摩さんも殺した、って可能性もありますよね?」
「口封じなら、三人とも同時に殺せばいいじゃないか。どうして飯豊志摩を一旦家に返したんだ? あの日帰宅したのは、同居してる妹や近所の知り合いに確認は取れてるぞ。それに死体はどうしたんだ?」
「どこか、見つかりにくい場所に埋めた、とか」
「そんないい場所があるなら、宋宗と三浦もそこに埋めたらいいじゃないか」
確かにそうだ。自宅のガレージに、しかもシャッターを開けっぱなしにして放置しておくなんてマヌケすぎる。
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