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2. 浮上?
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「事情を聞かせてもらえますか?」
「あのー、双子の片割れがいなくなって疑われてる、って話なんでしたっけ? 今」
尾鷹葉子が早速口を挟んだ。半ば諦めの心境であった。やりだしてしまえば、自分はやる気になってしまうのはわかっているので気が進まなかった面も大きい。
「うん……」
数凪は素直に肩を落とす。
「警察はなんか疑ってるっぽい。しつこいんだよ。色々聞いてくんの。何回も答えてんのになー」
あの事件の際、忽然と消えてしまった夕山四季は未だ見つかっていないのだ。
巷間の噂でも〝四季が犯人なのでは?〟という意見が、少しずつだが自殺説を凌駕しつつあった。もちろん何の根拠もない素人の遊びのような推測にすぎないのだが。
「数凪さんご自身はどうお考えなんですか?」
「えー? 四季が犯人って? ちげーよ。んなわけないじゃん。真希が死んだ時私と一緒にいたもん」
思わず〝えっ?〟と身を乗り出すSNOWの面々。
「……さらっと爆弾発言しませんでした?」
ワンテンポ遅れて、真銀が口を出した。
「そんな情報、少なくとも公開情報には出てないよね?」
「と、思いますが……」
アイドル絡みのことではあるし派手な事件なので、みな一応その後の動向はチェックしていた。
「それって警察には言ったんですか?」
んーん、と数凪は首を横に振る。
「え~……」
「絶対面倒になるやつじゃないですかあ……」
伊代が呆れたようにこぼすと、
「いや、違うって! 面倒じゃないんだってば! 聞いてくれよ!」
と、数凪は大袈裟な身振りで訴える。
「落ち着いて、状況を説明してください」
うん、と頷き数凪は少々芝居がかった咳払いをした。
「真希さんが亡くなった時、というのは、その……窓から落下した時、ということでしょうか?」
「うん……まあ、多分」
「現場を見たんですか?」
「あ、いや、見てないんだけど」
「音かなんか聞いたんですか? ドサッみたいな」
「うわっ、生々し」
思わず数人が眉をひそめる。
「音……うん、どうだったかなあ……聞いてない……気もするけど……」
「どうして真希さんが落下したらしい、とわかったんです?」
「あー……一階のラウンジで四季とダベってる時に……ああそう! 立木の枝になんかが当たる音が聞こえたんだよ! それで中庭に見に行ったら……」
「音聞こえてるじゃないですか」
「いっぺんに話すなー!」
とうとう数凪が爆発した。
「お前らのリアクションにいちいち付き合ってるから、よけいわからなくなるんだよ! ゆっくり喋らせろ!」
〝ま、まあ……〟〝そうですね〟と口々に言いながらSNOWの面々は腰を落ち着けた。
しかし、いつのまにかみな和んで緊張が解けている。
雪枝以外あまり数凪のことは知らなかったのだが、話してみたら話しやすい人柄だということがわかってきた。
「あのー、双子の片割れがいなくなって疑われてる、って話なんでしたっけ? 今」
尾鷹葉子が早速口を挟んだ。半ば諦めの心境であった。やりだしてしまえば、自分はやる気になってしまうのはわかっているので気が進まなかった面も大きい。
「うん……」
数凪は素直に肩を落とす。
「警察はなんか疑ってるっぽい。しつこいんだよ。色々聞いてくんの。何回も答えてんのになー」
あの事件の際、忽然と消えてしまった夕山四季は未だ見つかっていないのだ。
巷間の噂でも〝四季が犯人なのでは?〟という意見が、少しずつだが自殺説を凌駕しつつあった。もちろん何の根拠もない素人の遊びのような推測にすぎないのだが。
「数凪さんご自身はどうお考えなんですか?」
「えー? 四季が犯人って? ちげーよ。んなわけないじゃん。真希が死んだ時私と一緒にいたもん」
思わず〝えっ?〟と身を乗り出すSNOWの面々。
「……さらっと爆弾発言しませんでした?」
ワンテンポ遅れて、真銀が口を出した。
「そんな情報、少なくとも公開情報には出てないよね?」
「と、思いますが……」
アイドル絡みのことではあるし派手な事件なので、みな一応その後の動向はチェックしていた。
「それって警察には言ったんですか?」
んーん、と数凪は首を横に振る。
「え~……」
「絶対面倒になるやつじゃないですかあ……」
伊代が呆れたようにこぼすと、
「いや、違うって! 面倒じゃないんだってば! 聞いてくれよ!」
と、数凪は大袈裟な身振りで訴える。
「落ち着いて、状況を説明してください」
うん、と頷き数凪は少々芝居がかった咳払いをした。
「真希さんが亡くなった時、というのは、その……窓から落下した時、ということでしょうか?」
「うん……まあ、多分」
「現場を見たんですか?」
「あ、いや、見てないんだけど」
「音かなんか聞いたんですか? ドサッみたいな」
「うわっ、生々し」
思わず数人が眉をひそめる。
「音……うん、どうだったかなあ……聞いてない……気もするけど……」
「どうして真希さんが落下したらしい、とわかったんです?」
「あー……一階のラウンジで四季とダベってる時に……ああそう! 立木の枝になんかが当たる音が聞こえたんだよ! それで中庭に見に行ったら……」
「音聞こえてるじゃないですか」
「いっぺんに話すなー!」
とうとう数凪が爆発した。
「お前らのリアクションにいちいち付き合ってるから、よけいわからなくなるんだよ! ゆっくり喋らせろ!」
〝ま、まあ……〟〝そうですね〟と口々に言いながらSNOWの面々は腰を落ち着けた。
しかし、いつのまにかみな和んで緊張が解けている。
雪枝以外あまり数凪のことは知らなかったのだが、話してみたら話しやすい人柄だということがわかってきた。
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