Ωの愛なんて幻だ

相音仔

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番外編

あたたかいベッド

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 その日は、朝起きた時から、少し変だなって思っていた。身体が重くて、頭もすっきりしない感じ、少し肌寒いような気もした。
 良くない兆候だとは思ったけれど、以前はこんな事は日常茶飯事で、たいして気に留めず、身支度を整える。
 早起きが得意でない俺の代わりに、朝食はいつもリュミエールが作ってくれていた。
「今日の料理、苦手なものがあった?」
 食が進まない俺の様子をみて、彼はそう尋ねてくる。
「いや、そういう訳じゃないんだけど。やっぱり朝はあんまり食べられないかな……」
 この国の人に比べたら、俺はあまり食べない。それだけで良いのかとよく聞かれている。
「それなら、無理にとは言わないけれど……」
 リュミエールはその辺を見定めるのもはやくて、本当はこの朝食の量なら丁度良いくらいの筈だった。
「スープは全部食べるよ。これニンジンかな? 美味しいよ」
 メインで作ってくれていたオムレツは、チーズとか野菜とかも入っていて、とても美味しかった。残念ながら半分も食べられなかった。今日はどうにも胃が重たい。こういう日は、無理に食べると後々気分が悪くなる。
 リュミエールは、少し俺の事を気にしていた。俺の事をよく見ている彼には、調子が悪いのがバレているのかもしれない。
 気が乗らない様子だったから、いってらっしゃいと背中を押すと、いつものように仕事に向かった。

 エンデさんがやってきて、分担しながら家事をしていく。
 この国にも掃除に便利な道具が沢山あって、今はその扱いを教えてもらっている。
 いくつか作業をこなして、新しい機械の操作を教えてもらっている時だ。
 気にしないようにしていた頭痛がどんどん酷くなってきた。
「エクレ様、ご気分がすぐれないのでは?」
 集中しきれていない俺の様子を見逃さず、彼女はすぐにそう聞いてきた。
「少し、頭が痛くて、でも大丈夫ですから」
 このぐらいの体調の変化は、よくある事だった。
 むしろ、パディーラに来てからは調子の良い日が多すぎて忘れていたくらいだ。
「いけませんよ、私が気づくくらいには、顔色が悪いです」
 エンデさんはぴしゃりとそう言うと、俺をソファに座らせ熱を測り、どこかへ連絡しはじめた。
 体温計の数値は、俺の平熱より一度ほど高かった。この国にくるまで自分で体温を測る事がなかったから、どれくらいの異常なのかは分からない。
「発熱してますね。お医者様を呼んだので、診察してもらいましょう。エクレ様は自室で休んでいてください」
「え、これくらいでですか?」
 体調が悪くて熱を測ったところで、動けるなら働くのが当たり前だった。
 店の寮にいて病院に行くような事態になった人は、それこそ緊急で搬送されるような、酷い状態になった人くらいだ。お世辞にも良い勤務体制ではなかったあの店では、一年に数人くらいはそんな人をみた。
「何事もはやめに対処する事が大切なのです。その方がはやく治りもします。さぁ、おはやく」
 有無を言わさずと言った雰囲気だった。
 俺は大人しく自分の部屋に戻って、眠たくもないけれど、ベッドに横になった。
 エンデさんは、ベッドのすぐ傍の棚に、水差しとベルを置いて行った。気分が悪くなったら鳴らして呼んで欲しいとの事だ。
 なんだか悪いなぁと思いながら、寝転んで数時間。
 次に部屋にやってきたのは、顔なじみの医者だった。
「エクレさん、体調を崩されたと伺いました」
「あ、はい。なんか今日の朝から変で……」
「ふむ。自覚症状があったのは朝からで間違いないですか?」
「……そう言われると、昨日も頭が痛かったような」
 少し前まで慢性的な頭痛があったから気にしていなかったけれど、症状は昨日からあった気がする。
「なるほど。エクレさん、前にもお聞きしましたが、服用されていた薬の副作用による頭痛や倦怠感は、最近は減っていたんですよね?」
「はい、もうほとんど。施設にいた最初の頃はあったように思いますが、リュミエールに会って引き取られる頃には、ほぼ無かったです」
「それは良かったです。当時はあまり聞き取りも出来ませんでしたから。数値をみて手探りで処方するしかなく……。ですが、頭が痛いなど、もっと主張してもらっても良かったんですよ」
 俺がこの国の言葉を話せるようになったのは最近だ。それに当時は、戸惑っていたこともあり、自分から何か言うことはほとんどなかった。
「あの時はおかしい事とも思ってなかったので……。常時悩まされていたってわけでも無かったですし」
「常に頭が痛かったら、本当に問題です。それこそ言って頂かないと。……扁桃腺が腫れていますね。風邪をもらったかな。薬を出しておきますので、服用して様子をみましょう」
 会話をしながらも手際よく診察をしてくれた医師はそう言って、いくつかの薬を出してくれた。
 環境の変化に慣れた頃に、ふと体調を崩すことはよくある事らしい。
 リュミエールと暮らし始めて、彼への遠慮も少なくなってきた現在、張りつめていた気が緩んだのかもしれない。

 エンデさんがお昼に軽く食べた方が良いと、スープと穀物を柔らかく煮た料理をくれた。
 あまり食欲は無かったけれど、こういう時に自分で用意する必要がない事に、少し感動した。
 買いにいくのも面倒で、部屋にあった栄養バーみたいなのをもそもそ食べていた時とは凄い違いだ。感謝しながら、出来る限りで食べた。
 薬を飲んだら眠たくなってしまって、うつらうつらとしていた。
 熟睡は出来ないこの感じが、少し懐かしいなと思う。
 体調を崩した時は、病院に行く事も無く、寮の自分のベッドで小さく丸まっていた。
 寮を管理していた上司からは、若いから寝ていたら、だいたい良くなるのだと言われた。まぁ実際その通りで、何日か調子が悪くても、しばらくしたらマシになった。
 気休めだけれどと言いながら、近くのお店で売っている市販薬をくれた先輩がいたなぁ。本当に効いたかどうかは定かじゃないけれど、その気持ちが嬉しくて、あの薬の箱は、ずっと机の引き出しにあった。
 少し体調が悪いくらいじゃ仕事が入っていたら、断ることは許されなくて……。
 そんな日はいつにも増して、酷い気分になったっけ。
 あーあ、なんだか嫌な事ばかり思い出す。

「エクレ、入るよ?」
 部屋の扉がノックされて、リュミエールの声がした。
 もう彼が帰ってくる時間になったのだろうか。
「熱が出たんだって? やっぱり朝から体調が悪かったんだろう」
 ベッドの横に来て、心配そうにそう覗き込んだ。
「……ごめん、平気だと思ってて。そんなに酷くもないよ。エンデさんが心配性なの。今も薬を飲んだら眠たくなっただけだから。……もう夕方なの?」
 身体を起こそうとしたけれど、彼にそのまま寝てなさいと言われた。
「いや、まだ昼過ぎだ。エンデさんから連絡があったから、急ぎの案件だけすませて早退してきた」
「えっ、わざわざ? エンデさんちゃんと伝えてくれた? 本当に大丈夫だったのに……」
 迷惑をかけてしまったと焦る俺に、リュミエールは言い聞かせるようにこう言った。
「私が心配で仕事にならないから、帰ってきたんだよ。エクレが大きく体調を崩すのは、はじめての事だしね。傍に居たかったんだ」
 そして、優しく頭を撫でられた。なんだかくすぐったくて、少しソワソワする。
「……ありがと」
「食欲があまり無いらしいけど、食べたいものや飲みたいものはないかい?」
 照れくささから、素っ気なくお礼を言った俺に、彼がそう尋ねてくる。
「液体ならいける気がする、重たくないのが良いかな」
「他に何かしてほしい事ある? これまでは、どうしてたの?」
「寝てたよ。いっぱい寝てたら治るんだって。今回は薬も飲んだし、至れり尽くせりで、なんか申し訳ない気持ちになるくらいだよ」
 この部屋は暖かいし、ベッドも柔らかいし、シーツは清潔だ。環境からしてめちゃくちゃ良い。
 片付けも出来ないくらい辛いときに、食べ散らかしたごみがそのままになることも無ければ、何か欲しいと頼めば、リュミエールはすぐに用意してくれるだろう。
 いっそ、怖くなってしまうくらい、恵まれていると思う。
「そう……。何でも言ってよ。今晩くらいが一番熱が上がるかもしれない。心配だなぁ。エクレは招かれビトだ。この国の病原菌とかに慣れてるわけじゃないから……」
 医者から説明はあったけれど、招かれビトが特別病気に弱いとかはないらしい。 けれど、この世界でも大きく国を移動すると思わぬ病気に罹患するという事はあるようで、リュミエールがこの国に慣れていない俺を心配するのも、無理はないのかもしれない。
 夕食に具沢山のあっさりしたスープを食べて、薬を飲んで、あとはゆっくり寝ていた。
 喉が渇いて、目が覚めたのはたぶんもう夜中の時だった。
 寝苦しい、というか熱い。関節まで痛い気がしてくる。
 緩慢な動きで、水差しを手に取り傾けた。ちょうど水が無くなってしまったみたいだ。
「起きたの? あぁもう水が無いね。入れてくるよ」
 水差しを振っていると、リュミエールが横から声をかけてきた。
 彼は、俺の部屋に動かせる椅子を持ち込んで、その背もたれを倒して寝ていたようだった。
「ずっといてくれたの?」
「エクレが気になって寝れないようなら止めようと思ったんだけど、ぐっすりだったから」
 頭の下に置いてある氷枕を変えてくれたり、汗を拭いてくれたり、色々してくれたみたいだった。
「ついでに服も着替えようか。汗をかくのは悪いことじゃないんだけど、そのままだと、冷える原因になるからね」
 彼は本当に甲斐甲斐しく世話をしてくれた。
 頭は痛いし、身体も怠かったけれど、それだけでなんだか救われたような気分になるから不思議だ。
 一緒に寝ようって誘うと最初は渋っていたけれど、ベッドに入ってくれた。
 彼のベッドよりちょっと小さい俺のベッドだと、二人で寝るとすこし窮屈だった。この距離感が嫌じゃないんだから、本当にどうしちゃったんだろうね。
 リュミエールはいつもよりだいぶ熱いと、少し心配そうに呟いた後、ぽんぽんと身体を軽く撫でてくれた。
 母親が幼子にするような、優しい動作だった。
 労わるってこういう事なんだろうなぁと、安心感を覚えつつ、すぐ夢の中へ。
 さっきよりよく眠れたような気がしたのは、気持ちの問題なのだろうか。
 
 翌朝目が覚めると、熱はだいぶ落ち着いていた。
 身体の怠さはまだあって、薬はまだ服用したほうが良さそうだった。
「一晩で治まって本当に良かった。熱が続くようなら、また先生に来てもらおうと思っていたから」
「大袈裟だよ。今日も仕事行ってくれて良かったのに……」
 リュミエールは昨日の時点で、今日の休みを申請していたらしい。
「万が一があって、昨日より酷くなったら、それこそ仕事なんて手につかないからね」
 だから、今日休むのは決まっていたのだと言う。
「俺ね、何回か寝込んだことあるんだけどさ。ほんと最悪だったんだ。ずっとこのままだったらどうしよう、なんて不安になる事もあったし」
 しんどくて、辛いのに、寒い部屋で一人丸まっていると、寂しいし、孤独だった。
「今回は全然そんな事なかった。なんならちょっと得した気分だ」
「得した? どうして?」
 熱も高かったし、辛かっただろうと彼は不思議そうだ。
「だって、リュミエールがずっと傍にいて、全部してくれるんだよ。ふふ、偉い人になったみたい」
「君がそれを望むなら、いつでもそうするけどね。一から十まで全部面倒をみるけれど」
 冗談で言ったのに、真剣にそんなふうに返されて少し焦る。
「いいよ。たまにだから、良いんだもん。あ、でも、もしリュミエールの体調が悪くなったら、俺が頑張ってお世話するから」
「成人してからは、エクレほどの熱が出たことはないなぁ。もしそうなったらお願いするよ」
 そういえば、この国の人は身体が丈夫な人が多かった。

 でも、このふわふわとしたなんとも言えない気持ちを、いつか彼にも知ってもらう機会がくるかもしれない。
 その時は、今回俺がしてもらった事を、全力で返したいなんてそう思った。




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