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011 イブの夜
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「誰もこぇへん、ああそう、やっぱりなぁ……
子供のことなんか、誰も考えてくれてへんねんなぁ……大人にとって子供は二の次、自分の楽しみの方が大事っちゅうことか……
しゃあないな、ほんだら今日はな、お父さんもお母さんもいてはらへんけどお客さんが来るさかいにな、みんなで遊ぼ、な」
おじいさんはサンタクロースの格好になり、子供たちの前に現れた。
「ほぉら、サンタさんやでぇ!」
「わぁ! ほんまや、サンタさんやぁっ!」
そしておじいさんが呼んだお客さん、天使の格好をした二人の女性がやってきた。子供たちは大喜びだった。女性は優しい笑みを浮かべながら、子供たちを一人ずつ抱きしめ、共に楽しいひと時を過ごした。
「みんな、楽しいか……そうかそうか、楽しいか……
……なあみんな、もっと楽しい所に行きたないか?」
「行きたい!」
「……ほんだら……サンタさんが連れてってあげよか」
「トモ、ディズニーランドに行きたい!」
「ディズニーランド……はちょっと無理やけどな。そやけどみんな、ほんまにええの? お父さんやお母さんと離れ離れになるんやで。もう会われへんでもええの? 寂しない?
……ああそう、寂しないか……そこでそっちが、泣いたり寂しいの一言でも言うてくれたら、こっちも別の手考えるんやけどな……ま、しゃあないか……
家におったら邪魔者扱い、どつかれるわ怒鳴られるわ、ほんで気分のええ時だけ頭撫でて……今時の子供は大人のペットみたいな物やからなぁ……
ほんだらな、みんな外に出よ、外に」
そう言っておじいさんは、子供たちと一緒に外に出た。外にはいつの間にか雪が積もっていて、空には星が瞬いていた。
「ほら、すごいやろ!」
そこには、トナカイの引くソリがあった。子供たちが大喜びで叫ぶ。
「わあっ! トナカイさんやぁっ!」
「おじいちゃん、これ、ソリやんね! すごいっ!」
「そうやで、ソリやで。さあさあみんな、順番に乗りや。これ乗って、みんなで楽しい所に行くからな。
みんな乗ったか? よっしゃ、ほんだらしっかりつかまってな……行くでっ!」
おじいさんの声と共に、トナカイが走り出した。
――子供たちの乗ったソリがゆっくりと宙に浮き、そして空に向かって進んでいく。
天使の格好をしていた女性も、翼を広げて羽ばたくと、ソリの周りを回りながら一緒に空へと向かっていった……
サンタに扮した神さん――彼は本当の神だった。
神は自分の姿に似せて人間を造った。神は人間が、平和であたたかい世界を築いていくことを望み、見守っていた。
しかし人間は争いを繰り返しながら堕落の道を辿り、神に近付こうとせず、逆に離れていった。
神は嘆き、苦しんだ。こんな筈ではなかったと。
人間の堕落は文明と共に進み、ついには親と子の絆さえも失われようとしてきた。
命と言う物は大切なのに、自らが造り出した命すらも大切にしなくなった。それを感じた神は、降臨を決意した。
そんな筈はない、きっと人間は正しい道を歩んでくれる……神はそう信じ、人間社会に溶け込んで見守り続けた。
しかし人間の堕落は、神ですら止めることは出来なかった。
驕る人間に絶望した神は、せめて清らかな魂だけでも持って帰ろう、あなたたちがいらないのなら、私がもらいますと、子供たちの魂を集めだしたのだった。
これから人間がどういう運命を辿っていくのか……それはあなたたちが、自ら考えて進んでいってください。ただ私は、あなたたちが捨てようとする魂だけを持って帰ります……
神はそう思いながら、天に向かってトナカイを走らせていった……
子供のことなんか、誰も考えてくれてへんねんなぁ……大人にとって子供は二の次、自分の楽しみの方が大事っちゅうことか……
しゃあないな、ほんだら今日はな、お父さんもお母さんもいてはらへんけどお客さんが来るさかいにな、みんなで遊ぼ、な」
おじいさんはサンタクロースの格好になり、子供たちの前に現れた。
「ほぉら、サンタさんやでぇ!」
「わぁ! ほんまや、サンタさんやぁっ!」
そしておじいさんが呼んだお客さん、天使の格好をした二人の女性がやってきた。子供たちは大喜びだった。女性は優しい笑みを浮かべながら、子供たちを一人ずつ抱きしめ、共に楽しいひと時を過ごした。
「みんな、楽しいか……そうかそうか、楽しいか……
……なあみんな、もっと楽しい所に行きたないか?」
「行きたい!」
「……ほんだら……サンタさんが連れてってあげよか」
「トモ、ディズニーランドに行きたい!」
「ディズニーランド……はちょっと無理やけどな。そやけどみんな、ほんまにええの? お父さんやお母さんと離れ離れになるんやで。もう会われへんでもええの? 寂しない?
……ああそう、寂しないか……そこでそっちが、泣いたり寂しいの一言でも言うてくれたら、こっちも別の手考えるんやけどな……ま、しゃあないか……
家におったら邪魔者扱い、どつかれるわ怒鳴られるわ、ほんで気分のええ時だけ頭撫でて……今時の子供は大人のペットみたいな物やからなぁ……
ほんだらな、みんな外に出よ、外に」
そう言っておじいさんは、子供たちと一緒に外に出た。外にはいつの間にか雪が積もっていて、空には星が瞬いていた。
「ほら、すごいやろ!」
そこには、トナカイの引くソリがあった。子供たちが大喜びで叫ぶ。
「わあっ! トナカイさんやぁっ!」
「おじいちゃん、これ、ソリやんね! すごいっ!」
「そうやで、ソリやで。さあさあみんな、順番に乗りや。これ乗って、みんなで楽しい所に行くからな。
みんな乗ったか? よっしゃ、ほんだらしっかりつかまってな……行くでっ!」
おじいさんの声と共に、トナカイが走り出した。
――子供たちの乗ったソリがゆっくりと宙に浮き、そして空に向かって進んでいく。
天使の格好をしていた女性も、翼を広げて羽ばたくと、ソリの周りを回りながら一緒に空へと向かっていった……
サンタに扮した神さん――彼は本当の神だった。
神は自分の姿に似せて人間を造った。神は人間が、平和であたたかい世界を築いていくことを望み、見守っていた。
しかし人間は争いを繰り返しながら堕落の道を辿り、神に近付こうとせず、逆に離れていった。
神は嘆き、苦しんだ。こんな筈ではなかったと。
人間の堕落は文明と共に進み、ついには親と子の絆さえも失われようとしてきた。
命と言う物は大切なのに、自らが造り出した命すらも大切にしなくなった。それを感じた神は、降臨を決意した。
そんな筈はない、きっと人間は正しい道を歩んでくれる……神はそう信じ、人間社会に溶け込んで見守り続けた。
しかし人間の堕落は、神ですら止めることは出来なかった。
驕る人間に絶望した神は、せめて清らかな魂だけでも持って帰ろう、あなたたちがいらないのなら、私がもらいますと、子供たちの魂を集めだしたのだった。
これから人間がどういう運命を辿っていくのか……それはあなたたちが、自ら考えて進んでいってください。ただ私は、あなたたちが捨てようとする魂だけを持って帰ります……
神はそう思いながら、天に向かってトナカイを走らせていった……
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