5 / 13
5 本当にお馬鹿さんですのね
しおりを挟む
「私のどこが失礼だと言うのだ! 格下の子爵の分際で良くもそんなに大きく出られたものだ! そちらがどうしても、と言うから婚約してやったと言うのに!」
「どうしても、と言って来たのはそちらのミュラトール伯爵家の方なんだけどね。それに、仮にも婚約者なら最低限の務めは果たすのがマナーではないのかね? 君は、その勤めを全く果たしていなかったと思うが?」
「嘘を吐くな! それに、私が婚約者だという肩書だけで充分だろう! それ以上の事を要求するなぞ、なんて図々しいんだ!!」
はぁー……。何なのでしょう、なんでこんな方と婚約なんてしてしまったのかしら。まぁ、断れなかったからですけれども。
隣の部屋で会話を聞いているだけの私でもグッタリ疲れて来ていますのに、直接対峙して下さっているお父様はもっとお疲れでしょう。
でも、頑張って下さいませお父様! 婚約解消の暁にはお父様の大好きな洋酒をご用意させて頂きますわ! アンチョビオリーブも付けましてよ!!
「君とは話にならないな。なんと言われようとも、こちらも『破棄』は認められない。『解消』ならば書類もここにある、今すぐ応じよう。だが、どうしても『破棄』だと言うのなら、こちらも出る所に出させて貰う。その場合は双方共に時間も労力も掛かるだろうが、エリック殿、君はそこまでして『破棄』にこだわるのかい? 君の言動を見ていると、スピード解決を望んでいるように感じるが……どうなんだい?」
「くっ……忌々しい。足元を見おって! 良いだろう! 『解消』で結構だ!! その代わり後から解消の撤回要求なぞするんじゃないぞ! どれだけマリサ嬢が泣き喚こうが復縁は聞き入れんからな!」
「それだけは絶対に無いから安心してくれたまえ。それでは早速この書類にサインを……。エリック殿からの解消申し込みだという事は、しっかり明記させて貰うが、良いね」
「当たり前だ! 私が解消を望んでいるんだ! 間違ってもお前達からの解消ではない!」
やりましたわ! お父様!!
書類にサインさえさせてしまえば、こちらのものですわ! これで、私は晴れて自由の身! あんな勘違い男に振り回される人生を歩まなくて済むのですね!!
それにしても、エリック様って本当にお馬鹿さんですのね。
「どうしても、と言って来たのはそちらのミュラトール伯爵家の方なんだけどね。それに、仮にも婚約者なら最低限の務めは果たすのがマナーではないのかね? 君は、その勤めを全く果たしていなかったと思うが?」
「嘘を吐くな! それに、私が婚約者だという肩書だけで充分だろう! それ以上の事を要求するなぞ、なんて図々しいんだ!!」
はぁー……。何なのでしょう、なんでこんな方と婚約なんてしてしまったのかしら。まぁ、断れなかったからですけれども。
隣の部屋で会話を聞いているだけの私でもグッタリ疲れて来ていますのに、直接対峙して下さっているお父様はもっとお疲れでしょう。
でも、頑張って下さいませお父様! 婚約解消の暁にはお父様の大好きな洋酒をご用意させて頂きますわ! アンチョビオリーブも付けましてよ!!
「君とは話にならないな。なんと言われようとも、こちらも『破棄』は認められない。『解消』ならば書類もここにある、今すぐ応じよう。だが、どうしても『破棄』だと言うのなら、こちらも出る所に出させて貰う。その場合は双方共に時間も労力も掛かるだろうが、エリック殿、君はそこまでして『破棄』にこだわるのかい? 君の言動を見ていると、スピード解決を望んでいるように感じるが……どうなんだい?」
「くっ……忌々しい。足元を見おって! 良いだろう! 『解消』で結構だ!! その代わり後から解消の撤回要求なぞするんじゃないぞ! どれだけマリサ嬢が泣き喚こうが復縁は聞き入れんからな!」
「それだけは絶対に無いから安心してくれたまえ。それでは早速この書類にサインを……。エリック殿からの解消申し込みだという事は、しっかり明記させて貰うが、良いね」
「当たり前だ! 私が解消を望んでいるんだ! 間違ってもお前達からの解消ではない!」
やりましたわ! お父様!!
書類にサインさえさせてしまえば、こちらのものですわ! これで、私は晴れて自由の身! あんな勘違い男に振り回される人生を歩まなくて済むのですね!!
それにしても、エリック様って本当にお馬鹿さんですのね。
30
お気に入りに追加
797
あなたにおすすめの小説
【完結】愛に裏切られた私と、愛を諦めなかった元夫
紫崎 藍華
恋愛
政略結婚だったにも関わらず、スティーヴンはイルマに浮気し、妻のミシェルを捨てた。
スティーヴンは政略結婚の重要性を理解できていなかった。
そのような男の愛が許されるはずないのだが、彼は愛を貫いた。
捨てられたミシェルも貴族という立場に翻弄されつつも、一つの答えを見出した。
[完]僕の前から、君が消えた
小葉石
恋愛
『あなたの残りの時間、全てください』
余命宣告を受けた僕に殊勝にもそんな事を言っていた彼女が突然消えた…それは事故で一瞬で終わってしまったと後から聞いた。
残りの人生彼女とはどう向き合おうかと、悩みに悩んでいた僕にとっては彼女が消えた事実さえ上手く処理出来ないでいる。
そんな彼女が、僕を迎えにくるなんて……
*ホラーではありません。現代が舞台ですが、ファンタジー色強めだと思います。
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
「君を愛す気はない」と宣言した伯爵が妻への片思いを拗らせるまで ~妻は黄金のお菓子が大好きな商人で、夫は清貧貴族です
朱音ゆうひ
恋愛
アルキメデス商会の会長の娘レジィナは、恩ある青年貴族ウィスベルが婚約破棄される現場に居合わせた。
ウィスベルは、親が借金をつくり自殺して、後を継いだばかり。薄幸の貴公子だ。
「私がお助けしましょう!」
レジィナは颯爽と助けに入り、結果、彼と契約結婚することになった。
別サイトにも投稿してます(https://ncode.syosetu.com/n0596ip/)
【完結】夫もメイドも嘘ばかり
横居花琉
恋愛
真夜中に使用人の部屋から男女の睦み合うような声が聞こえていた。
サブリナはそのことを気に留めないようにしたが、ふと夫が浮気していたのではないかという疑念に駆られる。
そしてメイドから衝撃的なことを打ち明けられた。
夫のアランが無理矢理関係を迫ったというものだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる